データde出〜た
第400回 3歳馬、降級馬。買いなのはどっち?
2010/6/14(月)
春のG1戦線も終わり、今週から夏競馬が開幕。今年は函館競馬場のリニューアルオープンもあり、夏競馬を心待ちにしていたファンの方も多いのではないだろうか。夏競馬といえば、2歳馬のデビューはもちろん、3歳馬と古馬との対戦がスタート。そして4歳馬はクラスが下がる、いわゆる降級があり、条件クラスでは「現級馬vs3歳馬vs降級馬」という図式になる。一般的には「3歳馬と降級馬は買い」といわれているが、果たして本当にそうなのか。そして3歳馬と降級馬ではどちらが優秀な成績を残しているのか。今回は、クラス移動した初戦に焦点を当てて、3歳馬と降級馬の成績を分析していきたい。つまり3歳馬なら古馬と対戦する初戦、降級馬は降級初戦が対象となる。データの集計期間は過去3年の夏競馬。夏競馬の定義は、2歳のデビュー戦が始まる週から1回札幌(昨年は2回札幌)、3回新潟、3回小倉の最終日まで。昨年でいえば、6月20日(土)〜9月6日(日)の期間になる。なおデータ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 3歳馬の3歳上500万下における前走クラス別成績
前走クラス |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回収率 |
複回収率 |
新馬1着 |
1- 1- 0- 10/ 12 |
8.3% |
16.7% |
16.7% |
41% |
45% |
未勝利1着 |
65- 69- 61- 531/726 |
9.0% |
18.5% |
26.9% |
63% |
80% |
3歳・500万下 |
82- 82- 81- 875/1120 |
7.3% |
14.6% |
21.9% |
98% |
88% |
3歳・1000万下 |
0- 0- 0- 1/ 1 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
OPEN特別 |
6- 3- 1- 21/ 31 |
19.4% |
29.0% |
32.3% |
129% |
109% |
G3 |
1- 1- 1- 12/ 15 |
6.7% |
13.3% |
20.0% |
31% |
43% |
G2 |
3- 1- 3- 9/ 16 |
18.8% |
25.0% |
43.8% |
148% |
91% |
G1 |
2- 0- 0- 3/ 5 |
40.0% |
40.0% |
40.0% |
118% |
58% |
始めに3歳馬から見ていこう。表1は3歳馬の3歳上500万下における前走クラス別成績。先にも述べたが、今回はクラス移動して初戦のケースに焦点を当てたため、前走クラスはいずれも3歳馬限定のレースになる。前走クラスの大半は、未勝利と3歳・500万下。未勝利を勝ち上がっていない馬が3歳上500万下に挑戦するケースもわずかにあるが、それはクラス移動ではなく格上挑戦なので、除外している(新馬戦も同様)。そのため、未勝利1着と3歳・500万下で比較すると、未勝利1着のほうが勝率、連対率、複勝率は優秀。ただし、単・複回収率は3歳・500万下のほうが良い数字をマークしている。また前走でOPEN特別や重賞に出走している馬はそれほど多くないが、好走率、単・複回収率は優秀で積極的に狙う価値はあるだろう。特にOPEN特別、G2、G1は優秀な成績だ。
■表2 3歳馬の3歳上1000万下における前走クラス別成績
前走クラス |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回収率 |
複回収率 |
3歳・500万下1着 |
8- 8- 3- 39/ 58 |
13.8% |
27.6% |
32.8% |
95% |
74% |
3歳・1000万下 |
4- 5- 5- 33/ 47 |
8.5% |
19.1% |
29.8% |
84% |
130% |
OPEN特別 |
4- 5- 6- 33/48 |
8.3% |
18.8% |
31.3% |
40% |
92% |
G3 |
6- 2- 2- 18/28 |
21.4% |
28.6% |
35.7% |
70% |
61% |
G2 |
3- 3- 0- 11/17 |
17.6% |
35.3% |
35.3% |
42% |
61% |
G1 |
2- 0- 1- 4/ 7 |
28.6% |
28.6% |
42.9% |
264% |
120% |
次に3歳馬の3歳上1000万下における前走クラス別成績を見ていこう(表2参照)。こちらは前走クラスで大きな傾向は見られず、前走クラスが上がっても優秀な成績とはいえない。ただし、3歳1000万下、OPEN特別の好走率はやや低く、3歳・500万下1着、重賞組のほうが好走率は高い。
■表3 3歳馬の3歳上1600万下における前走クラス別成績
前走クラス |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回収率 |
複回収率 |
3歳・1000万下1着 |
0- 1- 1- 0/ 2 |
0.0% |
50.0% |
100.0% |
0% |
140% |
OPEN特別 |
0- 0- 0- 2/ 2 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
G3 |
0- 0- 0- 4/ 4 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
G2 |
0- 0- 0- 2/ 2 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
G1 |
0- 0- 0- 2/ 2 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
表3は3歳馬の3歳上1600万下における前走クラス別成績だが、夏のクラス移動で3歳馬が3歳上1600万下からスタートするケースはほとんどないため、データは少ない。
■表4 降級馬の3歳上500万下における前走クラス別成績
前走クラス |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回収率 |
複回収率 |
500万下1着 |
34- 14- 17- 79/ 144 |
