第347回 よく逃げる騎手、逃げて強い騎手を見抜く!|競馬情報ならJRA-VAN

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第347回 よく逃げる騎手、逃げて強い騎手を見抜く!

2009/12/7(月)

2009/11/15 京都11R エリザベス女王杯(G1)1着 7番 クィーンスプマンテ

驚きの結末となった今年のエリザベス女王杯。大波乱を演出したのは、大逃げを打ったクィーンスプマンテとテイエムプリキュアだった。「ノーマークの逃げ馬」の怖さを改めて思い知らされたが、情報の多いG1レースということもあって、戦前からこの2頭が逃げること自体は予想されていた。しかし、条件戦などでは意外な馬がいきなり逃げて、そのまま穴をあけることも少なくない。「逃げるとわかっていれば買える馬だったのに……」。レース後に思わずそんな嘆きを漏らした経験は、誰しもあることだろう。

逃げ馬を買うかどうかとは別に、どの馬が逃げるのかを見極めるのもレース予想では大事なポイントとなる。「この馬が逃げればスローペース」「ブリンカー装着のあの馬が飛ばすから、間違いなくハイペースになるはず」といったように、どの馬が逃げるのかを考えるところから予想をスタートさせる方も多いことだろう。ところが、出遅れなどのアクシデントがつきものの競馬では、逃げ馬を的確に見抜くのは思った以上に難しい作業だ。

それだけに「どの馬が逃げるのか」を考える際には、目安となる手がかりが欲しい。もちろん、過去のレースで逃げていたのか差していたのか、その馬の脚質を見れば大まかに把握することはできる。しかし、それだけに頼っていては「いきなり逃げた」場合に対応するのは不可能だ。そして、穴をあけるのは往々にしてそんな馬だったりする。

そうしたいきなりの脚質転換には、騎手や厩舎の意図がある場合も多い。成績不振から脱出するための作戦として思い切った逃げを打つ場合や、返し馬の感触で騎手がとっさに逃げの手に出る場合もある。そこで今回は、実際にレースで目にする機会が多いであろう騎手(2009年のリーディング上位50人・11月29日現在)を対象に、「よく逃げる騎手、逃げて強い騎手」を探っていきたい。データ分析にはJRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。

■表1 騎手別・逃げ成績(勝率順・06年12月2日〜09年11月29日)

