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第340回 ブエナビスタの雪辱なるか エリザベス女王杯を分析

2009/11/12(木)

クラシック路線を戦い抜いてきた3歳牝馬たちが歴戦の古馬牝馬に挑むのがエリザベス女王杯。だが、近年は3歳馬が3連勝中で、今年も二冠牝馬ブエナビスタ、秋華賞2着のブロードストリートといった3歳馬が人気の中心になりそうだ。

一方の古馬勢では、昨年の1、2着馬であるリトルアマポーラ、カワカミプリンセスなどがスタンバイ。さらには、海外からもデビュー5戦目で古馬混合G1を勝ったシャナラヤが参戦。強いと言われる今年の3歳馬が連勝記録を伸ばすのか、古馬が意地を見せるのか、それとも海外馬が初勝利を飾るのか、今年のエリザベス女王杯を占ってみよう。データ分析にはJRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。

■表1 年齢別成績(近10年)

年齢
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
3歳
5-  3-  0- 51/ 59
8.5%
13.6%
13.6%
78%
34%
4歳
2-  4-  6- 40/ 52
3.8%
11.5%
23.1%
11%
65%
5歳
3-  3-  3- 31/ 40
7.5%
15.0%
22.5%
40%
63%
6歳
0-  0-  1-  7/  8
0.0%
0.0%
12.5%
0%
26%
7歳以上
0-  0-  0-  1/  1
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

96年に古馬開放されて以降、古馬が5連勝。3歳馬の優勝は02年のファインモーションまで待たなくてはならなかったが、近10年は3歳馬が5勝、現在は3連勝中と圧倒している。99年までは秋華賞から中2週で臨まなくてはならなかった3歳馬だが、00年以降は中3週で出走できるようになった。まずは秋華賞でピークに仕上げるだけに、1週でも間隔が開いたことが、好走が増えた大きな要因になっているのだろう。

■表2 3歳好走馬の主な実績

年度
着別度数
人気
着順
実績
99年
フサイチエアデール
7
2
桜花賞2着
01年
ローズバド
2
2
オークス2着
02年
ファインモーション
1
1
秋華賞1着
03年
スティルインラブ
1
2
桜花賞、オークス、秋華賞1着
アドマイヤグルーヴ
2
1
秋華賞2着
06年
フサイチパンドラ
7
2
オークス2着
07年
ダイワスカーレット
1
1
桜花賞1着
08年
リトルアマポーラ
4
1
オークス1番人気

ただし、好走率そのものでいえば、4歳、5歳のほうが上。3歳だからといってなんでもかんでも買っていいわけではない。馬券圏内に絡んだ3歳馬8頭の内訳を確認すると、そのうち7頭はすでにG1で連対実績のあった馬。あと1頭のリトルアマポーラもオークスで1番人気に支持されていた実力の持ち主だった。それなりの履歴書を提出できない3歳馬では、さすがに古馬の壁は分厚いようだ。

4歳、5歳はほぼ互角と言ってもいい成績を残しているが、実績が物を言う傾向は3歳馬と同様。好走馬のほとんどがG1で3着以内に入ったことがあり、G1実績のない好走馬も、99年3着のエガオヲミセテはG2を2勝、00年3着のエイダイクインは3歳時にクイーンCを勝ち桜花賞で2番人気、02年2着のダイヤモンドビコーは重賞3勝(出走時点)、04、05年に連続2着のオースミハルカは重賞4勝と、相応の実績を持った馬ばかり。3着以内に入った馬のなかで重賞勝ちがなかったのは04年3着のエルノヴァのみで、基本的には重賞勝ちが必須条件と考えていいだろう。

6歳以上では、牝馬ということもありさすがに苦しいようだ。そもそも人気になった馬自体が少ないこともあるが、好走例はスイープトウショウ(07年3着)だけ。この馬にしても、4歳時1着→5歳時2着(繰り上がり)→6歳時3着と年々着順を落としており、牡馬相手に宝塚記念を勝った実績を思えば3着では物足りない感もあるぐらいだ。

■表3 人気別成績(近10年)

