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第381回 ステップレースで敗れた2歳女王が出走する桜花賞の傾向は?

2010/4/8(木)

06年のコース改修後、過去3回の桜花賞が行なわれた。単勝1倍台前半の断然人気馬が存在した07年と09年は堅い決着、人気が割れた08年は3連単700万馬券の大波乱となっている。旧コース時代の桜花賞は外枠の不利が大きく、また「魔の桜花賞ペース」と言われた特有のハイペースの影響から本命馬がたびたび馬群に沈んだことで知られていた。参考となる前例は3回のみだが、現コースでは枠順の有利不利が解消されたこともあり(過去3年で7、8枠が計5連対)、現在は下馬評と結果が直結するレース傾向になった感もある。

今年の主役となるのが、阪神ジュベナイルフィリーズ(以下阪神JF)を制して2歳女王に輝いたアパパネだ。ステップレースのチューリップ賞でも2着にまとめて臨戦過程には申し分ないが、ウオッカやブエナビスタほどの絶対的な本命馬という雰囲気はない。前述したように、過去3年は1番人気馬が来れば本命サイドの決着、来なければ大波乱となっているだけに、1番人気となるだろうアパパネの取捨は馬券の方針にも大きくかかわってくる。そのあたりを中心に、今年の桜花賞を分析してみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 ステップレースで負けた阪神JF勝ち馬の桜花賞成績(91年〜)

年度
前年の阪神JF
ステップ
桜花賞
勝ち馬
人気
レース名
着順
人気
着順
92
ニシノフラワー
1
チューリップ賞
2
1
1
93
スエヒロジョウオー
9
チューリップ賞
9
8
6
96
ビワハイジ
4
チューリップ賞
2
2
15
97
メジロドーベル
2
チューリップ賞
3
2
2
98
アインブライド
7
チューリップ賞
3
6
10
02
タムロチェリー
7
チューリップ賞
12
6
12
04
ヤマニンシュクル
6
チューリップ賞
3
4
3
05
ショウナンパントル
8
クイーンC
12
7
13
06
テイエムプリキュア
8
チューリップ賞
4
3
8
08
トールポピー
3
チューリップ賞
2
1
8
10
アパパネ
2
チューリップ賞
2
(00年までは阪神3歳牝馬S)

アパパネは今年初戦となった桜花賞トライアルのチューリップ賞を2着に敗れた。このアパパネのようにステップレースを勝てなかった阪神JF(91〜00年は阪神3歳牝馬S)勝ち馬は、桜花賞でどのような結果を残しているのか? それをまとめたのが表1だ。大半の馬が本番と同舞台となるチューリップ賞を選択しているが、ステップレースの敗戦から巻き返して勝った2歳女王は、92年のニシノフラワー、ただ1頭しかいないのである。馬券に絡んだのも、97年2着のメジロドーベルと04年3着のヤマニンシュクルだけ。ふたケタ着順に大敗した馬も少なくなく、ステップレースで敗れた2歳女王は意外なほど苦戦しているようだ。

ただし、表をじっくり見ると、阪神JFを人気薄で勝った馬が少なくないことに気づくのではないだろうか。アパパネは阪神JFを2番人気で勝利。そのあたりを考慮すると、参考にすべき前例としては、阪神JFを人気サイドで勝ったニシノフラワー、ビワハイジ、メジロドーベル、トールポピーに絞ることができそうだ。これら4頭は、負けたステップレースでも2、3着にはまとめており、桜花賞本番でも2番人気までに推されている。アパパネも同じような立場で当日を迎えることになるはずだ。

