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第362回 冬競馬の馬体増を考える

2010/2/1(月)

今週は高松宮記念のステップレース・シルクロードSが行われるなど、春の大目標へ向けて見逃せないレースが続くが、気温はまだまだ低い冬競馬。この時期は「馬体が絞りづらい」と言われ、実際に大幅な馬体増の馬も多々目にするように思える。果たして先入観を持っているためなのか、それとも本当に増えてくる馬が多いのか。そして、そういった馬を馬券でどう扱えば良いのか考えてみたい。データの分析には、JRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用し、08、09年2年間の古馬平地競走(3歳上または4歳上)を対象とした。

■表1 古馬平地競走、馬体重増減別出走馬(08、09年)

馬体重増減
12〜2月
3〜5月
6〜8月
9〜11月
占有率
占有率
占有率
占有率
〜-20kg
54
0.5%
105
0.9%
62
0.5%
70
0.5%
-19〜-10kg
603
5.3%
939
7.9%
712
6.2%
954
7.1%
-9〜 -4kg
2170
18.9%
2877
24.2%
2317
20.3%
2661
19.8%
-3〜 +3kg
4650
40.6%
4857
40.9%
4422
38.7%
5160
38.4%
+4〜 +9kg
2648
23.1%
2209
18.6%
2614
22.9%
3146
23.4%
+10〜+19kg
1105
9.6%
748
6.3%
1111
9.7%
1186
8.8%
+20kg〜
219
1.9%
134
1.1%
183
1.6%
224
1.7%
不・初・未
7
0.1%
4
0.0%
1
0.0%
23
0.2%
+10kg以上
1324
11.5%
882
7.4%
1294
11.3%
1410
10.5%

馬体重計量

まずは、季節ごとに馬体重増減別の出走数と、その占有率を調べてみた。冬場はプラス10キロ以上の体重で出走する馬の割合が他の季節よりやや多く、占有率11.5%はすべての季節の中で最高だ。ただ、多いといっても秋に比べ1%程度。牧場やトレセンと、出走まで至った競馬場では話が違う可能性もあるが、少なくとも我々ファンの目の前に姿を現す段階では「多少は」というレベルに収まっている。「冬場は馬体が絞りづらい」というよりは、「春は馬体が絞りやすい」といった方が正解に近く、機会があれば「春競馬の馬体減」について調べてみるのも面白そうだ。


■表2 古馬平地競走、レース間隔別馬体重増減(08、09年、12〜2月)

馬体重増減
着別度数
増減別占有率
連闘
中1週
中2週
中3週
中4〜8
〜半年
半年〜
〜-20kg
2-   2-   0-  50/  54
0.0%
3.7%
1.9%
9.3%
25.9%
46.3%
13.0%
-19〜-10kg
25-  35-  28- 512/ 600
5.8%
9.7%
12.8%
12.8%
30.2%
24.2%
4.5%
-9〜-4kg
143- 154- 159-1711/2167
7.9%
20.0%
18.8%
14.8%
25.2%
10.7%
2.6%
-3〜+3kg
334- 323- 309-3674/4640
5.9%
23.2%
21.8%
15.5%
22.8%
8.3%
2.5%
+4〜+9kg
185- 174- 193-2091/2643
2.8%
14.3%
17.9%
15.4%
30.5%
12.9%
6.3%
+10〜+19kg
63-  63-  65- 906/1097
0.5%
3.6%
7.5%
8.6%
34.8%
25.2%
19.9%
+20kg〜
6-   9-   6- 196/ 217
0.0%
0.0%
0.0%
1.8%
8.8%
43.3%
46.1%

続いて、冬競馬に限定した前走との間隔別に出走馬の分布をみると、レース間隔が開くほど大幅増で出走する馬が多くなっている。当たり前といえば当たり前だが、「馬体が絞りづらい冬」といえば、順調に使われてきた馬が突如プラス10キロ、プラス14キロといった数字で出てきて取捨に困る、というイメージ。意外にそういったパターンは少なく、たとえば中3週でみた場合、±3キロの馬7頭につき、+10〜19キロ1頭、という程度の割合である。

■表3 馬体重増減別成績と回収率(古馬平地競走) パドック オッズ板 馬体重増減表示

馬体重増減
08、09年12〜2月
08、09年通年
勝率
連対率
単回収
複回収
勝率
連対率
単回収
複回収
〜-20kg
3.7%
7.4%
72%
43%
4.8%
7.9%
121%
52%
-19〜-10kg
4.2%
10.0%
65%
63%
5.1%
11.3%
59%
72%
-9〜-4kg
6.6%
13.7%
65%
84%
6.6%
13.5%
65%
76%
-3〜+3kg
7.2%
14.2%
69%
69%
7.4%
14.6%
73%
76%
+4〜+9kg
7.0%
13.6%
73%
78%
7.0%
13.7%
73%
76%
+10〜+19kg
5.7%
11.5%
88%
73%
5.9%
11.7%
80%
75%
+20kg〜
2.8%
6.9%
83%
77%
4.2%
8.4%
56%
72%
不・初・未
7.9%
15.8%
107%
89%
5.7%
8.6%
10%
20%

