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第410回 オグリキャップを追悼する

2010/7/19(月)

東京競馬場 オグリキャップの一般公開

今月3日、オグリキャップが優駿スタリオンステーションで骨折、死亡した。1987年に笠松から中央競馬に移籍後、大活躍を果たした国民的アイドルホースの死は、大きなニュースとなった。10日の中央競馬メーンレースでは「オグリキャップ追悼競走」の副題がついての施行。感動のラストランとなった90年の有馬記念から20年近くの時が過ぎているが、その存在は現在もなお競馬ファンに広く浸透している。

「芦毛の怪物」と呼ばれたオグリキャップにまつわる伝説は、これまで書籍などで数多く取り上げられているので、ここでは詳細を述べることはしない。しかし、追悼の意味を込めて、近年の名馬たちに関するデータを一つ取り上げ、オグリキャップの功績を振り返ってみることにする。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 G1(芝のレース含む)を4勝以上挙げた名馬たち(84年以降のレース)

馬名
内訳
G1制覇距離
シンボリルドルフ
7
牡馬クラシック3冠、天皇賞(春)、JC、有馬記念×2
2000〜3200m
テイエムオペラオー
7
皐月賞、天皇賞(春)×2、宝塚記念、天皇賞(秋)、JC、有馬記念
2000〜3200m
ディープインパクト
7
牡馬クラシック3冠、天皇賞(春)、宝塚記念、JC、有馬記念
2000〜3200m
ウオッカ
7
阪神JF、日本ダービー、安田記念×2、ヴィクトリアM、天皇賞(秋)、JC
1600〜2400m
アグネスデジタル
6
マイルCS、安田記念、天皇賞(秋)、フェブラリーS、香港C、南部杯
1600〜2000m
メジロドーベル
5
阪神牝馬3歳S、オークス、秋華賞、エリザベス女王杯×2
1600〜2400m
ナリタブライアン
5
朝日杯3歳S、牡馬クラシック3冠、有馬記念
1600〜3000m
ダイワメジャー
5
皐月賞、安田記念、天皇賞(秋)、マイルCS×2
1600〜2000m
タイキシャトル
5
マイルCS×2、スプリンターズS、安田記念、ジャックルマロワ賞
1200〜1600m
シンボリクリスエス
4
天皇賞(秋)×2、有馬記念×2
2000〜2500m
グラスワンダー
4
朝日杯3歳S、宝塚記念、有馬記念×2
1600〜2500m
メジロマックイーン
4
菊花賞、天皇賞(春)×2、宝塚記念
2200〜3200m
メイショウサムソン
4
皐月賞、日本ダービー、天皇賞(春)、天皇賞(秋)
2000〜3200m
マヤノトップガン
4
菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念、有馬記念
2200〜3200m
ブエナビスタ
4
阪神JF、桜花賞、オークス、ヴィクトリアM
1600〜2400m
トウカイテイオー
4
皐月賞、日本ダービー、JC、有馬記念
2000〜2500m
ダイワスカーレット
4
桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯、有馬記念
1600〜2500m
スペシャルウィーク
4
日本ダービー、天皇賞(春)、天皇賞(秋)、JC
2000〜3200m
オグリキャップ
4
有馬記念×2、安田記念、マイルCS
1600〜2500m

上の表1はグレード制が導入された1984年以降、G1を4勝以上挙げた名馬たちの一覧(ただし、芝のG1を勝っている馬のみ対象)。JRAのG1最多勝利を記録しているのがシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカの4頭。アグネスジタルは海外G1と地方のダートグレードを含むと6勝。以下5勝を挙げたのがナリタブライアンら4頭。4勝を挙げたのがシンボリクリスエスら。表1ではブエナビスタが唯一の現役馬で、この記録を伸ばす可能性が残っている。そしてオグリキャップは4勝。この記録だけでも十分に凄いが、現役当時、クラシック登録がなく皐月賞、日本ダービーに出走できなかった事情を考えると、なお数字に重みが出てくる。さらに言えば、最初から中央でデビューし、2歳時G1にも出走することができていれば、G1制覇数はもっと増えていた可能性が高い。

