第382回 障害戦の「圧勝」を考える|競馬情報ならJRA-VAN

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第382回 障害戦の「圧勝」を考える

2010/4/12(月)

今週土曜日には中山競馬場でJG1・中山グランドジャンプが行われる。そこで今回は障害戦にちなんで、同レースにおける「圧勝」について考えてみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

競馬を語る上で「圧勝」という言葉はよく使われるが、それが具体的にどれぐらいの着差をつけての勝利かというのは特に決まっていない。そもそもレースの着差を示して言う言葉なのかというのも、定かではない。仮に今回は着差によって圧勝か否かと言うとするとしても、レースの距離によって着差の価値というものは異なってくる。短距離戦での1.0秒差と長距離戦での1.0秒差は、意味合いが大きく違う。一般的には、短距離の前者の方がその着差の価値は大きいと考えるものだ。そうなると、平地戦と障害戦における着差の価値も当然違う。障害戦では何かと着差がつきやすく、勝ち馬と2着馬の差が1〜2秒つくことはザラにあるからだ。しかし、新聞の前走成績欄で「大差勝ち」ともなっていれば、どうしても気になってしまうのが予想をする側の心理。「物凄く強いのではないか」と錯覚してしまうこともあるだろう。

■表1 昇級戦で障害OP(クラス)に出走した馬の前走着差別成績

前走着差
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回収率
複回収率
勝2.0〜 4-  1-  0-  3/  8
50.0%
62.5%
62.5%
162
92
勝1.0〜1.9 5-  5-  4- 57/ 71
7.0%
14.1%
19.7%
39
39
勝0.6〜0.9 8-  6- 11- 55/ 80
10.0%
17.5%
31.3%
82
92
勝0.3〜0.5 14- 13-  9- 71/107
13.1%
25.2%
33.6%
221
155
勝0.1〜0.2 4-  9- 13- 85/111
3.6%
11.7%
23.4%
38
106
勝0.0 2-  2-  4- 43/ 51
3.9%
7.8%
15.7%
100
62
負0.0 0-  0-  0-  0/  0
負0.1〜0.2 1-  0-  0-  0/  1
100.0%
100.0%
100.0%
520
160
負0.3〜0.5 0-  1-  0-  3/  4
0.0%
25.0%
25.0%
0
25
負0.6〜0.9 0-  0-  2-  9/ 11
0.0%
0.0%
18.2%
0
50
負1.0〜1.9 4-  3-  6- 51/ 64
6.3%
10.9%
20.3%
92
99
負2.0〜2.9 1-  2-  1- 35/ 39
2.6%
7.7%
10.3%
167
127
負3.0〜3.9 0-  1-  1- 11/ 13
0.0%
7.7%
15.4%
0
38
負4.0〜 0-  0-  0- 14/ 14
0.0%
0.0%
0.0%
0
0

そこで、まず今回は昇級戦として障害のOPクラスに出走した馬の前走着差別成績(表1)を示してみたい。集計期間は05年1月から今年の4月4日開催終了時点まで。前走1.0〜1.9秒もの差をつけて前走障害未勝利戦を勝ってきた馬の、障害OPクラスでの成績は【5.5.4.57】。勝率7.0%、連対率14.1%、複勝率19.7%という数字だった。これだけを見ると、決して優秀な成績ではない。優秀などころか単・複回収率がそろって39%と、馬券妙味も薄い。前走0.6〜0.9秒差をつけて勝ってきた馬の方が勝率・連対率・複勝率すべてで上回っている。また、それよりも0.3〜0.5秒の差をつけて障害未勝利戦を勝ってきている馬が、14勝をマーク。勝率13.1%、連対率25.2%。単・複回収率が100%オーバーと、ここのゾーンが最も優秀だ。

2009/12/5 中山9R イルミネーションジャンプS1着 5番 ムーンレスナイト

障害戦において前走1.0〜1.9秒差が「圧勝」と呼ぶことには異議を唱えるつもりはないが、その勝ちっぷりを次走で過大評価をしてはいけないことがわかる。今回は着差のみで考えており、相手関係やタイムを無視しているので、そうした結果が出たことに驚きはない。単に着差だけで考えるのであれば、前走2.0秒以上離して勝っていた時のみ「圧勝」として期待できるのではないだろうか。2.0秒以上離して勝っていた馬の成績は【4.1.0.3】。連対率62.5%とかなり高い数字だ。一番近いところのレースとなると、昨年12月のイルミネーションジャンプS。ムーンレスナイトが前走東京ダート3000mを3.4秒も差をつけて勝ち、次走イルミネーションジャンプSで3番人気に支持され、結果、3分59秒6のレコードで勝利を収めた。