1992/4/12 阪神10R 桜花賞(G1)1着 9番 ニシノフラワー

この4頭のうち、好走したのはニシノフラワー(1着)とメジロドーベル(2着)の2頭。ビワハイジとトールポピーはそれぞれ15着と8着に大敗した。明暗分かれた結果になっているが、レース当日の単勝人気を手がかりにその理由を考えていきたい。まず、好走した2頭から見ていこう。92年ニシノフラワーの桜花賞での単勝オッズは2.3倍。2番人気のサンエイサンキューが6.4倍だから、チューリップ賞で敗れたとはいえニシノフラワー断然の構図は崩れなかったと言える。そして、本番では3馬身半差の圧勝。2着のアドラーブルは6番人気だったが、チューリップ賞で実際にニシノフラワーを破っていた馬なので、結果的には順当なワンツーと言ってもいいはずだ。また、97年メジロドーベルは3.4倍で2番人気。別路線で圧勝を続けていたキョウエイマーチに1番人気(2.6倍)を譲ったものの、こちらも2強という前評判どおりのワンツーを決めている。

逆に、2歳女王が本番で大きく崩れた96年と08年は波乱の決着が待っていた。3歳初戦としてチューリップ賞を選んだビワハイジだったが、阪神JFで下したエアグルーヴの返り討ちに遭い5馬身差の完敗2着。エアグルーヴが無事に桜花賞にも出走していれば、この馬が断然1番人気に推されて混戦になることもなかったろうが(熱発のため回避)、4.6倍のリトルオードリーが1番人気、2番人気のビワハイジも4.8倍と大きく人気が割れ、最終的には10番人気のファイトガリバーが制している。08年のトールポピーは1番人気にこそ推されたものの、単勝オッズはリトルアマポーラと並ぶ3.8倍。勝ったのは12番人気の穴馬レジネッタだった。「2歳女王がトライアルレースで敗れた影響もあって混戦状況に陥った」場合、その2歳女王の好走は大きく遠のいてしまうようだ。

翻って今年のアパパネ。新馬戦こそ敗れたものの、2戦目の未勝利戦から阪神JFまでレコード勝ちを含む3連勝。チューリップ賞の敗因は道悪に求めることも可能で、0秒1差の2着ならまったく気にする必要のない敗戦かもしれない。とはいえ、このアパパネを含めて今年の3歳世代にはこれまで重賞2勝馬がいないのも事実。G1勝ちの実績は認めるべきだが、傑出した存在とまでは言えない。どこからどこまでを混戦と呼ぶのか、その定義は難しいところだが、1番人気の単勝オッズが3倍以上をつけるようなら波乱と読んで、思い切った馬券を狙ってみる価値もあるのではないだろうか。

■表2 近3年の1〜5着馬と前走成績

年度
桜花賞
前走
着順
馬名
人気
上がり3F
レース名
着順
人気
上がり3F
07
1
ダイワスカーレット
3
33.6
チューリップ賞
2
2
33.9
2
ウオッカ
1
33.6
チューリップ賞
1
1
33.5
3
カタマチボタン
7
34.4
クイーンC
2
1
34.3
4
ローブデコルテ
9
33.5
チューリップ賞
5
3
34.5
5
イクスキューズ
6
33.5
クイーンC
1
3
34.3
08
1
レジネッタ
12
34.5
フィリーズレビュー
3
4
35.2
2
エフティマイア
15
35.4
クイーンC
6
10
35.4
3
ソーマジック
5
34.8
アネモネS
1
2
36.3
4
ハートオブクィーン
16
35.6
アネモネS
14
10
37.8
5
リトルアマポーラ
2
34.3
クイーンC
1
1
34.4
09
1
ブエナビスタ
1
33.3
チューリップ賞
1
1
34.7
2
レッドディザイア
2
33.7
エルフィンS
1
1
34.2
3
ジェルミナル
5
33.8
チューリップ賞
5
3
35.0
4
ワンカラット
6
34.0
フィリーズレビュー
1
6
35.8
5
ルージュバンブー
8
34.2
チューリップ賞
3
8
35.0
(上がり3F欄の色は、黄色がメンバー中1位、青が2位、緑が3位を示す)

表2は、近3年の1〜5着馬と前走成績。阪神改修後の桜花賞で掲示板に載った馬、15頭の前走成績を調べると5レースに集約される。なかでも重要なステップとなっているのが、07年と09年にそれぞれ3頭ずつ掲示板圏内に送り込んだチューリップ賞だが、これはコース改修前も同じ傾向が出ていた。本番と同条件で行なわれるレースだけに、好走馬が多数出るのも当然だろう。

