第339回 勢い? 昇級の壁? 連勝馬を分析する|競馬情報ならJRA-VAN

JRA公式データ配信サービス JRA-VAN

  • メール:office@jra-van.jp
  • 受付時間:10:00〜17:00
  • ※競馬開催のない土日祝・火曜を除く
  • ホーム
  • サイトマップ
  • JRA-VAN広場

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第339回 勢い? 昇級の壁? 連勝馬を分析する

2009/11/9(月)

連勝中の馬は上位人気に支持されて、オッズに大きな影響を及ぼすことが多い。買うにしても買わないにしても、無視することはできない存在だ。2006年の夏競馬から賞金制度が変更され、いわゆる「勝って同条件」がなくなり、条件戦の1着馬は必ず昇級する規定となったこともあり(夏のクラス改変直前に1着→改変後に降級して同条件に出走する4歳馬などの例を除く)、連勝馬には「昇級の壁」という問題が常につきまとい、取捨に頭を悩ませるファンも多いことだろう。

はたして、連勝中の勢いで昇級の壁を突破してしまうのか、それとも過剰人気を嫌うのが正解なのか、データから分析してみたい。集計期間は、賞金制度が変更された2006年6月17日以降。昇級に関する規定が異なるため、連勝の起点もこの日以降のものとする。また、ここで言う2連勝馬とは「近2走をいずれも勝っている馬」を指している(したがって3連勝、4連勝……の馬も2連勝馬に含まれる。3連勝以上の場合も同様)。データ分析にはJRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。

■表1 出走全馬・クラス別成績(9番人気以内・06年6月17日〜09年11月1日)

クラス
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
未勝利
4106- 3985- 3860-26238/38189
10.8%
21.2%
31.3%
79%
81%
500万下
3520- 3426- 3271-23029/33246
10.6%
20.9%
30.7%
80%
81%
1000万下
1463- 1404- 1323- 9626/13816
10.6%
20.8%
30.3%
80%
80%
1600万下
438-  410-  396- 2965/ 4209
10.4%
20.1%
29.6%
83%
83%
OPEN特別
422-  411-  398- 2757/ 3988
10.6%
20.9%
30.9%
85%
80%
G3
214-  196-  192- 1521/ 2123
10.1%
19.3%
28.4%
85%
79%
G2
114-  108-  106-  768/ 1096
10.4%
20.3%
29.9%
88%
82%
G1
71-   64-   66-  492/  693
10.2%
19.5%
29.0%
86%
83%
障害
434-  421-  394- 2785/ 4034
10.8%
21.2%
31.0%
94%
81%

■表2 前走1着馬・クラス別成績(9番人気以内・06年6月17日〜09年11月1日)

クラス
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
未勝利
0-   1-   1-   6/   8
0.0%
12.5%
25.0%
0%
62%
500万下
353- 341- 303-2155/3152
11.2%
22.0%
31.6%
68%
76%
1000万下
295- 260- 228-1566/2349
12.6%
23.6%
33.3%
84%
84%
1600万下
111- 100-  74- 618/ 903
12.3%
23.4%
31.6%
88%
83%
OPEN特別
141- 125- 118- 643/1027
13.7%
25.9%
37.4%
82%
82%
G3
90-  74-  67- 464/ 695
12.9%
23.6%
33.2%
101%
88%
G2
31-  28-  40- 198/ 297
10.4%
19.9%
33.3%
86%
87%
G1
27-  22-  25- 151/ 225
12.0%
21.8%
32.9%
94%
82%
障害
44-  40-  36- 211/ 331
13.3%
25.4%
36.3%
106%
90%

連勝馬について分析する前に、連勝中かどうかに関わらず「前走1着馬」ついて触れておきたい。前述したように、現行のルールでは原則的に1着馬は次走で昇級戦を戦うこととなる。前走1着馬が昇級戦でどのくらい戦えるのか、そのデータを知っておくことは決して損ではないだろう。

表1が出走全馬のクラス別成績、表2が前走1着馬のクラス別成績だ。ただし、表1において出走全馬を漏れなく集計対象とすると、好走の可能性が低い下位人気の馬も多く含まれてしまうが、前走1着馬は極端な人気薄にはなりにくいため、人気分布に大きな差が生じてフェアな比較とは言いづらくなる。そこで、ここではふたケタ人気の馬を除外して、9番人気以内のデータに絞って比較検討を進めていきたい。

