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第411回 RPCIで函館記念を考える

2010/7/22(木)

今週は函館競馬場でサマー2000シリーズの第2戦、函館記念が行われる。ちょうど一昨年、このレースが行われる時期に当コーナーでペースチェンジ指数(PCI)というものを取り上げた「第203回 ペースチェンジ指数(PCI)に注目してみよう」。これはJRA-VAN DataLab.の対応ソフトTARGET frontier JVにある機能の一つ。PCIを簡単に言うと、そのレースのペースを数値で表したもの。詳細はリンク先のバックナンバーをご覧いただきたい。その後、PCIに関して取り上げる機会があまりなかったので、今回あらためてPCIに注目して函館記念の分析を行ってみたい。

■表1 過去10年の函館記念の勝ち馬とレースPCI(RPCI)

勝ち馬
馬場
タイム
RPCI
09年 サクラオリオン
2.00.6
51.2
08年 トーセンキャプテン
2.00.3
41.4
07年 エリモハリアー
2.02.8
52.9
06年 エリモハリアー
稍重
2.05.1
35.3
05年 エリモハリアー
2.00.7
50.0
04年 クラフトワーク
2.00.6
42.6
03年 エアエミネム
1.59.9
47.1
02年 ヤマニンリスペクト
2.05.1
43.7
01年 ロードプラチナム
2.02.4
42.3
00年 クラフトマンシップ
稍重
2.02.7
46.1

上の表1は過去10年の函館記念の勝ち馬とRPCI。RPCIが48以下は背景色が赤、56以上が緑、その間は黄で表示している。芝2000mのレースに関して言えば、赤であればハイペース、黄であればミドルペース、緑であればスローペースと考えてほぼ間違いない。函館記念は過去10年、7回のレースで、RPCIが48以下の数値。道中のペースが厳しく、上がり3ハロンの時計がかかるレースが展開されている。残る3回は黄。つまりスローペースの競馬は一度もないというわけだ。これは函館競馬場のコース形態と、洋芝の影響によるところが大きい。毎年毎年速い逃げ馬が揃っているというわけでなく、スローペースにならないのは函館記念特有のものだ。

■表2 過去10年の新潟記念(コース改修後)の勝ち馬とレースPCI(RPCI)

勝ち馬
馬場
タイム
RPCI
09年 ホッコーパドゥシャ
1.59.6
63.5
08年 アルコセニョーラ
1.57.5
53.2
07年 ユメノシルシ
1.57.8
45.6
06年 トップガンジョー
1.57.2
49.8
05年 ヤマニンアラバスタ
2.00.1
60.8
04年 スーパージーン
1.57.7
54.4
03年 ダービーレグノ
1.58.7
52.2
02年 トーワトレジャー
1.58.0
52.1
01年 サンプレイス
1.57.0
50.1

上の表2は過去10年の新潟記念(コース改修後)の勝ち馬とRPCI。函館記念と同じローカル芝2000mのハンデG3ながらRPCIの傾向が全然違うことがわかるだろう。新潟芝2000mは長いバックストレッチと、ホームストレッチをコーナー2つで結んだ広々としたコース。09年や05年のように、スローペースの瞬発力勝負になることはめずらしくない。逆に07年のようにRPCIが48以下のハイペースになることは少ないのだ。

古馬の重賞に出走できるほど出世できた馬とはいえ、あらゆるペースに対応して常に好走できる馬はそうそういない。そうした馬は一握りのG1ホースのみ。ほとんどの馬に得意・不得意な距離・コースというものがあるように、得意・不得意なペースというものも存在する。

函館記念を考える上で一番手っ取り早いのは、過去にハイペース気味の芝中距離で好走したことがあるかどうかを見ることだろう。つまりRPCIが48以下のレースで上位入線したことがあるかどうか。この経験があれば、今回の函館記念でペースに戸惑ったり、道中なし崩しに脚を使わされたりしてしまう可能性は少ない。エリモハリアーのようにすでに函館記念好走歴があるのがベストだが、その他のレースでもRPCIをチェックすることで予測は可能だ。RPCIが赤以外、特に緑のスローペースでの好走実績は、今回直接結びつくことはない。が、全く参考にならないわけでもないのだ。