人気
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1番人気
2-  3-  0-  5/ 10
20.0%
50.0%
50.0%
31%
59%
2番人気
4-  3-  2-  1/ 10
40.0%
70.0%
90.0%
136%
148%
3番人気
1-  1-  0-  8/ 10
10.0%
20.0%
20.0%
64%
46%
4番人気
2-  0-  4-  4/ 10
20.0%
20.0%
60.0%
191%
147%
5番人気
0-  2-  2-  6/ 10
0.0%
20.0%
40.0%
0%
155%
6番人気
0-  0-  0- 10/ 10
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
7番人気
1-  1-  0-  8/ 10
10.0%
20.0%
20.0%
262%
108%
8番人気
0-  0-  0- 10/ 10
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
9番人気
0-  0-  0- 10/ 10
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
10番人気
0-  0-  2-  8/ 10
0.0%
0.0%
20.0%
0%
155%
11番人気
0-  0-  0- 10/ 10
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
12番人気
0-  0-  0- 10/ 10
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
13番人気
0-  0-  0- 10/ 10
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
14番人気
0-  0-  0-  8/  8
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
15番人気
0-  0-  0-  8/  8
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
16番人気
0-  0-  0-  5/  5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
17番人気
0-  0-  0-  5/  5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
18番人気
0-  0-  0-  4/  4
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

実績が物を言うということは、上位人気が強いということでもある。1着馬10頭のうち9頭までは4番人気から生まれており、7番人気のフサイチパンドラが勝った06年にしても、1番人気カワカミプリンセスの降着処分によって繰り上がったもの。実質的には、勝ち馬は4番人気までのなかにいる、と考えて間違いなさそうだ。

ただ、上位人気が強いとはいえ1番人気は【2.3.0.5】と半数の5頭が馬券に絡めなかったのは見逃せないポイントだ。そして、この5頭のうち4頭が3歳馬。1頭は1位入線降着のカワカミプリンセスだから除外するのが妥当だろうが、残りの3頭は秋華賞を勝って1番人気に支持された馬だった。そして、この場合は必ず古馬が勝っている。

頼りになるのが【4.3.2.1】の2番人気。唯一馬券圏外の00年のトゥザヴィクトリーも4着と大崩れはしていない。近3年はいずれも3着止まりだが、手堅い軸馬という点ではここから入るのも有力な選択肢となる。

3着以内は5番人気までがほとんどを占めており、ふたケタ人気で突っ込んだのは00年のエイダイクイン、03年のタイガーテイルだけで、いずれも10番人気3着だった。この2頭に共通するのが、いずれもメンバー中で最速の上がりを記録していること。思い切った穴馬を狙うのであれば、「決め手勝負には自信あり!」というタイプがおもしろそうだ。

■表4 前走着順別成績(近10年)

前走着順
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
前走1着 2- 3- 0-25/30
6.7%
16.7%
16.7%
10%
31%
前走2着 2- 2- 2-12/18
11.1%
22.2%
33.3%
52%
77%
前走3着 2- 2- 3-11/18
11.1%
22.2%
38.9%
163%
95%
前走4着 0- 0- 1-15/16
0.0%
0.0%
6.3%
0%
13%
前走5着 1- 2- 1- 8/12
8.3%
25.0%
33.3%
23%
93%
前走6〜9着 3- 0- 1-32/36
8.3%
8.3%
11.1%
65%
36%
前走10着〜 0- 1- 1-26/28
0.0%
3.6%
7.1%
0%
20%

体調の変化に敏感な牝馬による一戦ということもあって、直近にどんなレースをしていたか、ということも大事なファクターのひとつだ。

表4は、近10年の前走着順別成績。当然のことではあるが、前走で掲示板に載れなかったような馬は苦戦する傾向にある。主要ステップレースとなる秋華賞、府中牝馬Sからはいずれも中3週での臨戦過程。ここで掲示板に載れないようだと、相手も強化されるエリザベス女王杯までの1カ月弱で巻き返すのはなかなか困難なようだ。

■表5 エリザベス女王杯好走馬とその前走

年度
馬名
人気
着順
前走
レース名
着順
99年 メジロドーベル
2
1
毎日王冠
6
フサイチエアデール
7
2
秋華賞
5
エガオヲミセテ
5
3
府中牝馬S
2
00年 ファレノプシス
3
1
札幌記念
7
フサイチエアデール
1
2
府中牝馬S
3
エイダイクイン
10
3
府中牝馬S
6
01年 トゥザヴィクトリー
4
1
ドバイWC
2
ローズバド
2
2
秋華賞
2
ティコティコタック
5
3
府中牝馬S
2
02年 ファインモーション
1
1
秋華賞
1
ダイヤモンドビコー
2
2
府中牝馬S
1
レディパステル
4
3
府中牝馬S
3
03年 アドマイヤグルーヴ
2
1
秋華賞
2
スティルインラブ
1
2
秋華賞
1
タイガーテイル
10
3
E.P.テイラーS(海外)
2
04年 アドマイヤグルーヴ
2
1
天皇賞・秋
3
オースミハルカ
5
2
府中牝馬S
1
エルノヴァ
4
3
府中牝馬S
5
05年 スイープトウショウ
2
1
天皇賞・秋
5
オースミハルカ
5
2
府中牝馬S
3
アドマイヤグルーヴ
4
3
天皇賞・秋
17
06年 フサイチパンドラ
7
2
秋華賞
3
スイープトウショウ
2
3
天皇賞・秋
5
ディアデラノビア
4
4
府中牝馬S
3
07年 ダイワスカーレット
1
1
秋華賞
1
フサイチパンドラ
3
2
エルムS
11
スイープトウショウ
2
3
スワンS
4
08年 リトルアマポーラ
4
1
秋華賞
6
カワカミプリンセス
1
2
府中牝馬S
2
ベッラレイア
2
3
府中牝馬S
3