表1と表2を見比べて気づくのが、ほとんどのクラスにおいて前走1着馬のほうが勝率、連対率、複勝率のすべてが優位にあること。基本的には昇級の壁を必要以上に高いものと考える必要はなく、昇級初戦でも互角以上に戦えることを覚えておきたい。

また、過剰人気の懸念があるかもしれないが、実際に回収率が高いのも前走1着馬のほうだ。好走率、回収率ともに前走1着馬のほうが高いため、予想時に「この条件の安定勢力」と「昇級初戦の前走1着馬」のどちらを軸馬に据えるかの2択で迷った場合などは、後者を狙ったほうが好結果につながることが多いはずだ。ただし、500万下では前走1着馬の価値がやや暴騰気味で、回収率が低い傾向にあることに注意しておきたい。

表2で「前走1着なのに未勝利戦?」と思われるかもしれないが、これは障害未勝利戦でのこと。平地で勝った直後に障害に転向したケースを指している。ここには、平地で1600万下を勝ったばかりのテイエムテンライやバトルブレーヴ、1000万下を勝った直後のマルカシリウスといった平地実績上位の馬も含まれ、上位人気に推されているのだが1頭も勝てていない。平地を勝ったばかりの馬でも、障害初戦ではいささか勝手が違うようだ。

とはいえ、障害トータルでは前走1着馬の単勝回収率が100%を超えるなど優秀な成績なので、オープンクラスでは積極的に買っていきたい。障害で前走1着ということは、すくなくとも落馬せずに完走したことを意味している。なにはともあれ飛越のしっかりした馬を狙うことこそが、障害戦の馬券では肝要なのだろう。

■表3 2連勝馬・クラス別成績(9番人気以内・06年6月17日〜09年11月1日)

クラス
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
未勝利
0-  0-  0-  1/  1
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
500万下
1-  0-  0-  4/  5
20.0%
20.0%
20.0%
98%
42%
1000万下
33- 18- 16-139/206
16.0%
24.8%
32.5%
69%
67%
1600万下
36- 21- 12-118/187
19.3%
30.5%
36.9%
97%
81%
OPEN特別
24- 22- 15- 70/131
18.3%
35.1%
46.6%
69%
82%
G3
33- 28- 21-101/183
18.0%
33.3%
44.8%
97%
97%
G2
7-  8- 10- 66/ 91
7.7%
16.5%
27.5%
20%
49%
G1
12-  8- 10- 54/ 84
14.3%
23.8%
35.7%
74%
77%
障害
7- 12-  5- 14/ 38
18.4%
50.0%
63.2%
40%
102%

ここから、今回のテーマである連勝馬についての考察に入ろう。いきなり結論じみてしまうが、表2のとおり、近2走で連勝中の馬は前走1着馬以上の好走率となっている(該当数の少ない未勝利、500万下を除く)。連勝するような馬は昇級しても実力上位。基本的にはそう考えるのが妥当なようだ。

ただし、前走1着馬に比べるとクラスによって数字のバラつきが見られる点には注意したい。たとえば、1000万下と1600万下を比べると、3連勝を達成しやすいのは明らかに1600万下となっている。2連勝で1600万下に出走してきた馬は難なく通用する傾向にあり、単勝回収率も97%と優秀だ。1番人気の数字を見ても、1600万下では勝率45.0%、複勝率75.0%と2連勝中の馬がかなりの確率で人気に応えるのに対して、1000万下では勝率30.8%、複勝率51.9%。一般的な1番人気よりも低い水準にとどまっている。2連勝中の馬にとっては、1000万下→1600万下に比べて500万下→1000万下の壁のほうが高いようだ(注:データには降級馬も含まれるため、前走が同クラスのケースもある)。

また、重賞のなかでも格によって結構な差が生じている。特に意外なほどの差がついているのがG3とG2。G3では2連勝馬が勢いに乗って好走する可能性が高いのだが、G2になると勢いだけでは苦戦は必至。2連勝という見かけ上の数字にとらわれず、G2でも通用するだけの内容を伴っていたのかを吟味する必要がある。

障害戦も、2連勝中の馬の信頼性が極めて高い。単勝については過剰人気と言わざるをえないが、複勝率63.2%、複勝回収率102%の手堅い軸馬であることは間違いない。

■表4 3連勝馬・クラス別成績(9番人気以内・06年6月17日〜09年11月1日)

