第372回 「前走2着馬」を研究する|競馬情報ならJRA-VAN

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第372回 「前走2着馬」を研究する

2010/3/8(月)

1勝もしていない馬によって争われる未勝利戦を想定すればわかりやすいが、「前走2着馬」は勝利に最も近い存在と言っていいはずだ。実際、「前走2着馬」の好走率は高いのだが、勝率でいえば20%強といったところでしかない。つまり、8割近くは負けてしまう。「前走2着馬」だからといって過度に信頼してしまうのは、危険な行為でもあるのだ。

たとえば、競馬新聞を見て予想するとき、まず目がいくのは「前走2着馬」という方も多いだろう。すなわち、「前走2着馬」の取捨は馬券戦略における大きな課題。「前走2着馬」の正しい買い方、消し方をマスターすれば収支も大きく上向くのではないだろうか。今回は、そんな「前走2着馬」について、6つのテーマから考察してみたい。集計期間は07年2月24日〜10年2月2月21日の3年間。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

●「前走2着馬の基礎知識」

まずは、「前走2着馬の基礎知識」と題して、基本的な考え方について見てみよう。

■表1 「前走2着馬・クラス」別成績

クラス
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回値
複回値
未勝利
1041- 743- 532- 1827/4143
25.1%
43.1%
55.9%
82%
82%
500万下
681- 520- 400- 1943/3544
19.2%
33.9%
45.2%
73%
78%
1000万下
253- 204- 147- 724/1328
19.1%
34.4%
45.5%
79%
80%
1600万下
41- 61- 46- 279/ 427
9.6%
23.9%
34.7%
45%
66%
オープン特別
27- 24- 21- 147/ 219
12.3%
23.3%
32.9%
88%
75%
G3
25- 17- 21- 158/ 221
11.3%
19.0%
28.5%
108%
83%
G2
20- 14- 11-  88/ 133
15.0%
25.6%
33.8%
91%
82%
G1
12- 12- 15- 116/ 155
7.7%
15.5%
25.2%
104%
93%

2009/5/3 京都10R 天皇賞(春)(G1)1着 2番 マイネルキッツ

表1は「前走2着馬」のクラス別成績。大ざっぱにいって、クラスが下になるほど「前走2着馬」の信頼度は高まり、クラスが上になるほど低くなる。そのような傾向があるようだ。未勝利戦の勝率は25.1%にも達する一方、1600万下〜G1では10%に満たない場合もある。一般的に言って、下級条件戦ほど出走馬の実力に差があり、上級条件戦になるほど接近する(※1600万下をようやく勝ち上がった馬からディープインパクトまでいるオープンクラスになると話はまた別)。実力差が大きいうえに、減量騎手起用時を除いて斤量差のない未勝利戦で「前走2着馬」の勝率が最も高く、実力差が小さいのに多頭数戦やハンデ戦のレースも多い1600万下で勝率9.6%まで落ち込むのは当然とも言えるだろう。

回収率に目を移すと、オープンクラス(オープン特別〜G1)の優秀さが目につく。これは、強い馬が揃っているために「前走2着馬」が人気の盲点になりやすいことを意味するのではないだろうか。その最たる例と言えるのが、09年天皇賞(春)を勝ったマイネルキッツ。前哨戦の日経賞で2着に入っていたにもかかわらず12番人気の支持にすぎなかった。G1馬6頭を含むメンバーに入ると、重賞未勝利の同馬が実績的に見劣るのは仕方がない面もあるが、まさに「前走2着馬」が人気の盲点となった格好だった。