牝馬限定戦の秋華賞および府中牝馬Sで6着以下に敗れた馬のうち、巻き返しを見せたのが00年3着のエイダイクインと08年1着のリトルアマポーラの2頭だ。

2008/11/16 京都11R エリザベス女王杯(G1)1着 16番 リトルアマポーラ

前者は最後方待機で脚を溜め、上がり33秒0の豪脚を使って3着に突っ込んだもの。後者は秋華賞を休み明けで叩いて、狙いすましてG1タイトルを奪取。また、従来の末脚を活かすレースではなく、ルメール騎手の先行策も光った。どちらもレース映像を確認したが、前走の牝馬限定戦で6着以下に敗れた馬が巻き返すには、なにか思い切った策が必要という印象を受けた。

もっとも、これは前走が牝馬限定戦に限った話で、前走6着以下でもその前走が天皇賞・秋などの牡馬混合戦であれば簡単に巻き返してくるケースが目立つ(表5の「前走レース名」で色を付けたのが牡馬混合戦)。もっとも、該当するのがメジロドーベル、ファレノプシス アドマイヤグルーヴ、フサイチパンドラとすべてG1ホースなので、巻き返すのも当然ではあるのだが、人気を落とす傾向があるのでこのケースは見逃さないようにしたい。

なお、近10年で3着以内に入ったのべ30頭は、すべて前走で重賞を使っていた(海外のレースも含む)。条件戦およびオープン特別からのステップでは、99年5着のヴィクトリーバンクが最高着順となっている。

【結論】

上位人気馬が強いエリザベス女王杯だけに、なるべく点数を絞るか、序列を明確にしておきたいところだ。上位人気が予想されるのは、ブエナビスタ、ブロードストリート、リトルアマポーラ、カワカミプリンセスといったあたり。ここに、府中牝馬Sを勝ったムードインディゴ、前走で強烈な決め手を披露したメイショウベルーガ、海外馬のシャラナヤなどが加わる形になるだろうか。

2009/4/12 阪神10R 桜花賞(Jpn1)1着 9番 ブエナビスタ

まずは1番人気が予想されるブエナビスタだが、3歳馬の好走条件となるG1実績は、もちろん十分すぎるほどにクリア。また、秋華賞を勝った3歳馬が1番人気に推されて取りこぼすケースがあることを前述したが、幸いということはないにしても、データの観点だけで言えば秋華賞を敗れたことはむしろプラス材料かもしれない。

近10年で信頼性の高い2番人気も、同じく3歳馬のブロードストリートだろうか。この馬も秋華賞2着で3歳馬の好走条件であるG1連対実績を満たすものの、実際の入線順位は3位というのが気になるところではある(重箱の隅かもしれないが……)。

古馬では、やはり前年の覇者であるリトルアマポーラが筆頭格。エリザベス女王杯は同じ馬が繰り返し好走する傾向が強く、3歳および4歳時に勝った馬が翌年も出てきた場合、3着を外したことはない。差し・追い込み馬が上位を独占した府中牝馬Sでも先行勢では最先着の5着に踏ん張っており、「前走が秋華賞および府中牝馬Sの場合は5着以内」もクリアしている。

ここが引退レースとも言われるカワカミプリンセスは、3年前の降着の件もあるだけに肩入れしたくなるところだが、6歳馬、そして前走の府中牝馬S6着を減点材料にせざるをえない。過去の6歳馬とは実績が違うだけに無視はできないが、データ的には3着まで。

過去にメンバー最速の上がりを使うこと8回、33秒台の上がりをマークすること6回のメイショウベルーガは穴馬候補だが、前走が条件戦というのが大きなマイナス。人気がなければ拾いたいところだが、穴人気しそうな雰囲気もある。このタイプでは海外馬のシャラナヤも鋭い決め手を持っていると言われており、当日のオッズの動向を見て対応していくのがベターだろう。

府中牝馬Sで重賞初制覇と勢いに乗るムードインディゴは、秋華賞2着のG1実績もあるだけに怖い存在。前走、牡馬混合戦を6着以下に敗れたG1馬であるテイエムプリキュアの名前を、最後に挙げておきたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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