順位
09年順位
騎手
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1
10
安藤勝己 67- 26-  9- 38/140
47.9%
66.4%
72.9%
165%
116%
2
2
武豊 104- 46- 28- 69/247
42.1%
60.7%
72.1%
113%
104%
3
9
蛯名正義 50- 26- 21- 54/151
33.1%
50.3%
64.2%
216%
162%
4
3
岩田康誠 79- 36- 29- 99/243
32.5%
47.3%
59.3%
195%
118%
5
50
武幸四郎 19-  6-  9- 27/ 61
31.1%
41.0%
55.7%
182%
187%
6
4
藤田伸二 82- 49- 28-110/269
30.5%
48.7%
59.1%
177%
115%
7
8
福永祐一 59- 36- 25- 79/199
29.6%
47.7%
60.3%
273%
180%
8
5
横山典弘 52- 29- 19- 79/179
29.1%
45.3%
55.9%
113%
104%
9
1
内田博幸 42- 26- 18- 68/154
27.3%
44.2%
55.8%
148%
103%
10
29
北村友一 40- 20- 20- 68/148
27.0%
40.5%
54.1%
336%
183%
11
6
中舘英二 133- 81- 43-253/510
26.1%
42.0%
50.4%
130%
103%
12
18
川田将雅 40- 25- 13- 77/155
25.8%
41.9%
50.3%
146%
127%
13
14
後藤浩輝 88- 69- 34-155/346
25.4%
45.4%
55.2%
152%
143%
14
7
松岡正海 41- 26- 20- 80/167
24.6%
40.1%
52.1%
153%
140%
15
16
藤岡佑介 46- 30- 24- 99/199
23.1%
38.2%
50.3%
165%
158%
16
28
吉田隼人 38- 25- 12- 93/168
22.6%
37.5%
44.6%
200%
145%
17
19
四位洋文 25-  9- 10- 68/112
22.3%
30.4%
39.3%
180%
112%
18
11
北村宏司 29- 21- 14- 67/131
22.1%
38.2%
48.9%
160%
159%
19
32
木幡初広 27- 21- 10- 64/122
22.1%
39.3%
47.5%
151%
149%
20
25
柴田善臣 41- 23- 17-105/186
22.0%
34.4%
43.5%
143%
100%
21
24
太宰啓介 26- 11- 10- 74/121
21.5%
30.6%
38.8%
473%
201%
22
15
和田竜二 51- 40- 36-113/240
21.3%
37.9%
52.9%
247%
173%
23
36
田辺裕信 8-  2-  5- 23/ 38
21.1%
26.3%
39.5%
613%
206%
24
40
田中博康 30- 19-  5- 96/150
20.0%
32.7%
36.0%
322%
152%
25
17
田中勝春 37- 25- 17-108/187
19.8%
33.2%
42.2%
167%
150%
26
49
荻野琢真 15-  8-  1- 55/ 79
19.0%
29.1%
30.4%
492%
142%
27
41
赤木高太郎 28- 20-  8- 92/148
18.9%
32.4%
37.8%
292%
191%
28
12
三浦皇成 27- 18- 11- 88/144
18.8%
31.3%
38.9%
139%
107%
29
21
吉田豊 36- 36- 22- 99/193
18.7%
37.3%
48.7%
230%
170%
30
13
小牧太 38- 32- 27-108/205
18.5%
34.1%
47.3%
207%
153%
31
44
国分恭介 5-  2-  2- 18/ 27
18.5%
25.9%
33.3%
257%
281%
32
38
的場勇人 27- 16- 12- 92/147
18.4%
29.3%
37.4%
189%
136%
33
34
松山弘平 6-  5-  7- 15/ 33
18.2%
33.3%
54.5%
377%
198%
34
35
藤岡康太 22- 12- 12- 77/123
17.9%
27.6%
37.4%
242%
133%
35
26
池添謙一 21- 16-  9- 74/120
17.5%
30.8%
38.3%
129%
96%
36
45
鮫島良太 17- 17-  8- 56/ 98
17.3%
34.7%
42.9%
94%
111%
37
37
佐藤哲三 16- 12- 12- 53/ 93
17.2%
30.1%
43.0%
101%
169%
38
20
幸英明 39- 32- 19-156/246
15.9%
28.9%
36.6%
182%
116%
39
46
川島信二 11-  9-  8- 44/ 72
15.3%
27.8%
38.9%
233%
138%
40
22
浜中俊 21- 22- 13- 82/138
15.2%
31.2%
40.6%
135%
125%
41
23
丸田恭介 8- 10-  6- 31/ 55
14.5%
32.7%
43.6%
87%
132%
42
33
石橋脩 25- 17- 21-119/182
13.7%
23.1%
34.6%
230%
139%
43
27
勝浦正樹 14- 11- 15- 65/105
13.3%
23.8%
38.1%
77%
133%
44
30
秋山真一郎 12- 13- 13- 52/ 90
13.3%
27.8%
42.2%
87%
152%
45
31
宮崎北斗 10-  5- 12- 48/ 75
13.3%
20.0%
36.0%
209%
178%
46
42
江田照男 21- 20- 12-116/169
12.4%
24.3%
31.4%
105%
128%
47
39
古川吉洋 6- 10-  6- 27/ 49
12.2%
32.7%
44.9%
94%
214%
48
43
伊藤工真 4-  3-  3- 29/ 39
10.3%
17.9%
25.6%
123%
172%
49
48
熊沢重文 8-  6-  5- 60/ 79
10.1%
17.7%
24.1%
93%
132%
50
47
松田大作 7-  7- 11- 49/ 74
9.5%
18.9%
33.8%
78%
138%

表がタテ長になって恐縮だが、今年のリーディング上位50人が逃げた場合の成績を勝率順に並べてみた。この表1を見てまず気づくのが、単複ともに回収率が非常に高くなっていること。単勝回収率もそうだが、複勝回収率に至っては池添謙一騎手を除くすべての騎手が100%以上の数字を残している。目標にされるマイナスはあるものの、自分のペースでレースを進めることが可能で、進路をふさがれる心配もない逃げという作戦は、基本的に競馬においては非常に有利であることを改めて思い起こさせるデータだ。