注目すべきは、コース改修後の好走する例が増えたクイーンCだ。コース改修前、00〜06年の7年間で掲示板に載った前走クイーンC組は3頭しかいなかったのに、近3年でそれを上回る4頭が5着以内に入っている。桜花賞の行なわれる阪神芝1600mは、コース改修で直線の長さが473m(Aコース時、以下同)に延長された。回りの左右は違うものの、クイーンCの行なわれる東京芝1600mも直線の長いマイル戦という条件は同じ。これがコース改修後に前走クイーンC組が躍進した大きな理由だろう。

07年と09年は、チューリップ賞とクイーンCの2レースの好走馬(および上がり3Fタイム上位馬)が1〜3位をほぼ独占。唯一該当しない09年2着のレッドディザイアの前走は、直線404mと比較的長い京都芝外回りのマイル戦・エルフィンSで上がり1位の脚を使って勝っていた。当たり前の話かもしれないが、外回りになった桜花賞では、直線の長いコースで鋭い脚を使える馬が上位に来ると堅い決着に収まるようだ。07年と09年の上位馬が前走と本番で使った上がり3Fタイムを見ても、33秒台から34秒台前半ないしはメンバー中で3位以内のタイムとなっている。

逆に波乱に終わった08年は、前走フィリーズレビュー3着のレジネッタが勝ち、前走アネモネS1着のソーマジックが3着。フィリーズレビューは本番と同じ阪神で行なわれるが、内回りの芝1400mは直線352mと本番より100m以上短く、アネモネSの中山は310mとさらに短い。2着のエフティマイアは前走クイーンCだが、そこでは6着に敗れていた。前走の上がり3Fが35秒台だった馬が1〜4着を占める一方、クイーンCでメンバー中1位の脚を駆使して勝っていたリトルアマポーラは、桜花賞でも最速の上がりを使いながら届かず5着まで。大波乱になった08年のレースが、07年や09年とはまったく異なる性質を持っていることがこのあたりからわかるはずだ。

まとめると、現在の桜花賞は直線の長いコースで行なわれる。すなわち、同じコース特性を持つチューリップ賞やクイーンCで瞬発力を発揮して好走した馬にとって有利なレース。そして、そんな場合は堅い決着になる可能性が高い。しかし、なんらかの理由、たとえば前半が超ハイペースになったときや道悪になったときなど、速い上がりの勝負にならなければ波乱の可能性も十分にある。そんなことが言えるのではないだろうか。

【結論】

■表3 桜花賞最終登録馬

出走順位
馬名
前走
レース名
着順
人気
上がり3F




1
サウンドバリアー フィリーズレビュー
1
9
34.8
ラナンキュラス フィリーズレビュー
2
1
35.2
レディアルバローザ フィリーズレビュー
3
5
35.5
ショウリュウムーン チューリップ賞
1
9
34.7
アパパネ チューリップ賞
2
1
35.0
エーシンリターンズ チューリップ賞
3
8
34.9
ギンザボナンザ アネモネS
1
2
35.8
アニメイトバイオ アネモネS
2
1
36.1


9
アプリコットフィズ クイーンC
1
1
35.1
コスモネモシン フラワーC
2
4
34.5
11
オウケンサクラ フラワーC
1
3
34.9
12
ジュエルオブナイル ファルコンS
9
3
35.8
シンメイフジ フラワーC
5
2
35.5
ステラリード フィリーズレビュー
10
10
35.5
15
プリンセスメモリー クイーンC
2
10
34.3
16
タガノエリザベート すみれS
5
4
35.3
17
ワイルドラズベリー チューリップ賞
7
3
36.0
18
モトヒメ フィリーズレビュー
6
11
35.5