■表3 昨年の巴賞出走馬と函館記念の結果

着順
馬名
タイム(着差)
通過順位
上がり
函館記念成績
1
マンハッタンスカイ 1.47.5
3-2-2-2
34.4
6着
2
ドリームサンデー クビ
2-1-1-1
34.5
5着
3
サクラオリオン クビ
6-6-4-3
34.3
1着
4
フライングアップル 1/2馬身
4-4-4-3
34.4
不出走
5
メイショウレガーロ 1馬身1/4
1-2-2-3
34.8
3着
6
マヤノライジン クビ
8-8-7-6
34.4
2着
※巴賞RPCI:56.3→函館記念RPCI:51.2

2009/7/26 札幌9R 農林水産省賞典函館記念(G3)1着 16番 サクラオリオン

上の表3は昨年の巴賞上位6頭の成績。巴賞は函館記念へ向けての重要ステップレース。昨年の巴賞は1着がマンハッタンスカイ、2着がドリームサンデー。以下、4着のフライングアップルを除く上位の馬がすべてその年の函館記念に出走した。その結果、巴賞3着のサクラオリオンが優勝、同レース6着のマヤノライジンが2着、同レース5着のメイショウレガーロが3着と上位を独占。巴賞1、2着馬は函館記念で敗退と、きれいな逆転現象が起きたのだ。が、RPCIをチェックしていればこうした逆転劇は十分予測可能だった。

昨年の巴賞のRPCIは56.3(緑)。つまりスローペースで、上位馬のコーナー通過順位を見ると前に行っていた馬がそのままなだれ込んだような感じだった。ところが函館記念本番はこのようなスローペースにはなりにくい。実際、昨年の函館記念のRPCIは51.2(黄)。ミドルペースではあったが、巴賞よりもペースが厳しくなったことで、巴賞では外からあと一歩で差し切れなかったサクラオリオンが、函館記念を制したのだ。今回予測されるペースとは違うレースでも、このような考え方で大きなヒントに繋がることもある。

【結果】
それでは今年の函館記念を占っていこう。今回は同レース出走予定馬の斤量、そして近5走のRPCIと着順を示した(表4参照)。

■表4 今年の函館記念出走予定馬の近5走RPCI

順位
馬名
斤量
前走
2走前
3走前
4走前
5走前
1
シャドウゲイト
58
海外 1着(54.0) 6着(40.3) 2着(53.6) 46.6(9着)
2
エイシンドーバー
57
10着(58.1) 16着(46.5) 15着(39.9) 16着(46.8) 4着(46.3)
3
サクラオリオン
57
11着(49.7) 10着(54.0) 5着(41.3) 15着(56.9) 3着(46.7)
4
テイエムプリキュア
53
12着(48.5) 14着(46.6) 2着(44.4) 14着(40.5) 18着(54.5)
5
エアジパング
56
5着(61.6) 10着(49.5) 7着(68.8) 13着(56.2) 1着(52.5)
6
マンハッタンスカイ
56
1着(49.9) 7着(61.8) 13着(49.5) 12着(54.0) 10着(37.4)
7
エリモハリアー
57
14着(49.4) 16着(49.9) 11着(58.1) 12着(57.0) 18着(63.5)
8
ドリームサンデー
57
2着(58.1) 9着(43.0) 10着(45.5) 5着(40.3) 11着(37.4)
9
マヤノライジン
55
12着(49.9) 1着(55.7) 3着(37.4) 14着(48.2) 7着(42.8)
10
フィールドベアー
57
4着(49.9) 8着(61.6) 4着(49.7) 12着(36.6) 10着(50.1)
11
トウショウシロッコ
56
5着(49.4) 12着(45.5) 11着(54.0) 6着(61.7) 3着(53.6)
12
マイネルスターリー
56
4着(48.7) 4着(45.5) 8着(54.0) 5着(37.4) 1着(49.1)
13
ジャミール
56
7着(61.6) 2着(47.0) 1着(56.5) 3着(59.2) 1着(52.4)
14
ナムラマース
56
16着(60.3) 2着(46.9) 2着(42.0) 5着(52.3) 6着(52.9)
15
スマートステージ
54
4着(67.0) 1着(61.3) 4着(47.5) 7着(46.4) 4着(44.3)
16
スズカサンバ
53
9着(49.9) 6着(46.2) 1着(55.5) 1着(50.3) 10着(35.3)
24
ホクトスルタン
57
3着(44.0) 5着(47.0) 4着(61.7) 8着(49.1) 4着(52.5)
※フルゲート16頭。ホクトスルタン(24)はハンデの関係で抽選で出走の可能性あり。