また、安藤勝己騎手や武豊騎手は逃げたときの勝率が40%を超えている。実力のある上位人気馬に騎乗する機会が多いことを考慮する必要はあるが、回収率が他騎手に比べて低いわけではない。ペース判断が的確なベテラン騎手が逃げた場合は、他騎手が無謀に競りかけていきづらいこともあり、かなり有利な展開に持ち込むことができるようだ。

ほかに勝率で注目したいのが武幸四郎騎手。今年のリーディング順位は50位ながら、逃げの勝率31.0%は5位に相当している。逃げの回数は少ないが、逃げた場合は巧みにゴールまでもたせてしまう。武幸四郎騎手以外にも、リーディング順位以上に逃げて高い勝率をマークしている騎手は少なくないので、しっかりと表をチェックしていただきたい。そのほか、単勝回収率が613%とすさまじい田辺裕信騎手など、逃げでの好配当を期待できる騎手が少なからずいるので、表1で色をかけた部分(単勝回収率200%以上、複勝回収率150%以上)をぜひとも確認していただきたい。

■表2 騎手別逃げ確率(06年12月2日〜09年11月29日)

順位
騎手
逃げ回数
総騎乗数
逃げ確率
1
中舘英二
510
2622
19.5%
2
後藤浩輝
346
2523
13.7%
3
藤田伸二
269
2156
12.5%
4
武豊
247
2112
11.7%
5
江田照男
169
1623
10.4%
6
的場勇人
147
1488
9.9%
7
赤木高太郎
148
1509
9.8%
8
和田竜二
240
2483
9.7%
9
柴田善臣
186
1971
9.4%
10
岩田康誠
243
2631
9.2%
11
三浦皇成
144
1564
9.2%
12
石橋脩
182
2016
9.0%
13
藤岡佑介
199
2206
9.0%
14
安藤勝己
140
1555
9.0%
15
小牧太
205
2326
8.8%
16
幸英明
246
2799
8.8%
17
吉田豊
193
2265
8.5%
18
横山典弘
179
2123
8.4%
19
福永祐一
199
2382
8.4%
20
北村友一
148
1798
8.2%
21
田中勝春
187
2318
8.1%
22
荻野琢真
79
1026
7.7%
23
四位洋文
112
1458
7.7%
24
田中博康
150
1960
7.7%
25
内田博幸
154
2013
7.7%
26
川田将雅
155
2055
7.5%
27
藤岡康太
123
1632
7.5%
28
太宰啓介
121
1643
7.4%
29
松田大作
74
1026
7.2%
30
浜中俊
138
1951
7.1%
31
松岡正海
167
2388
7.0%
32
吉田隼人
168
2443
6.9%
33
木幡初広
122
1797
6.8%
34
川島信二
72
1074
6.7%
35
池添謙一
120
1813
6.6%
36
蛯名正義
151
2334
6.5%
37
松山弘平
33
514
6.4%
38
佐藤哲三
93
1499
6.2%
39
北村宏司
131
2172
6.0%
40
鮫島良太
98
1684
5.8%
41
宮崎北斗
75
1299
5.8%
42
熊沢重文
79
1417
5.6%
43
国分恭介
27
485
5.6%
44
秋山真一郎
90
1709
5.3%
45
伊藤工真
39
751
5.2%
46
古川吉洋
49
968
5.1%
47
勝浦正樹
105
2151
4.9%
48
武幸四郎
61
1335
4.6%
49
丸田恭介
55
1342
4.1%
50
田辺裕信
38
1226
3.1%
50人平均
7406
89635
8.3%

「実力的には苦しいけど、逃げてくれればもしかしたら……」と思って馬券を買うケースがある。特に、明確な逃げ馬が不在で明らかにスローペースになりそうなレースでは、人気には目をつぶって逃げそうな馬、過去に逃げた経験のある馬を買いたくなるだろう。しかし、肝心の騎手に逃げる気がなければ、絵に描いた餅に終わりかねない。そこで、レース結果を問わず、その騎手がレースで逃げる確率を算出したのが表2である。