1990/12/23 中山9R 有馬記念(G1)1着 8番 オグリキャップ

オグリキャップのG1制覇の内訳を見ると、88年有馬記念で宿敵タマモクロスを撃破し、G1初制覇。翌年のマイルCSはバンブーメモリーとの死闘を制しての優勝。90年安田記念は休み明けながら貫禄の勝利。そして、同年有馬記念が感動のラストラン。G1制覇の距離を示すと、1600〜2500mということになる。1600mと2500mという、かなり異なるカテゴリーのG1を制している馬は、その他に表1ではダイワスカーレット、グラスワンダー、メジロドーベルらがいるが、これらの馬の1600mG1は2歳、3歳限定レースだ。その点、オグリキャップはいずれも古馬のG1での実績。古馬G1の方が難易度は高いし、価値もあるのではないだろうか。

単純に距離の長さという意味では、ディープインパクトなどの2000〜3200mの方が上になるが、中長距離と呼ばれることがあるように、それほど苦にしないことが多い。よって、オグリキャップのG1制覇距離の価値は、表1のメンバーで屈指と言えるだろう。有馬記念で2年連続3着という実績があるダイワメジャー、安田記念とJCを制しているウオッカもオグリキャップに似たタイプだろうか。現役時代のダイワメジャーとウオッカに対する一般的な評価は「マイラー」。オグリキャップの距離適性についても、マイラーという声が多かったようだ。それでも芝2500mのグランプリ・有馬記念を2度も制したあたりに、何かを持っていた馬ということをあらためて思う。

■表2 G1(芝のレース含む)を4勝以上挙げた名馬の功績(84年以降のレース)

馬名
G2
G3
年度代表
顕彰年
シンボリルドルフ 【1-0-0-0】 【2-0-0-0】 84年、85年 87年
テイエムオペラオー 【3-2-1-1】 【1-0-0-0】 00年 04年
ディープインパクト 【3-0-0-0】 未出走 05年、06年 08年
ウオッカ 【0-2-0-3】 【1-0-0-0】 08年、09年  
アグネスデジタル 【1-1-1-1】 【3-1-2-1】    
メジロドーベル 【1-1-0-3】 【1-1-1-1】    
ナリタブライアン 【3-1-1-0】 【1-0-0-1】 94年 98年
ダイワメジャー 【2-1-2-2】 【1-1-0-0】    
タイキシャトル 【2-0-0-0】 【1-0-0-0】 98年 99年
シンボリクリスエス 【2-0-0-0】 未出走 02年、03年  
グラスワンダー 【3-0-0-4】 未出走    
メジロマックイーン 【5-0-0-0】 未出走   94年
メイショウサムソン 【2-1-0-1】 【0-2-0-0】    
マヤノトップガン 【1-3-0-1】 未出走 95年  
ブエナビスタ 【1-1-0-0】 【1-0-0-0】    
トウカイテイオー 【1-0-0-0】 未出走 91年 95年
ダイワスカーレット 【2-0-0-0】 【0-2-0-0】    
スペシャルウィーク 【4-0-0-1】 【1-0-0-0】    
オグリキャップ 【4-0-0-0】 【4-0-0-0】 90年 91年

続いて上の表2は表1該当馬のG2、G3の成績と、年度代表馬と顕彰馬に選出された年を記している。オグリキャップは中央転厩後、クラシックに出走できなかったという事情があったため、G2・G3の出走が非常に多かった。中央入り初戦のペガサスS(現アーリントンC)から毎日王冠まで重賞6連勝をマークするなど、G2・G3ともに【4.0.0.0】とパーフェクトな成績。中央入り後は、G1以外では負けたことがなかったのだ。G1をいくつも勝っている馬とはいえ、G2以下のレースをすべて勝っているような馬はシンボリルドルフやディープインパクトぐらいで、ほんの一握り。「出走したレースは常に全力投球」、「格下相手には絶対に取りこぼさない」という、立派な一面があったこともうかがえる。

オグリキャップは現役を引退した90年、その年のJRA年度代表馬に選出された。そして、翌年にはJRA顕彰馬にも選出。いわゆる「殿堂入り」というものだ。この殿堂入りは、現役時代の競走成績だけでなく、種牡馬・繁殖牝馬としての実績、中央競馬発展への貢献度合いなども選考基準になっている。よって、選出されることが非常に難しくなっている。現役を退いて間もなく選ばれるケースなどは稀だ。オグリキャップは種牡馬としては、残念ながら優秀な子孫を残すことはできなかった。しかし、現役時代に日本競馬界にもたらした貢献は多大なものだった。今、筆者が競馬の仕事に携わっているのも、彼がいたからこそだと思っている。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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