さて。「冬場の大幅増は思ったほど多くありませんでした」で終わっても仕方ないので、ここからは馬券作戦について少し考えてみたい。表3は馬体重増減別に勝率、連対率と単複回収率を調べたもので、左が冬、右が通年成績。両者に共通するのは+20キロ以上を除き、マイナスよりプラス、同じプラスでも4〜9キロより10〜19キロの単勝回収率が高い点だ。特に冬場はその傾向が顕著で、+20キロ以上でも単勝回収率は80%を上回っている。

■表4 古馬平地競走、馬体重増減とレース間隔別連対率(08、09年、12〜2月)

馬体重増減
連闘
中1週
中2週
中3週
中4〜8
〜半年
半年〜
〜-20kg
50.0%
0.0%
0.0%
14.3%
4.0%
0.0%
-19〜-10kg
2.9%
10.3%
14.3%
14.1%
9.3%
9.0%
3.6%
-9〜-4kg
15.6%
12.0%
15.7%
18.4%
12.4%
9.5%
8.9%
-3〜+3kg
13.9%
15.1%
15.9%
16.1%
12.9%
9.8%
5.9%
+4〜+9kg
10.7%
15.1%
15.7%
15.9%
14.4%
8.9%
5.5%
+10〜+19kg
0.0%
15.8%
13.3%
10.6%
11.9%
11.4%
11.4%
+20kg〜
0.0%
5.3%
3.2%
10.9%
不・初・未
0.0%
0.0%

■表5 古馬平地競走、馬体重増減とレース間隔別単勝回収率(08、09年、12〜2月)

馬体重増減
連闘
中1週
中2週
中3週
中4〜8
〜半年
半年〜
〜-20kg
0%
0%
0%
281%
0%
0%
-19〜-10kg
14%
30%
71%
30%
97%
78%
0%
-9〜-4kg
86%
69%
46%
105%
62%
25%
60%
-3〜+3kg
95%
72%
54%
71%
80%
49%
53%
+4〜+9kg
42%
86%
49%
83%
84%
87%
18%
+10〜+19kg
0%
64%
75%
136%
79%
124%
63%
+20kg〜
0%
0%
44%
138%
不・初・未
0%
0%

表4、5は冬競馬の馬体重増減とレース間隔別の連対率(表4)、単勝回収率(表5)である。注目は10〜19キロの中9週〜半年、そして+20キロ以上の半年以上で、ともに10%を超える連対率を記録し、そして単勝回収率は100%を超えている。また、中9週〜半年の馬、半年以上の馬ともに、+10〜19キロの連対率が最も高くなっているのも見逃せない。
単に回収率が高いだけなら、大幅な馬体増が嫌われて人気を落としてもそこそこは走っている、ということ。しかし今回は、同じ休養期間ならある程度増えていた方が、連に絡む確率も高いというデータ。パドック解説で「休み明けでもきっちり仕上がりました」と言われる馬よりは、「休養明けで大幅増ですが、ほとんどが成長分でしょう」という馬、場合によっては「休養明けで仕上がり途上といった印象です」くらいの馬の方が高確率で好走し、しかも馬券を買って好結果に繋がる可能性が高いのだ。

以上、冬競馬の馬体重増減についていくつかデータを調べてみた。ポイントは、冬競馬だからといって、レース出走段階での大幅な馬体増はさほど多くない、という点。そして、パドックでしばしば耳にする「休養明けなら増えてるくらいでちょうどいい」という言葉はある程度は正しい、という点がもうひとつだ。
特に後者は馬券作戦でカギを握ることも多そうなデータになる。なんとも間が悪いことに、日曜の根岸Sを休養明けでマイナス8キロのグロリアスノアが制して説得力を欠いた感もあるが(一方でそのグロリアスノアは、12/28掲載分で注目した「前走同級5着以内の2桁人気馬」ではあった)、トータルしてみれば、冬競馬の休養明けは大幅馬体増こそ買い、と覚えておきたい。

なお、今回は特に冬競馬に注目したが、通年でのデータも第16回「馬体重増減のレースへの影響を検証する」に掲載されている(04年全レース対象)。ただ、既に6年ほど前のデータになっており、環境の変化や技術の進歩で現在は変化している可能性もあるため、興味のある方はぜひ、ご自身で「Target frontier JV」などのソフトを活用し、調査していただきたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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