予想どおり、当代きっての逃げ名人である中舘英二騎手が2位以下を引き離して1位。中舘騎手の逃げ確率は19.5%。5レースに1レースは逃げている計算だ。2位の後藤浩輝騎手、3位の藤田伸二騎手も積極的な騎乗をするイメージのある騎手で、このあたりは順当な感じだが、4位には武豊騎手が入った。近年は差しの印象も強い武豊騎手だが、実は逃げを打つことの多い騎手であることには留意しておきたい。

今年のリーディング50位までの騎手が逃げる確率が平均で8.3%。表2では、逃げる確率が平均以上の騎手を黄色、下回っている騎手を青で示している。どの馬が逃げるのか、その判断で迷ったときなどは、この表から逃げる確率の高い騎手、低い騎手を見分けていくといいだろう。

■表3 1〜3番人気・騎手別逃げ確率(06年12月2日〜09年11月29日)

順位
騎手
逃げ回数
総騎乗数
逃げ確率
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1
中舘英二
294
1128
26.1%
37.1%
57.8%
68.4%
123%
105%
2
的場勇人
48
218
22.0%
33.3%
56.3%
62.5%
105%
95%
3
江田照男
34
165
20.6%
41.2%
55.9%
64.7%
194%
111%
4
川島信二
23
126
18.3%
26.1%
52.2%
69.6%
103%
104%
5
後藤浩輝
168
939
17.9%
39.9%
62.5%
73.8%
110%
111%
6
赤木高太郎
39
228
17.1%
46.2%
69.2%
74.4%
174%
123%
7
藤田伸二
171
1024
16.7%
36.8%
61.4%
73.1%
126%
111%
8
荻野琢真
20
122
16.4%
45.0%
65.0%
65.0%
209%
125%
9
田中博康
36
220
16.4%
41.7%
58.3%
61.1%
165%
97%
10
和田竜二
78
510
15.3%
33.3%
52.6%
74.4%
96%
112%
11
古川吉洋
19
132
14.4%
15.8%
57.9%
63.2%
45%
105%
12
北村友一
49
343
14.3%
51.0%
65.3%
77.6%
181%
119%
13
幸英明
77
543
14.2%
32.5%
53.2%
59.7%
105%
88%
14
石橋脩
46
339
13.6%
23.9%
37.0%
54.3%
105%
90%
15
柴田善臣
80
590
13.6%
35.0%
51.3%
61.3%
122%
90%
16
藤岡佑介
78
585
13.3%
41.0%
55.1%
73.1%
159%
118%
17
武豊
210
1582
13.3%
47.6%
66.7%
78.6%
113%
104%
18
藤岡康太
41
315
13.0%
29.3%
43.9%
56.1%
105%
87%
19
木幡初広
38
303
12.5%
42.1%
71.1%
76.3%
146%
123%
20
小牧太
68
545
12.5%
27.9%
48.5%
69.1%
102%
104%
21
太宰啓介
26
212
12.3%
34.6%
50.0%
53.8%
215%
100%
22
浜中俊
55
455
12.1%
25.5%
41.8%
56.4%
84%
86%
23
吉田豊
57
481
11.9%
24.6%
61.4%
71.9%
105%
120%
24
福永祐一
105
889
11.8%
39.0%
60.0%
69.5%
117%
104%
25
吉田隼人
65
557
11.7%
33.8%
53.8%
60.0%
122%
112%
26
岩田康誠
157
1351
11.6%
40.1%
58.0%
72.0%
138%
108%
27
三浦皇成
68
588
11.6%
29.4%
47.1%
54.4%
115%
92%
28
田中勝春
74
649
11.4%
36.5%
56.8%
66.2%
123%
96%
29
宮崎北斗
14
126
11.1%
21.4%
35.7%
64.3%
57%
98%
30
池添謙一
42
406
10.3%
35.7%
64.3%
76.2%
126%
112%
31
内田博幸
105
1018
10.3%
32.4%
52.4%
65.7%
104%
93%
32
蛯名正義
88
863
10.2%
44.3%
68.2%
83.0%
152%
129%
33
安藤勝己
115
1131
10.2%
53.0%
72.2%
78.3%
146%
107%
34
川田将雅
60
591
10.2%
53.3%
68.3%
83.3%
188%
134%
35
熊沢重文
18
178
10.1%
22.2%
33.3%
33.3%
90%
60%
36
四位洋文
48
477
10.1%
39.6%
47.9%
56.3%
152%
92%
37
横山典弘
108
1079
10.0%
44.4%
63.9%
75.9%
148%
118%
38
丸田恭介
20
208
9.6%
30.0%
55.0%
65.0%
97%
95%
39
佐藤哲三
33
344
9.6%
36.4%
60.6%
66.7%
127%
107%
40
勝浦正樹
30
315
9.5%
43.3%
60.0%
70.0%
199%
129%
41
松岡正海
74
798
9.3%
43.2%
63.5%
78.4%
157%
121%
42
鮫島良太
33
362
9.1%
30.3%
57.6%
69.7%
98%
116%
43
秋山真一郎
29
321
9.0%
31.0%
51.7%
72.4%
113%
108%
44
松田大作
14
158
8.9%
28.6%
50.0%
78.6%
74%
118%
45
武幸四郎
20
231
8.7%
65.0%
90.0%
95.0%
267%
160%
46
北村宏司
46
551
8.3%
39.1%
60.9%
73.9%
127%
108%
47
松山弘平
6
76
7.9%
33.3%
50.0%
83.3%
110%
121%
48
伊藤工真
4
59
6.8%
25.0%
50.0%
75.0%
87%
130%
49
田辺裕信
9
136
6.6%
44.4%
66.7%
88.9%
155%
168%
50
国分恭介
3
48
6.3%
33.3%
33.3%
66.7%
186%
130%
50人平均
3143
24615
12.8%

