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第348回 キャリアと距離経験がモノを言う阪神JF

2009/12/10(木)

2008/12/14 阪神11R 阪神ジュベナイルF(Jpn1)1着 13番 ブエナビスタ

桜花賞と同コースの阪神芝1600mで行われることもあり、阪神3歳牝馬Sと呼ばれていた時代から重要度の高いレースだった阪神ジュベナイルフィリーズ(以下、阪神JF)。2006年に行われた阪神競馬場の改修に伴い、芝コースに外回りが設定されてからの3年の勝ち馬が、06年ウオッカ、07年トールポピー、08年ブエナビスタと、すべて翌年のクラシックで勝利を収めていることもあり、以前にも増して重要なレースとなっている。

いかんせん、データ分析を行うにあたっては、コース変更の影響を大きく受ける枠順や脚質といったファクターを利用しづらいのが難点だが、ローテーションや実績などの分析には十分な意味があるはず(厳密には開催が1週ズレてはいるが)。また、各馬の個性を把握しづらい2歳戦だけに、過去の傾向を読み解くことの意味も相対的に大きくなるはずだ。データ分析には、JRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。

■表1 阪神JFで好走した1勝馬(近10年)

年度
馬名
人気
着順
着度数
前走
前走着差
その他実績
00年 リワードアンセル
7
3
1-1-0-0 新潟3歳S2着
(0.2)
 
02年 ヤマカツリリー
11
2
1-1-1-0 500万下3着
(0.4)
 
03年 ヤマニンアルシオン
10
2
1-0-0-0 新馬1着
-0.9
 
04年 ショウナンパントル
8
1
1-1-0-1 デイリー杯2歳S5着
(0.2)
新潟2歳S2着
05年 シークレットコード
9
2
1-0-0-0 新馬1着
-1.0
 
フサイチパンドラ
2
3
1-0-0-0 新馬1着
-1.0
 
06年 ウオッカ
4
1
1-1-0-0 黄菊賞2着
(0.2)
 
07年 トールポピー
3
1
1-2-0-0 黄菊賞2着
(0.0)
 
レーヴダムール
8
2
1-0-0-0 新馬1着
-0.0
 
08年 ブエナビスタ
1
1
1-0-1-0 未勝利1着
-0.5
 
ミクロコスモス
4
3
1-0-0-0 新馬1着
-0.0
 

ウオッカ、トールポピー、ブエナビスタと1勝馬が3連勝中。特に今年は縁起の良さもあってか、例年にも増して多くの1勝馬が登録してきている。執筆時点では何頭が抽選をくぐり抜けるのかわからないものの、無視することはできない存在だ。まずはそこから触れていかなくてはならないだろう。

1勝馬のなかでも、すでに重賞での好走歴があったリワードアンセルやショウナンパントルは別扱いすべきかもしれないが、この2頭を含め、すべての馬に共通するのがキャリア3戦以内ということ。レース経験がアドバンテージとなる2歳戦ではあるが、5戦も6戦も消化したのに1勝しかできないようでは、もう上積みがないと考えていいのだろう。

「着度数」の項目に注目すると、4着以下に落ちたことのある好走馬がほとんどいないことにも気づく。唯一4着以下に敗れたことがあったショウナンパントルも、牡馬混合重賞での敗戦。それも0秒2差の5着であれば、むしろ強調材料ですらあるだろう。また、1戦1勝馬の好走例が増えてきたが、まだ勝ち切るには至っていない。2歳戦とはいえ、キャリア1戦で勝てるほど甘いレースではないようだ。

ちなみに、この「4着以下に落ちたことがない」というのは、なにも1勝馬に限ったことではない。過去10年の好走馬30頭のうち、4着以下の着順を経験していたのは、99年2着のゲイリーファンキー、01年1着のタムロチェリー、2着のアローキャリー、03年3着のコンコルディア、04年1着のショウナンパントルの5頭だけ。このうち、道営出身のアローキャリーは芝のレースではすべて3着以内にまとめていたので、実質的に4着以下なしとも言える成績だった。残りの4頭は「重賞連対かオープン特別勝ちがあり、前哨戦の重賞で4着以下に敗れ、本番で巻き返した馬」。このパターン以外で4着以下に敗れたことがある馬は、近10年で1頭も3着以内に入っていない。

■表2 阪神JF好走馬、1番人気馬の距離経験(近3年)

年度
馬名
人気
着順
芝1600m以上での好走歴
06年 ウオッカ
4
1
新馬1着(芝1600m)、黄菊賞2着(芝1800m)
アストンマーチャン
1
2
出走歴なし
ルミナスハーバー
2
3
新馬2着(芝1800m)、未勝利1着(芝1600m)
07年 トールポピー
3
1
未勝利1着(芝2000m)、黄菊賞2着(芝1800m)など
レーヴダムール
8
2
新馬1着(芝1600m)
エイムアットビップ
2
3
出走歴なし
オディール
1
4
出走歴なし
08年 ブエナビスタ
1
1
新馬3着(芝1800m)、未勝利1着(芝1600m)
ダノンベルベール
3
2
芙蓉S2着(芝1600m)、赤松賞1着(芝1600m)
ミクロコスモス
4
3
新馬1着(芝1600m)