クラス
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1000万下
1-  0-  0-  4/  5
20.0%
20.0%
20.0%
50%
26%
1600万下
5-  0-  1-  9/ 15
33.3%
33.3%
40.0%
106%
66%
OPEN特別
8-  5-  2- 13/ 28
28.6%
46.4%
53.6%
91%
97%
G3
6-  8-  3- 14/ 31
19.4%
45.2%
54.8%
95%
111%
G2
3-  3-  3- 12/ 21
14.3%
28.6%
42.9%
29%
55%
G1
5-  4-  7- 11/ 27
18.5%
33.3%
59.3%
81%
115%
障害
0-  3-  0-  3/  6
0.0%
50.0%
50.0%
0%
60%

3連勝馬は、2連勝馬とはまた違った傾向が出ている。回収率の高さがそのことを表しているが、3連勝馬は思われている以上に強い

表4のように、3連勝するような馬は1600万下やオープン特別なら即通用と考えていい。どちらも勝率の高さが際立っており、回収率も優秀だ。注意するとすれば、勝率のわりに複勝率が低いこと(特に1600万下でその傾向が顕著)。一気に4連勝を飾る馬も多いのだが、馬券圏内にも絡めずに敗れるケースも想定しておきたい。

2008/9/28 阪神10R 神戸新聞杯(菊花賞トライアル)(Jpn2)1着 1番 ディープスカイ

重賞では2連勝馬と似た傾向がある。3連勝中の馬は、G3であれば一気に重賞タイトルを獲得するものの、G2の壁は意外なまでに高い。勝った3頭も07年セントライト記念のロックドゥカンブ、08年神戸新聞杯のディープスカイ、09年のロジユニヴァースで、すべて前走で重賞を勝っていた。3連勝中でも、前走がオープン特別以下のレースだった馬がG2に出走した場合は、いくらか割り引いたほうがいいだろう。

5例ある1000万下はいずれも4歳夏の降級を挟んでおり、すべて「3連勝→休養→出走」のパターンで1、2番人気に推されたものの、勝ったのは1頭だけ。1勝は芝で、敗れた4頭がすべてダート戦だったのも興味深い共通点だ。

この1000万下の例を受けて集計をとってみたのが、下の表5である。

■表5 3連勝馬・出走間隔別成績(9番人気以内・06年6月17日〜09年11月1日)

クラス
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
平均人気
連闘
0- 0- 0- 1/ 1
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
6.0人気
中1週
2- 1- 1- 4/ 8
25.0%
37.5%
50.0%
77%
82%
3.0人気
中2週
4- 1- 1- 1/ 7
57.1%
71.4%
85.7%
198%
212%
4.0人気
中3週
1- 5- 2- 9/17
5.9%
35.3%
47.1%
11%
112%
2.9人気
中4〜8週
15-10- 9-22/56
26.8%
44.6%
60.7%
117%
103%
2.4人気
中9週〜半年
6- 2- 3-22/33
18.2%
24.2%
33.3%
43%
46%
2.3人気
半年以上
0- 1- 0- 4/ 5
0.0%
20.0%
20.0%
0%
46%
2.4人気

休養明けの馬が成績を落とすのは当然ではあるが、注目したいのが平均人気。間隔を空けずに出走した3連勝馬が人気になるのは当然だが、「3連勝するぐらいの馬だから、能力で克服してくれるはず」とばかりに休み明けの場合でも高い支持を受けていることがわかる。

しかし、実際には3連勝中の実力馬であっても、休み明けの不利は厳然と存在している。3連勝馬が連闘〜中8週で出走した場合は、勝率23.9%、複勝率56.5%、単勝回収率95%、複勝回収率106%。対して、中9週以上では勝率15.0%、複勝率32.5%、単勝回収率35%、複勝回収率60%。好走率もそうだが、回収率が著しく下がっている点が見逃せない。3連勝中であっても、休み明けの馬を過信するのは禁物だ。

4連勝馬となると数がかなり限られるので表は省略するが、すべてオープンクラスで5番人気以内に支持され、勝率26.9%、複勝率61.5%、単勝回収率77%、複勝回収率105%。さすがに手堅く走ってくるが、4連勝するほどの馬であっても4回に1回ぐらいしか勝てない、という見方もできるかもしれない。勝つことよりも負けることのほうが圧倒的に多い、競馬というスポーツ。その本質を表すひとつのデータではないだろうか。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)

ページトップへ戻る

競馬予想のJRA-VAN