23.6% |
33.3% |
45.1% |
101% |
87% |
1000万下 |
91- 88- 61- 474/ 714 |
12.7% |
25.1% |
33.6% |
77% |
75% |
1600万下 |
0- 0- 0- 0/ 0 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
OPEN特別 |
0- 0- 1- 4/ 5 |
0.0% |
0.0% |
20.0% |
0% |
224% |
G3 |
0- 0- 0- 2/ 2 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
G2 |
0- 0- 0- 3/ 3 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
G1 |
0- 0- 0- 1/ 1 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
ここからは4歳の降級馬について分析していきたい。まず3歳上500万下に降級する馬だが(表4参照)、前走レースは大半が500万下1着か1000万下。その2つでどちらが優秀かといえば、500万下1着だ。500万下1着からの馬は、すべての面で1000万下を上回っており、複勝率は45.1%というハイアベレージをマーク。降級馬といえば、前走で格上のクラスに出走している馬に目がいきがちだが、前走で同級を勝利している馬も事実上、降級馬。意外と見落とされている点なのかもしれない。
■表5 降級馬の3歳上1000万下における前走クラス別成績
前走クラス |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回収率 |
複回収率 |
1000万下1着 |
19- 12- 8- 35/ 74 |
25.7% |
41.9% |
52.7% |
113% |
97% |
1600万下 |
34- 21- 20-133/208 |
16.3% |
26.4% |
36.1% |
94% |
77% |
OPEN特別 |
2- 1- 1- 14/ 18 |
11.1% |
16.7% |
22.2% |
87% |
55% |
G3 |
3- 2- 2- 4/ 11 |
27.3% |
45.5% |
63.6% |
109% |
108% |
G2 |
2- 1- 0- 4/ 7 |
28.6% |
42.9% |
42.9% |
65% |
61% |
G1 |
0- 1- 0- 0/ 1 |
0.0% |
100.0% |
100.0% |
0% |
200% |
続いて3歳上1000万下に降級する馬をまとめたのが表5。ここでも前走1600万下の馬より、前走1000万下を勝利している馬のほうが圧倒的に優秀。前走1000万下を勝利している馬は、勝率25.7%、連対率41.9%、複勝率52.7%をマークし、単・複回収率も100%前後をマーク。また前走が重賞の馬も数はわずかだが、好走率は高い。
■表6 降級馬の1600万下における前走クラス別成績
前走クラス |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回収率 |
複回収率 |
1600万下1着 |
0- 3- 0- 2/ 5 |
0% |
60% |
60% |
0% |
104% |
OPEN特別 |
5- 4- 1- 18/ 28 |
17.9% |
32.1% |
35.7% |
185% |
103% |
G3 |
2- 2- 0- 18/ 22 |
9.1% |
18.2% |
18.2% |
53% |
29% |
G2 |
3- 1- 2- 3/ 9 |
33.3% |
44.4% |
66.7% |
275% |
153% |
G1 |
0- 1- 0- 3/ 4 |
0.0% |
25.0% |
25.0% |
0% |
30% |
表6では降級馬の3歳上1600万下における前走クラス別成績をまとめてみた。ここでは前走1600万下1着の馬が少なく、同級1着とOPEN特別を比較することはできない。しかし、OPEN特別は全体的に優秀で、単・複回収率も100%を超えている。またデータは少ないが、G2からの好走馬も多い。
■表7 3歳馬と降級馬のクラス別成績
クラス |
3歳馬/降級馬 |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
500万下 |
3歳馬 |
160- 157- 147- 1462/1926 |
8.3% |
16.5% |
24.1% |
降級馬 |
125- 102- 79- 563/ 869 |
14.4% |
26.1% |
35.2% |
|
1000万下 |
3歳馬 |
27 - 23- 17- 138/ 205 |
13.2% |
24.4% |
32.7% |
降級馬 |
60 - 38- 31- 190/ 319 |
18.8% |
30.7% |
40.4% |
|
1600万下 |
3歳馬 |
0- 1- 1- 8/ 10 |
0.0% |
10.0% |
20.0% |
降級馬 |
10- 11- 3- 44/ 68 |
14.7% |
30.9% |
35.3% |
それでは3歳馬と降級馬ではどちらが買いなのか。それを示したのが表7になる。ここでは表1〜6までを前走クラスに関係なくまとめてみた。結論からいえば、どのクラスにおいても3歳馬より降級馬のほうが優秀といえるだろう。ご覧の通り、降級馬はすべての数字で3歳馬を上回っている。ただし、3歳馬が買えないというわけではない。表1〜3で見たように、条件によっては「買い」の場合もある。降級馬は、前走同級1着馬がオススメ。「降級=前走格上条件」ではなく、前走同級1着も降級馬。意外と見落としがちな前走1着馬を積極的に狙うのが面白いのではないだろうか。
ライタープロフィール
フランキー森山(ふらんきー もりやま)
1984年1月、神奈川県生まれ。重賞レースにおいては、毎年同じようなステップで出走してくる馬が多いことから、データ競馬の有効性に着目。データde出〜たでは主に過去の好走馬の実績を重視し、予想を展開している。馬券を買うのはもちろん、競馬場へ行くことも好きなタイプ。好きなレースは平安S。05年に中央競馬の全場踏破達成。その後は、地方、海外の競馬場へもたびたび訪れている。