阪神芝に外回りコースが新設され、阪神JFも外回りの芝1600mで行われるようになって3年。最後の直線が延びて紛れの少ないコースになったこともあり、1200〜1400mで勝ち上がってきたスピード馬には不利な傾向も見えてきた。

新装初年度の06年は、ファンタジーSを圧勝したアストンマーチャンが圧倒的1番人気に推されたものの、ウオッカに差されて2着。翌07年もファンタジーS組のオディール、エイムアットビップが人気を集めたが、それぞれ4、3着まで。大きく凡走しているわけではないのだが、マイル以上の距離経験がなかったこの3頭は、いずれも人気以上の走りを見せることはできなかった。

好走(3着以内)であればマイル経験で十分だが、勝ち馬に限るとマイルを超える距離(1800m、2000m)を経験していた点も見逃せない。ウオッカとトールポピーは黄菊賞で僅差の2着、ブエナビスタも新馬戦でのちの皐月賞馬アンライバルド、ダービー2着馬リーチザクラウンと僅差の3着。いずれも秋の京都1800m戦で牡馬を相手に接戦を演じていた。外回りの長い直線を使っての追い比べとなることもあって、本番より長い距離、しかも牡馬相手のタフなレースを経験していることが大きなアドバンテージになるのだろう。コース改修前の99〜05年では、勝ち馬7頭のうち1600m以上の経験がない馬が3頭いることを考えても、外回りの新設とともにレースの性格がガラリと変わったことがうかがえる。

■表3 人気別成績(近10年)

人気
着度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1番人気 4-  1-  1-  4/ 10
40.0%
50.0%
60.0%
122%
82%
2番人気 0-  0-  5-  5/ 10
0.0%
0.0%
50.0%
0%
100%
3番人気 1-  3-  0-  6/ 10
10.0%
40.0%
40.0%
66%
95%
4番人気 1-  0-  1-  8/ 10
10.0%
10.0%
20.0%
111%
52%
5番人気 0-  0-  0- 10/ 10
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
6番人気 1-  1-  1-  7/ 10
10.0%
20.0%
30.0%
148%
132%
7番人気 1-  0-  1-  8/ 10
10.0%
10.0%
20.0%
180%
91%
8番人気 2-  1-  0-  7/ 10
20.0%
30.0%
30.0%
449%
141%
9番人気 0-  2-  0-  8/ 10
0.0%
20.0%
20.0%
0%
166%
10番人気 0-  1-  0-  9/ 10
0.0%
10.0%
10.0%
0%
111%
11番人気 0-  1-  0-  9/ 10
0.0%
10.0%
10.0%
0%
71%
12番人気 0-  0-  1-  9/ 10
0.0%
0.0%
10.0%
0%
148%
13番人気 0-  0-  0- 10/ 10
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
14番人気 0-  0-  0- 10/ 10
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
15番人気 0-  0-  0-  9/  9
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
16番人気 0-  0-  0-  9/  9
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
17番人気 0-  0-  0-  9/  9
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
18番人気 0-  0-  0-  9/  9
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

かつてはスエヒロジョウオーやタムロチェリーなど波乱の印象が強く、表3を見ても人気薄の台頭が十分に考えられるレースであることがわかる。しかし、ここでも06年のコース改修の影響は大きいようで、紛れの少ない外回りコースの設定となってからの1〜3着は、06年が4→1→2番人気、07年が3→8→2番人気、08年が1→3→4番人気。1〜3番人気のうち2頭は馬券に絡んでおり、比較的穏当な決着が続いている。

■表4 前走クラス別成績(近10年)

前走クラス
着度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
新馬
0-  3-  2- 13/ 18
0.0%
16.7%
27.8%
0%
157%
未勝利
1-  0-  0- 16/ 17
5.9%
5.9%
5.9%
12%
7%
500万下
3-  2-  3- 41/ 49
6.1%
10.2%
16.3%
82%
52%
オープン特別
1-  1-  1- 13/ 16
6.3%
12.5%
18.8%
26%
93%
重賞
5-  4-  4- 60/ 73
6.8%
12.3%
17.8%
83%
66%