表3は、1〜3番人気時に支持されたレースで逃げる確率を騎手別に表したものだ。今年のリーディング50位までの騎手が1〜3番人気に支持されたときの平均逃げ確率は12.8%。全人気での平均逃げ確率は表2のとおり8.3%なので、1〜3番人気では逃げる確率が4.5%高くなっていることがわかる。やはり上位人気では、不利を避けるためにポジション取りが前寄りになる傾向があるようだ。

また、全人気での逃げ確率と比べて、順位が入れ替わっている騎手も多い。たとえば、全人気での逃げ確率が6.7%で34位の川島信二騎手は、1〜3番人気時では18.3%と10%以上も逃げる確率が高くなり、順位も4位にまで上昇する。もともと逃げる確率の高い的場騎手も、全人気での9.9%に比べて1〜3番人気時は22.0%と逃げる確率がアップ。そのほか、荻野琢真騎手、田中博康騎手、古川吉洋騎手なども1〜3番人気時には逃げる確率がかなり高くなる。これらの騎手は、上位人気時に積極的な競馬をしてくれる可能性が高い。

逆に、逃げる確率があまり変わらないのが、武豊騎手(全人気11.7%→1〜3番人気13.3%)、安藤勝己騎手(全人気9.0%→1〜3番人気10.2%)、岩田康誠騎手(全人気9.2%→1〜3番人気11.6%)横山典弘騎手(全人気8.4%→1〜3番人気10.0%)といったあたり。いずれも地位を確立した経験豊富な騎手だけに、人気の有無を必要以上に意識することがないのだろう。また、三浦皇成騎手(全人気9.2%→1〜3番人気11.6%)もさほど逃げ確率の変わらない騎手のひとり。並み居るベテラン騎手と同等の数字を残すところにも、大物ぶりの一端が現れているのではないだろうか。

■表4 6番人気以下・騎手別逃げ確率(06年12月2日〜09年11月29日)