障害未勝利勝ちでの着差は1.0秒差も0.1秒差も、トータルでみればさほど変わらない。2着馬とタイム差がないときは【2.2.4.43】の連対率7.8%なので、さすがにこの場合は昇級初戦だと疑った方がいいかもしれない。

次に表1の下半分のデータについて説明する。こちらは前走下のクラスで負けていた馬の成績だが、単に格上挑戦をしてきた馬の成績ではない。それにしては好走例が多すぎると、直感的にわかるだろう。この成績には平地での成績も含まれているのだ。実際によくあるパターンだが、障害の重賞の前に、平地の500万クラスや1000万クラスを叩いてくるケースだ。前走は完全な叩き台なので、平地での成績はほとんど関係ないと考えるのが普通だ。が、表を見ると実はそうでもないことがわかる。平地戦でも1.0〜1.9秒ぐらいの負けで収まっている馬の方が、良績を残しているのだ。2.0〜2.9秒差は、まだ許容範囲か。しかし、3.0秒以上負けているとさすがに厳しく、近年勝ち馬は出ていない。4.0秒以上もの負けになると【0.0.0.14】で、巻き返しは困難とみるべきだろう。

■表2 前走障害OPクラスに出走した馬の前走着差別成績

前走着差
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回収率
複回収率
勝2.0〜 2-  1-  1-  2/  6
33.3%
50.0%
66.7%
71
83
勝1.0〜1.9 7-  4-  5- 10/ 26
26.9%
42.3%
61.5%
83
93
勝0.6〜0.9 9-  4-  2- 15/ 30
30.0%
43.3%
50.0%
118
78
勝0.3〜0.5 9- 11-  4- 19/ 43
20.9%
46.5%
55.8%
63
96
勝0.1〜0.2 7-  3- 13- 26/ 49
14.3%
20.4%
46.9%
53
93
勝0.0 3- 11-  2- 16/ 32
9.4%
43.8%
50.0%
79
93
負0.0 6-  5-  4- 20/ 35
17.1%
31.4%
42.9%
105
77
負0.1〜0.2 19-  6-  6- 46/ 77
24.7%
32.5%
40.3%
157
77
負0.3〜0.5 17- 14- 10- 72/113
15.0%
27.4%
36.3%
73
71
負0.6〜0.9 16- 20- 15-119/170
9.4%
21.2%
30.0%
83
84
負1.0〜1.9 41- 38- 39-354/472
8.7%
16.7%
25.0%
106
87
負2.0〜2.9 20- 20- 19-284/343
5.8%
11.7%
17.2%
97
74
負3.0〜3.9 4-  9- 16-228/257
1.6%
5.1%
11.3%
24
60
負4.0〜 8- 16- 16-365/405
2.0%
5.9%
9.9%
75
79

次に上の表2は、前走障害OPクラスに出走した馬の前走着差別成績。つまり、前走障害OP→今回障害の重賞というようなローテーションを取ったケースだ。まず上半分を見ていくと、全体的に成績がよい。すでに現級を勝ち、勢いもあるわけだから当然かもしれないが、連対率は軒並み40%以上ある。前走タイム差なしの辛勝馬でも連対率は43.8%と、前走1.0〜1.9秒差をつけて勝った馬より上回る。ということは、OPクラスにおいても着差はさほど関係ないということ。こちらも2.0秒以上の差をつけて勝ってきた場合のみ、一目置くぐらいの感覚でいいような感じだ。最後に表の下半分を見ていこう。こちらは着差が開くにつれて連対率が順々に下がっていくのがわかる。同じ負けでも僅差の方を素直に評価すべきだろう。平地と違う点は、1.9秒差以内ぐらいの負けならばあまり気にしなくていい点。4.0秒以上(落馬は含んでいない)も負けている馬でも、かなり巻き返しているケースがあることがわかる。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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