2007/12/2 阪神11R 阪神ジュベナイルF(Jpn1)1着 15番 トールポピー

「前走新馬」は、当然ながら前走で新馬を勝ち上がった1戦1勝馬のこと。これは前述のとおり、2着はあっても勝ち切れない。「前走未勝利」で馬券になったのは、昨年のブエナビスタだけ。そのほかの16頭はすべて4着以下に敗れており、その後の実績を考えてもブエナビスタが例外だったと考えるのが自然だろう。「前走500万下」からは勝ち馬が3頭出ているが、05年テイエムプリキュア、06年ウオッカ、07年トールポピーと近い年度に集中しており、注目のローテだ。この「前走500万下」と「前走オープン特別」から馬券に絡んだ計11頭は、すべて前走で3着以内に入っていた。つまり、前走4着以下からの巻き返しがあるのは「前走重賞」の場合だけということになる。このように、前走クラスと前走着順の相関関係にはかなり明確な傾向があるので、取捨する際のわかりやすい指標となるだろう。

■表5 前走重賞の好走馬(近10年)

年度
馬名
人気
着順
前走
レース名
人気
着順
99年 ゲイリーファンキー
3
2
ファンタジーS
1
5
00年 テイエムオーシャン
1
1
札幌3歳S
1
3
ダイワルージュ
6
2
新潟3歳S
2
1
リワードアンセル
7
3
新潟3歳S
1
2
01年 タムロチェリー
7
1
ファンタジーS
8
10
02年 ピースオブワールド
1
1
ファンタジーS
1
1
03年 ヤマニンシュクル
6
1
札幌2歳S
2
3
コンコルディア
12
3
ファンタジーS
4
8
04年 ショウナンパントル
8
1
デイリー杯2歳S
2
5
アンブロワーズ
3
2
函館2歳S
6
1
ラインクラフト
1
3
ファンタジーS
2
1
06年 アストンマーチャン
1
2
ファンタジーS
3
1
07年 エイムアットビップ
2
3
ファンタジーS
1
2

表4で前走クラス別のデータを見たが、「前走重賞」をもうすこし確認しておきたい。表5は近10年の「前走重賞」の好走馬一覧だが、よく言われるように阪神JFは前哨戦であるファンタジーSとの関連性が薄い。ファンタジーSと阪神JFを連勝したのはピースオブワールドだけで、ラインクラフト、アストンマーチャンは単勝1倍台の圧倒的1番人気に推されながらも本番では勝ち切れなかった。前述したことと重複してしまうが、「前々走1着→前走ファンタジーS凡走」で人気を落としたゲイリーファンキー、タムロチェリー、コンコルディアの3頭が本番で巻き返しており、ファンタジーS組ではこちらのパターンのほうが配当的な妙味を期待できるだろう。

【結論】

まとめると、「基本的に4着以下に凡走したことがない」「前走は未勝利戦以外」「マイル戦以上の距離で好走歴がある」を満たすことが好走のための条件となる。さらに、勝ち切るためには「1800m戦以上で牡馬相手に好走していること」も必要と。今年の阪神JFには大挙39頭が登録をしてきたが、これらの条件を満たす馬はごく限られている。

最初の3つの条件を満たす馬は、アニメイトバイオアパパネシンメイフジブルーミングアレーベストクルーズ。このぐらいしかいない。このなかでは3戦すべて1600m以上を使われ、1800mでも3着のあるアパパネがもっとも勝ち馬に近い。重賞2着のあるアニメイトバイオとベストクルーズのほうが実績上位ではあるが、いずれも阪神JFとは関連の薄い1400m重賞での実績というのがかえってどうか。また、赤松賞で完敗しているだけにブルーミングアレーをアパパネより上にとるわけにもいかないだろう。もちろん、休み明けでの出走となるシンメイフジのマイル重賞を見逃すわけにはいかず、仕上がってさえいえば有力候補。しかし、外回りコースになって3年連続で勝っている1800m戦の経験馬であることに敬意を表して、今回はアパパネを最有力としたい。

人気を集めそうなタガノエリザベート、ラナンキュラスは、1600m以上の実績がないのが懸念材料。夏の重賞を勝ったステラリード、ジュエルオブナイルも距離実績に不安を抱えている。1勝馬で抽選対象のグレナディーンも同様だ。

条件を満たさない馬のなかで気になるのが、ウオッカやトールポピーと同じく黄菊賞2着のマイネアロマだ。札幌2歳Sで2秒1差の12着に大敗しているが、3コーナーで一気に上がっていって直線はほとんど追わずというチグハグなレースぶりだっただけに、もしかしたら度外視できるかもしれない。黄菊賞では、勝ったダノンパッションに0秒5差先着されたが、それ以外の牡馬には0秒5の差をつけた。阪神JFを勝つために重要な、牡馬相手の1800m以上戦における実績ではこの馬がいちばんと言っていいだけに、抽選をくぐり抜けるようならマークしておきたい1頭だ。

あとは、ともにマイルの新馬戦を勝ち上がって1戦1勝のタガノパルムドールフラムドールも、抽選を通れば連下に押さえておきたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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