●「前走2着馬」なのに意外なほど人気がない場合

■表2 「前走2着馬・人気」別成績

人気
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回値
複回値
1番人気
1284- 757- 451-1202/3694
34.8%
55.3%
67.5%
74%
82%
2番人気
444- 400- 314- 972/2130
20.8%
39.6%
54.4%
82%
82%
3番人気
183- 186- 177- 719/1265
14.5%
29.2%
43.2%
80%
79%
4番人気
82- 112- 92- 594/ 880
9.3%
22.0%
32.5%
74%
73%
5番人気
51- 67- 67- 427/ 612
8.3%
19.3%
30.2%
88%
84%
6番人気
25- 24- 32- 297/ 378
6.6%
13.0%
21.4%
88%
70%
7番人気
11- 20- 22- 261/ 314
3.5%
9.9%
16.9%
64%
72%
8番人気
4-  9-  17- 190/ 220
1.8%
5.9%
13.6%
29%
72%
9番人気
6-  8-  6- 138/ 158
3.8%
8.9%
12.7%
97%
80%
10番人気
3-  3-  9- 98/ 113
2.7%
5.3%
13.3%
134%
92%
11番人気
1-  3-  0- 119/ 123
0.8%
3.3%
3.3%
55%
58%
12番人気
4- 3-  5- 75/87
4.6%
8.0%
13.8%
235%
154%
13番人気
2- 2- 1- 61/66
3.0%
6.1%
7.6%
164%
105%
14番人気
0- 0- 0- 49/49
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
15番人気
0- 0- 0- 47/47
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
16番人気
0- 1- 0- 23/24
0.0%
4.2%
4.2%
0%
59%
17番人気
0- 0- 0- 7/7
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
18番人気
0- 0- 0- 3/3
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

「意外なほど人気がない」といっても、人によって「意外なほど」の感じ方はまったく違うだろうが、ここでは「前走2着馬なのに6番人気以下」について考えてみたい。と言いつつ、あっさり結論を出してしまうのだが、「6〜8番人気は微妙」「9〜13番人気は回収率が高い」「14番人気以下はほぼ絶望的」となった。

■表3−1 「前走2着馬・人気帯」別成績

人気帯
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
6〜8人気
40- 53- 71-748/912
4.4%
10.2%
18.0%
65%
71%
9〜13人気
16- 19- 21-491/547
2.9%
6.4%
10.2%
125%
92%
14〜人気
0-  1-  0-129/130
0.0%
0.8%
0.8%
0%
10%

■表3−2 前走着順を問わずに同期間集計した成績

人気帯
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
6〜8人気
1200- 1710- 2195-24761/29866
4.0%
9.7%
17.1%
80%
81%
9〜13人気
606-   981-  1416-41914/44917
1.3%
3.5%
6.7%
67%
74%
14〜人気
71-   129-   180-19403/19783
0.4%
1.0%
1.9%
41%
52%

上のふたつの表は、同じ人気帯の成績を「前走2着馬」と「前走着順問わず」で出したものだ。まず「6〜8番人気」を比較すると、勝率、連対率、複勝率では前走2着馬がわずかに優秀だが、回収率はむしろダウン。「前走2着馬なのに6〜8番人気」にとどまっているからといって、飛びつくのは微妙と言わざるをえない成績だ。

一方、「9〜13番人気」では前走2着馬の勝率が倍以上。連対率、複勝率でも上回っている。なにより回収率が抜群なのが見逃せない。「前走2着馬なのに9〜13番人気」では実力を過小評価されている場合も少なくはなく、激走の可能性を考慮したほうがいいだろう。

しかし、「14番人気以下」となると130走して馬券に絡んだことすら2着1回のみ。「前走2着馬なのに14番人気以下」にしか推されない場合は、明確に買えない理由があると考えるのが正解と言えそうだ。

●「前走2着馬」が人気薄での激走だった場合

同じ「前走2着馬」でも、それが「1番人気2着」か「10番人気2着」ではまったく違う意味を持ってくる。ほぼ実力どおりに走ったと考えられる前者は今走でも素直に信頼できるかもしれないが、後者は展開などに恵まれただけの2着なのか、それとも秘められた実力を発揮した2着なのか、見極める必要がある。