順位
騎手
逃げ回数
総騎乗数
逃げ確率
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1
中舘英二
117
1023
11.4%
6.0%
13.7%
17.1%
126%
101%
2
後藤浩輝
102
1095
9.3%
7.8%
20.6%
30.4%
212%
204%
3
江田照男
113
1281
8.8%
2.7%
13.3%
19.5%
56%
135%
4
赤木高太郎
86
1103
7.8%
7.0%
17.4%
23.3%
365%
247%
5
石橋脩
109
1443
7.6%
8.3%
14.7%
22.9%
296%
164%
6
小牧太
95
1350
7.0%
12.6%
20.0%
27.4%
295%
189%
7
的場勇人
75
1074
7.0%
9.3%
12.0%
20.0%
250%
166%
8
藤田伸二
50
721
6.9%
16.0%
24.0%
30.0%
301%
127%
9
田中勝春
87
1265
6.9%
8.0%
13.8%
21.8%
227%
206%
10
横山典弘
40
593
6.7%
2.5%
12.5%
20.0%
39%
81%
11
幸英明
124
1871
6.6%
6.5%
11.3%
16.9%
213%
123%
12
藤岡佑介
80
1211
6.6%
6.3%
18.8%
27.5%
144%
203%
13
和田竜二
102
1559
6.5%
11.8%
28.4%
36.3%
385%
242%
14
松田大作
46
733
6.3%
4.3%
6.5%
17.4%
86%
143%
15
柴田善臣
61
997
6.1%
11.5%
16.4%
24.6%
202%
112%
16
三浦皇成
39
638
6.1%
2.6%
10.3%
17.9%
127%
143%
17
吉田豊
85
1419
6.0%
11.8%
17.6%
24.7%
330%
200%
18
福永祐一
61
1025
6.0%
18.0%
27.9%
41.0%
543%
298%
19
川田将雅
64
1078
5.9%
7.8%
20.3%
21.9%
143%
120%
20
太宰啓介
71
1221
5.8%
14.1%
19.7%
25.4%
614%
248%
21
荻野琢真
45
780
5.8%
11.1%
17.8%
17.8%
753%
179%
22
田中博康
87
1519
5.7%
9.2%
17.2%
21.8%
393%
178%
23
岩田康誠
42
739
5.7%
19.0%
23.8%
33.3%
380%
151%
24
藤岡康太
60
1059
5.7%
10.0%
13.3%
25.0%
350%
178%
25
北村友一
66
1177
5.6%
12.1%
24.2%
34.8%
521%
238%
26
池添謙一
61
1088
5.6%
4.9%
8.2%
14.8%
119%
87%
27
松山弘平
20
359
5.6%
15.0%
25.0%
40.0%
536%
206%
28
四位洋文
36
684
5.3%
5.6%
8.3%
22.2%
238%
159%
29
伊藤工真
31
614
5.0%
3.2%
6.5%
12.9%
68%
172%
30
浜中俊
57
1169
4.9%
5.3%
15.8%
21.1%
181%
157%
31
熊沢重文
51
1067
4.8%
3.9%
11.8%
17.6%
87%
165%
32
松岡正海
53
1109
4.8%
7.5%
15.1%
26.4%
175%
198%
33
武豊
10
210
4.8%
20.0%
30.0%
50.0%
254%
164%
34
国分恭介
18
379
4.7%
5.6%
5.6%
11.1%
126%
321%
35
北村宏司
59
1262
4.7%
6.8%
22.0%
30.5%
159%
217%
36
安藤勝己
8
175
4.6%
12.5%
25.0%
37.5%
331%
183%
37
木幡初広
57
1248
4.6%
3.5%
14.0%
24.6%
90%
172%
38
川島信二
37
814
4.5%
10.8%
13.5%
24.3%
359%
175%
39
吉田隼人
65
1452
4.5%
9.2%
20.0%
24.6%
221%
178%
40
秋山真一郎
51
1151
4.4%
2.0%
13.7%
23.5%
32%
166%
41
佐藤哲三
39
887
4.4%
5.1%
7.7%
17.9%
78%
228%
42
宮崎北斗
44
1043
4.2%
6.8%
6.8%
18.2%
247%
209%
43
鮫島良太
44
1058
4.2%
4.5%
18.2%
20.5%
44%
107%
44
内田博幸
25
608
4.1%
8.0%
12.0%
28.0%
224%
140%
45
古川吉洋
24
710
3.4%
4.2%
8.3%
25.0%
79%
320%
46
勝浦正樹
51
1525
3.3%
2.0%
5.9%
17.6%
41%
145%
47
蛯名正義
33
1010
3.3%
9.1%
18.2%
30.3%
369%
280%
48
丸田恭介
31
976
3.2%
6.5%
12.9%
25.8%
93%
147%
49
武幸四郎
25
873
2.9%
0.0%
4.0%
28.0%
0%
216%
50
田辺裕信
25
984
2.5%
16.0%
16.0%
20.0%
876%
228%
50人平均
2862
50429
5.7%