19
ベストクルーズ フラワーC
4
6
34.9
20
アグネススペクトル 500万下
1
3
36.5
アマファソン 君子蘭賞
1
5
35.5
ケイアイデイジー マーガレットS
5
13
34.2
ロジフェローズ フィリーズレビュー
4
4
34.7
24
ジュヴェビアン フラワーC
16
13
37.7
スティールパス 500万下
9
2
37.9
スマートメビウス 未勝利
1
2
34.4
ラフォルジュルネ チューリップ賞
5
6
34.5
ワシリーサ 君子蘭賞
12
9
37.5
(馬名欄が灰色の馬は回避予定)

桜花賞の最終登録馬は表3のとおり。4月7日(水)現在では18位のモトヒメまでが出走することになりそうだ。

2009/12/13 阪神11R 阪神JF(Jpn1)1着 18番 アパパネ
2009/2/20 東京11R デイリー杯クイーンC(G3)1着 9番 アプリコットフィズ

1番人気のアパパネのチューリップ賞での上がり3Fは35秒0。しかし、これは道悪だったことを考慮する必要があるし、阪神JFでメンバー中2位の34秒3、赤松賞ではメンバー中1位の33秒6という脚を使っているので瞬発力不足ということはあるまい。叩かれて本来の末脚が戻るかどうか。お得意の栗東留学で阪神JF時の体調をアップさせられるかがカギとなりそうだ。

ここにきてその存在がクローズアップされているのがアプリコットフィズ。クイーンCで2着に2馬身差をつけた能力に加え、過去3戦はすべてメンバー中3位以内の上がりを使っているように瞬発力もしっかり備えている。ただし、07年や09年のような33秒台の脚が求められるレースになったときは未知数な部分もある。

そのほか、瞬発力勝負に強そうな馬としては、メンバー中最速の上がりを何度もマークしているタガノエリザベートプリンセスメモリーあたりが挙げられる。ただし、前述したように瞬発力勝負となった場合は人気サイドの決着になるのがコース改修後の桜花賞での定石なので、狙うとしても3着までと考えたほうがいいかもしれない。

ただし、主要ステップレースの上がり3Fが軒並み35〜36秒台だったことを思うと、さらに流れが速くなると考えられる本番の桜花賞だけが瞬発力勝負になるとも考えづらいのではないだろうか。だとすれば、08年のように上がりがかかって穴馬が台頭する展開も想定しておく必要があるだろう。この場合は、フィリーズレビューやアネモネSの好走馬が狙い目となり、そこでもメンバー中3位以内に入るような脚は使っていないほうがむしろ好都合となる。これに該当するのがラナンキュラスレディアルバローザアニメイトバイオといったあたり。改修後は好走馬が出ていないが、アネモネSと同じ中山コースで行なわれたフラワーC組のオウケンサクラもおもしろそうだ。もうひとひねりして、チューリップ賞やクイーンCで速い上がりを使えずに敗れた馬の巻き返しを狙う手もある(08年2着エフティマイアのパターン)。このパターンに該当する馬としてはワイルドラズベリーを挙げておきたい。

ここまで上がり3Fタイムに注目したが、もうひとつ忘れてはならないのが1番人気のオッズである。前述したように、ステップレースで負けた2歳女王が出走する桜花賞では、1番人気の単勝オッズが3倍を超えるかどうかで結果が大きく変わってくる。3倍未満に収まれば堅い決着に終わり、3倍を超える混戦ムードとなれば大波乱の結末。もし仮に1番人気がアパパネではなくアプリコットフィズになったとしても、その単勝オッズの行方は締め切り寸前まで注視していきたい。最終的に1番人気が2倍台になるようなら、アパパネ、アプリコットフィズを軸に瞬発力勝負に強い馬を狙っていく。この場合は堅い決着となるので点数を絞る必要があるだろう。一方、3倍超えるようなオッズで推移し、さらに当日の馬場が33秒台の末脚勝負にはなりそうもない道悪にでもなっていれば、08年の再現も十分にありうる。波乱にヤマを張って穴馬を手広く狙っていく作戦も決して無理筋ではないはずだ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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