■表4 「前走2着馬・前走人気」別成績

前走人気
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
前走1人気
561- 342- 271- 827/2001
28.0%
45.1%
58.7%
76%
81%
前走2人気
432- 334- 203- 883/1852
23.3%
41.4%
52.3%
72%
77%
前走3人気
324- 246- 184- 710/1464
22.1%
38.9%
51.5%
73%
81%
前走4人気
231- 185- 140- 560/1116
20.7%
37.3%
49.8%
79%
81%
前走5人気
161- 151- 108- 514/ 934
17.2%
33.4%
45.0%
82%
82%
前走6〜9人気
293- 251- 223-1246/2013
14.6%
27.0%
38.1%
82%
77%
前走10人気〜
98-  85-  64- 538/ 785
12.5%
23.3%
31.5%
93%
81%

2010/1/17 京都9R 紅梅ステークス 1着 4番 ワイルドラズベリー

表4は「前走2着馬」の成績を前走人気別で見たものだが、前走人気が高かった(≒前走で実力を高く評価されていた)馬ほど安定感がある、という順当な傾向となった。特に、前走1番人気で2着だった馬は勝率28.0%と非常に手堅く走ってくる。

ただ、回収率に目を移すと、前走10番人気以下で2着に突っ込んだ馬の単勝回収率が優秀だ。なかでも注目すべきなのが「前走10番人気2着→今走1番人気」に支持されている馬。【30.9.7.25】で勝率42.3%とかなりの確率で勝ちきっており、単勝回収率も121%と好成績なのだ。こうした場合、「前走がフロックだったのでは?」「今走は過剰人気なのでは?」と考えてしまいがちではあるが、1番人気にしてはオッズが落ちる傾向があるのでむしろチャンスだととらえていきたい。10年の紅梅Sを勝ったワイルドラズベリーは、前走の白菊賞が10番人気2着の激走。紅梅Sでは1番人気に推されながらも3.4倍という微妙なオッズを示していたが、しっかりと勝ちきって人気に応えている。

●「前走2着馬」とはいえ1着馬から離されていた場合

■表5 「前走2着馬・前走着差」別成績

前走着差
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
負0.0
529- 405- 307-1200/2441
21.7%
38.3%
50.8%
80%
85%
負0.1〜0.2
893- 663- 479-2233/4268
20.9%
36.5%
47.7%
75%
77%
負0.3〜0.5
439- 341- 269-1222/2271
19.3%
34.3%
46.2%
79%
78%
負0.6〜0.9
193- 142- 108- 464/ 907
21.3%
36.9%
48.8%
84%
82%
負1.0〜1.9
45-  44-  28- 151/ 268
16.8%
33.2%
43.7%
90%
79%
負2.0〜2.9
1-   0-   2-   9/  12
8.3%
8.3%
25.0%
24%
41%
負3.0〜3.9
0-   0-   0-   1/   1
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

前項に近い考え方だが、同じ「前走2着馬」といっても、1着馬とハナ差の2着だった馬もいれば、1着馬にぶっちぎられた2着だった馬もいる。当然、1着馬と接戦を演じていた「前走2着馬」のほうが好成績なはず……と考えたのだが、データを出してみると、実はそうでもないことがわかった。

表5のとおり、「前走タイム差なしの2着」から「前走0.6〜0.9秒差の2着」まで、成績の差はほとんどないのだ。さらに、「前走1.0〜1.9秒差の2着(馬身に換算して約6馬身〜大差)」と1着馬からかなりちぎられていた馬でさえ極端に成績が下がることはなく、むしろ回収率は向上しているほど。「前走2着といっても、ぶっちぎられていた馬」と判断されて人気を落とすため、回収率ではかえって有利になるのだろう。さすがに2.0秒差以上負けていると苦しいが、同じ「前走2着馬」であれば着差はあまり考えないほうが馬券的には好結果を生みそうだ。