メンバーを見渡すと、シャドウゲイト、テイエムプリキュア、マンハッタンスカイ、ドリームサンデー。そして出走できればホクトスルタンと、前々で競馬をしたい馬が揃っている。過去10年、函館記念のRPCIの平均は45.26。今年はこれ以下になる可能性も十分ありそうだ。

■表5 今年の函館記念の参考レース

レース名
勝ち馬
2着馬
3着馬
馬場
勝ちタイム
RPCI
小倉大賞典 オースミスパーク ナリタクリスタル マヤノライジン
1.47.2
37.4
都大路S シルポート アドマイヤコマンド ホクトスルタン
1.44.8
44.0
09年エリザベス女王杯 クィーンスプマンテ テイエムプリキュア ブエナビスタ
2.13.6
44.4
中山金杯 アクシオン トウショウシロッコ トウショウウェイヴ
2.00.8
48.2
函館競馬場G・OP記念 マンハッタンスカイ ホッカイカンティ ショウナンライジン
1.47.6
49.9
AJC杯 ネヴァブション シャドウゲイト トウショウシロッコ
2.12.6
53.6
中京記念 シャドウゲイト タスカータソルテ ホッコーパドゥシャ
2.02.0
54.0
大阪城S マヤノライジン キャプテンベガ シェーンヴァルト
稍重
1.49.1
55.7
金鯱賞 アーネストリー ドリームサンデー スマートギア
1.59.5
58.1
巴賞 メイショウクオリア メイショウレガーロ ルールプロスパー
1.51.7
60.3

上の表5は今回の参考となりそうな芝1800〜2200mのレースを記した。まず、注目の前哨戦である巴賞のRPCIは60.3。かなりペースが遅いため上位馬を単純に評価するわけにはいかない。そこで、速い上がりを使いながら負けた馬(最速はホワイトピルグリム)に注目したいところだが、残念ながら今年は登録馬に名前がない。もう一つは函館競馬場グランドオープン記念。こちらのRPCIは49.9。巴賞よりも繋がる内容と言えそうだが、勝ち馬のマンハッタンスカイは2番手追走からの抜け出し。これ以上ペースが速くなったときにどうかという不安が残る。同様にシャドウゲイトが制した、今年の中京記念のRPCIは54.0。4走前のAJC杯2着時も53.6と、それほど先行馬に厳しい流れではなかった。また、逃げて2着に入ったドリームサンデーの金鯱賞に至ってはRPCIが58.1とかなり遅い(昨年の中日新聞杯2着は42.8だったでバッサリとは消せないが)。一方、ホクトスルタンの前走都大路SのRPCIは44.0。今回の数値にかなり近い。勝ち馬シルポートには5馬身も離されているが、一応3着に粘っている。

2010/2/6 中京11R 小倉大賞典(G3)ゴール前

その都大路Sよりもペースが厳しかったのは今年の小倉大賞典。RPCIは37.4だった。ここまで速すぎると後ろから差してきた馬に展開が向いたとも考えられるが、同レース3着のマヤノライジン、同レース5着も2位入線だったマイネルスターリーに注目してみたいところ。両馬ともに北海道の芝実績が豊富である点も好感触。

あとは、本来ならばエーシンドーバーやエリモハリアー、サクラオリオンあたりは道中が厳しい芝中距離は得意なのだが、近走の成績を考えると手を出しにくいか。昔の実績(2走前の日経新春杯、3走前の鳴尾記念のRPCIが48以下)という意味ではナムラマースで、こちらは前走長期休養明けという言い訳がある。屈腱炎明けでも大穴でどうか。ジャミールは2走前のRPCIが47.0だが、芝3000mの阪神大賞典でのもの。500万クラス時代にRPCI48.0だった札幌芝2000mを勝っているものの、最近は長丁場ばかり使われており、距離適性もそこにありそう。よって強くは推しにくい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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