表4は、6番人気以下のときに逃げる確率を出したもの。一発を狙う穴党ファンにとっては、このデータがいちばん気になるかもしれない。

6番人気以下での50人平均の逃げ確率は5.7%。人気薄の馬には、そもそも前に行けるだけの脚がないことも多いだけに、逃げる確率が下がるのは仕方のないところだろう。それでも、11.4%の確率で逃げてみせる中舘騎手はさすがのひと言だ。

上位騎手のなかで、6番人気以下の馬に乗って思い切った逃げを見せてくれるのが後藤騎手だ。逃げ確率は9.3%、複勝率30.4%と馬券に絡む確率も高く、回収率は単複ともに200%超。穴の期待値は十分だ。逃げる確率はそれほどでもないが、逃げた場合にそのまま逃げ切ってしまうのが藤田騎手(逃げ確率6.9%、勝率16.0%)、福永祐一騎手(逃げ確率6.0%%、勝率18.0%)、岩田騎手(逃げ確率5.7%、勝率19.0%)。単勝回収率はいずれも300%を超えている。これらの騎手は6番人気以下のダークホースでも、逃げさえすれば5、6レースに1レースは見事な逃走劇を決めてしまうので、馬券では思い切って1着固定で攻める作戦が有力だ。

■表5 乗り替わり時・騎手別逃げ確率(06年12月2日〜09年11月29日)

順位
騎手
逃げ回数
総騎乗数
逃げ確率
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1
中舘英二
343
1851
18.5%
24.8%
40.5%
48.1%
137%
100%
2
後藤浩輝
200
1446
13.8%
24.0%
43.5%
53.0%
196%
157%
3
武豊
134
1178
11.4%
38.1%
54.5%
67.2%
106%
107%
4
藤田伸二
151
1348
11.2%
26.5%
41.7%
52.3%
163%
105%
5
柴田善臣
105
1066
9.8%
20.0%
29.5%
37.1%
156%
87%
6
和田竜二
133
1369
9.7%
18.0%
34.6%
47.4%
231%
186%
7
岩田康誠
154
1599
9.6%
24.7%
39.0%
53.9%
170%
118%
8
藤岡佑介
122
1336
9.1%
22.1%
36.9%
47.5%
168%
180%
9
赤木高太郎
90
1014
8.9%
15.6%
28.9%
32.2%
274%
230%
10
的場勇人
79
910
8.7%
11.4%
24.1%
31.6%
165%
152%
11
福永祐一
121
1400
8.6%
23.1%
43.8%
57.0%
304%
212%
12
石橋脩
109
1267
8.6%
13.8%
20.2%
31.2%
320%
131%
13
横山典弘
96
1122
8.6%
28.1%
39.6%
52.1%
103%
104%
14
安藤勝己
67
789
8.5%
46.3%
62.7%
67.2%
188%
124%
15
江田照男
73
894
8.2%
5.5%
13.7%
21.9%
35%
110%
16
藤岡康太
82
1012
8.1%
11.0%
20.7%
31.7%
217%
132%
17
小牧太
106
1310
8.1%
17.0%
29.2%
39.6%
235%
178%
18
三浦皇成
75
930
8.1%
13.3%
25.3%
29.3%
84%
94%
19
吉田豊
89
1122
7.9%
18.0%
31.5%
40.4%
282%
153%
20
田中勝春
105
1339
7.8%
20.0%
30.5%
38.1%
246%
201%
21
川田将雅
102
1309
7.8%
23.5%
39.2%
47.1%
150%
126%
22
北村友一
90
1188
7.6%
28.9%
38.9%
52.2%
475%
201%
23
太宰啓介
66
898
7.3%
16.7%
24.2%
30.3%
339%
171%
24
幸英明
114
1553
7.3%
14.0%
26.3%
32.5%
188%
122%
25
内田博幸
90
1232
7.3%
22.2%
35.6%
48.9%
157%
113%
26
松岡正海
99
1374
7.2%
22.2%
35.4%
45.5%
176%
151%
27
田中博康
91
1268
7.2%
15.4%
28.6%
33.0%
204%
158%
28
四位洋文
64
911
7.0%
21.9%
32.8%
42.2%
236%
142%
29
浜中俊
74
1097
6.7%
14.9%
31.1%
37.8%
162%
134%
30
北村宏司
79
1172
6.7%
20.3%
30.4%
39.2%
173%
136%
31
佐藤哲三
54
814
6.6%
14.8%
16.7%
29.6%
112%
192%
32
松田大作
40
603
6.6%
12.5%
25.0%
30.0%
134%
140%
33
松山弘平
21
321
6.5%
23.8%
33.3%
57.1%
577%
228%
34
吉田隼人
98
1526
6.4%
21.4%
37.8%
45.9%
218%
160%
35
荻野琢真
43
689
6.2%
18.6%
30.2%
30.2%
681%
183%
36
川島信二
39
637
6.1%
15.4%
17.9%
28.2%
316%
136%
37
池添謙一
60
1012
5.9%
6.7%
16.7%
23.3%
32%
78%
38
宮崎北斗
50
853
5.9%
12.0%
14.0%
30.0%
261%
189%
39
鮫島良太
61
1061
5.7%
14.8%
32.8%
41.0%
84%
123%
40
秋山真一郎
56
980
5.7%
14.3%
28.6%
39.3%
74%
159%
41
伊藤工真
27
481
5.6%
3.7%
11.1%
18.5%
78%
184%
42
蛯名正義
67
1203
5.6%
29.9%
40.3%
50.7%
180%
176%
43
木幡初広
53
1025
5.2%
17.0%
32.1%
34.0%
171%
106%
44
武幸四郎
39
796
4.9%
23.1%
28.2%
48.7%
130%
178%
45
古川吉洋
27
555
4.9%
11.1%
25.9%
37.0%
109%
198%
46
熊沢重文
43
890
4.8%
9.3%
16.3%
18.6%
126%
171%
47
勝浦正樹
55
1207
4.6%
14.5%
21.8%
36.4%
103%
161%
48
国分恭介
13
301
4.3%
23.1%
23.1%
38.5%
283%
490%
49
丸田恭介
32
871
3.7%
18.8%
34.4%
43.8%
125%
141%
50
田辺裕信
21
716
2.9%
19.0%
23.8%
38.1%
442%
176%
50人平均
4202
52845
8.0%