●「前走2着馬」だけど条件がまったく違う場合

「前走2着」に好走した実力馬、好調馬が同じような条件のレースに出てきたのなら話はわかりやすいが、芝からダートにコース替わりをした場合や距離を大幅に変えてきた場合は、「前走2着」を額面どおりに受け取っていいのかどうか迷うところだろう。そこで作ってみたのが表6。上の表が馬場、下の表が距離についてまとめたものだ。

■表6−1 「前走2着馬・前走→今走馬場」別成績

馬場
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
芝→芝
922- 724- 529-2557/4732
19.5%
34.8%
46.0%
79%
79%
ダ→ダ
1108- 835- 631-2391/4965
22.3%
39.1%
51.8%
79%
82%
芝→ダ
50-  18-   9- 104/ 181
27.6%
37.6%
42.5%
79%
65%
ダ→芝
19-  18-  24- 223/ 284
6.7%
13.0%
21.5%
38%
53%

■表6−2 「前走2着馬・前走→今走距離」別成績

距離
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
同距離
1272-  941-  707- 2731/ 5651
22.5%
39.2%
51.7%
77%
80%
±200m以内
1918- 1443- 1086- 4575/ 9022
21.3%
37.3%
49.3%
77%
79%
±400m以内
2053- 1559- 1166- 5082/ 9860
20.8%
36.6%
48.5%
78%
80%
500m以上延長
29-   21-   19-  119/  188
15.4%
26.6%
36.7%
93%
88%
500m以上短縮
17-   15-    7-   73/  112
15.2%
28.6%
34.8%
63%
61%

「芝→芝」「ダート→ダート」と前走と同じ馬場を使ってきた場合は、さすがに安定している。回収率は80%前後のほぼ基本値どおりで妙味には欠けるものの、素直に信頼できる存在となりそうだ。また、勝率、連対率、複勝率のすべてが「ダート→ダート」のほうが高いことも覚えておきたい。しかし、勝率がもっとも高いのは「芝→ダート」の馬場変更があったときというのは注目に値する。逆に、「ダート→芝」の場合は勝率がガクンと下がってしまうので過信は禁物だ。

距離に関しては馬場ほどの劇的な数字は出ていないが、やはり前走に近い距離ほど安定した成績を残している。500m以上の距離変更になるとやや成績が落ち、延長、短縮ともに同距離に比べて7%ほど勝率がダウン。ただし、見落としてはならないのが回収率で、500m以上の距離延長の場合は単複ともに90%前後の回収率なのに対して、500m以上の距離短縮をおこなった場合は60%強の回収率に下がってしまうのだ。同じ「前走2着馬」でも、距離延長では過小評価されやすく、距離短縮では過大評価される傾向があることを覚えておきたい。

●「前走2着馬」が次走で下のクラスのレースを使ってきた場合

「前走2着馬」の大半は次走も同じクラスを走るが、2、3歳戦では「500万下2着→オープン、重賞」の格上挑戦もある。逆に、夏のクラス編成変更の時期を挟む場合などは、次走が下のクラスになる場合もある。「前走で上のクラスで2着した馬なら、クラスが下がれば好勝負必死」と考えたくなるところだが、実際はどうなのだろうか?

■表7 「前走2着馬・前走クラス」別成績

前走クラス
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
同クラス
2036-1541-1133-4669/9379
21.7%
38.1%
50.2%
78%
80%
昇級戦
15-   8-  14- 139/ 176
8.5%
13.1%
21.0%
76%
68%
降級戦
28-  22-  21-  76/ 147
19.0%
34.0%
48.3%
46%
70%

なんと、前走より相手関係が楽になるはずの降級戦だが、実際は同クラスの成績と大きな差はなく、むしろ好走率はわずかに下がってしまうのだ。そして、特に単勝回収率の下落が著しいのも見逃せない。これは「前走2着馬のクラスが下がれば楽に勝ち負け」と思われて過剰に人気を集めるためと考えて間違いないだろう。前走2着馬の降級戦だからといって、ノータイムで1着固定にするのは危険きわまりない行為。「前走で勝ちきれなかった馬」ということをしっかりと認識しておく必要がありそうだ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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