最後に紹介するのは、乗り替わり時のデータだ。騎手の乗り替わりを行う大きな目的に、馬に刺激を与えることがある。レース経験を重ねてズブくなってきた馬に豪腕騎手を乗せたり、末脚を活かしたい馬に折り合いの上手な騎手を乗せるたりする場合がそうだ。そして、出遅れ癖のある馬にスタートの上手い騎手を乗せるのも、乗り替わりでよく見られるパターンのひとつである。

やはりここでも、中舘騎手が逃げ確率トップの数字をマークした。中舘騎手への乗り替わりというだけで他騎手にマークされかねないが、逃げ確率18.5%は2位以下を大きく引き離している。2位の後藤騎手への乗り替わりも前に行くことを期待されてのケースが多く、回収率では中舘騎手を上回っているので、馬券的にはこちらのほうが狙い目になりそうだ。3位の武豊騎手のスタートセンスも折り紙付きで、このあたりはイメージどおりの順位と言ってもいいだろう。4位の藤田騎手まで、乗り替わり時の逃げ確率が10%を超えている騎手では、前に行く可能性を頭の片隅に入れておきたい。

勝率では安藤勝騎手の46.3%が群を抜いている。過去に逃げたことのある馬や、陣営が逃げをうかがわせている馬に乗り替わった際は1着固定で勝負をかけたいところだ。爆発力で目につくのは単勝回収率が300%を超える福永騎手と石橋脩騎手で、特に福永騎手は勝率23.1%と安定感も兼ね備えている。

以上、「よく逃げる騎手」「逃げて強い騎手」を探ってきたが、今回の分析ではウエイトは前者に置いたつもりだ。というのも、逃げ馬の馬券を買う際、もちろん逃げ切ってくれるのがベストなのだが、いちばんガッカリするのが「逃げると思ったから買ったのに、逃げてもくれない」ことだからだ。逃げ馬券の醍醐味は、結果的に当たっても外れても、4コーナーまでは手に汗握りながらレースを観戦できること。これに尽きる。ここで紹介した逃げる確率の高い騎手を狙っていけば、すくなくとも4コーナーまではスリルを味わえる可能性は高くなるはずだし、表の5つの表が示しているように、逃げた場合の回収率が極めて優秀なのは紛れもない事実。スリルと実益を兼ねた逃げ馬券を存分に楽しんでいただきたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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