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第332回 牝馬三冠はなるか? 秋華賞を分析

2009/10/15(木)

荒れる秋華賞。そんな印象が強いのは、ブゼンキャンドルやティコティコタック、そして昨年のブラックエンブレムのような10番人気以下の穴馬がしばしば激走してきたためだろう。同時に、過去13回で1番人気が3勝、ふたケタ着順の大敗も少なくないからでもある。つまり、1番人気が信頼できるのか、危ないのかの見極めこそが秋華賞攻略への第一歩なのだ。ここではまず、危ない1番人気についての分析を行っていきたい。データの分析には、JRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。

■表1 秋華賞で連対できなかった1番人気馬

年度
馬名
着順
備考
96年
エアグルーヴ
10着
オークス以来(中20週)
98年
エアデジャヴー
3着
G1未勝利馬
99年
トゥザヴィクトリー
13着
G1未勝利馬、トライアル4着以下
00年
シルクプリマドンナ
10着
トライアル4着以下
04年
ダンスインザムード
4着
アメリカンオークス以来(中14週)
06年
アドマイヤキッス
4着
G1未勝利馬
07年
ウオッカ
3着
宝塚記念以来(中15週)
08年
トールポピー
10着
トライアル4着以下

2009/5/24 東京11R 優駿牝馬(Jpn1)1着 7番 ブエナビスタ

今年の1番人気が予想されるのは、もちろんブエナビスタだ。1番人気に応えて史上3頭目の牝馬三冠を達成するのか、それとも、いつもの豪脚が見られず昨年のような大波乱を呼ぶのか。まずはこれがテーマだろう。

過去13回の秋華賞で、1番人気に推されながら連対もできなかった馬が8頭いる。それをまとめたのが表1だ。敗因とまで断定するのは軽率なので「備考」としたが、連対できなかった1番人気馬は3つのパターンに分類することができる。

まず、3カ月以上(中12週)以上の休み明けで出走した馬。96年のエアグルーヴや04年のダンスインザムード、07年のウオッカといった牡馬G1でも好勝負を演じた名牝も、秋華賞に限っては休み明けを克服できなかった。こうした馬の場合、エリザベス女王杯やジャパンカップといった先のレースを見据えて秋華賞を秋初戦にする部分があるので、仕上がり面での不利があるのかもしれない。

次に、トライアルで4着以下だった馬。99年のトゥザヴィクトリー、00年のシルクプリマドンナ、08年のトールポピーは、ステップレースのローズSで結果を出せず。それでも秋華賞では1番人気に支持されたが、いずれもふたケタ着順に大敗した。叩き台と本番は別物ではあるが、トライアルで4着以下に敗れた3歳牝馬を短期間で立て直すのは簡単ではないようだ。

最後に、G1未勝利馬。98年のエアデジャヴー、99年のトゥザヴィクトリー、06年のアドマイヤキッスが該当する。このうちエアデジャヴーとアドマイヤキッスは、トライアルを好内容で勝って1番人気に推されたのだが、本番ではすでにG1勝ちのある格上馬の前に敗退した。

さて、ブエナビスタ。札幌記念から中7週の臨戦過程で、その札幌記念では2着。もちろんG1未勝利馬ではない。中間に軽い蟻洞を発症したという情報もあるが、データ的には死角のない1番人気馬と判断できる。

■表2 京都芝2000m 枠順別成績(05年〜09年10月11日)

枠番
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1枠
16- 17-  7-135/175
9.1%
18.9%
22.9%
86%
75%
2枠
21- 18- 14-133/186
11.3%
21.0%
28.5%
79%
102%
3枠
22- 13- 20-143/198
11.1%
17.7%
27.8%
110%
108%
4枠
13- 20- 14-164/211
6.2%
15.6%
22.3%
34%
57%
5枠
13- 15- 24-178/230
5.7%
12.2%
22.6%
44%
68%
6枠
16- 17- 17-198/248
6.5%
13.3%
20.2%
38%
51%
7枠
22- 21- 22-196/261
8.4%
16.5%
24.9%
76%
70%
8枠
22- 23- 25-207/277
7.9%
16.2%
25.3%
84%
92%

2008/10/19 京都11R 秋華賞(Jpn1)1着 4番 ブラックエンブレム

そんなブエナビスタにとって、問題となるのが京都の内回りコースで行われる芝2000mという舞台設定だろう。小回りコースの札幌記念でも素晴らしい伸び脚を見せたものの、ヤマニンキングリーに届かず2着。札幌より最後の直線は長くなるが、それでも前残りの可能性を考慮するのは当然だろう。

表2は、京都芝2000mの枠順別成績。こうして見ると、小回りコースらしく内枠有利の感がある。大波乱の昨年は、内がポッカリ開いたところを2枠4番の枠順を活かしてブラックエンブレムが突っ込み、2着も1枠1番のムードインディゴだった。

■表3 秋華賞 枠順別成績(99年〜08年)

枠番
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1枠
1- 1- 0-18/20
5.0%
10.0%
10.0%
12%
36%
2枠
2- 0- 1-17/20
10.0%
10.0%
15.0%
285%
109%
3枠
0- 1- 4-15/20
0.0%
5.0%
25.0%
0%
113%
4枠
0- 0- 0-20/20
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
5枠
1- 2- 0-17/20
5.0%
15.0%
15.0%
12%
17%
6枠
3- 1- 1-15/20
15.0%
20.0%
25.0%
48%
78%
7枠
1- 1- 3-25/30
3.3%
6.7%
16.7%
9%
251%
8枠
2- 4- 1-23/30
6.7%
20.0%
23.3%
202%
89%

■表4 秋華賞 脚質別成績(99〜08年)

脚質
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
逃げ
0-  1-  1-  9/ 11
0.0%
9.1%
18.2%
0%
629
先行
4-  3-  2- 31/ 40
10.0%
17.5%
22.5%
83%
70
差し
5-  5-  6- 60/ 76
6.6%
13.2%
21.1%
127%
90
追込
1-  1-  1- 50/ 53
1.9%
3.8%
5.7%
9%
11
※脚質はTarget frontier JVによる分類

ただし、昨年がむしろ例外的で、秋華賞自体は外枠不利の傾向があるわけではないことに注意しておきたい。外枠の好走例も多く(表3参照)、小回りコースにしては差しが決まるケースも多い(表4参照)。乱ペースになりがちな3歳牝馬戦。誰もが勝ちたいG1ということもあって、仕掛けのタイミングも早くなりやすい。揉まれずに走れる外枠のメリットが活きることや、先行馬が崩れて差しが決まる展開も十分に考えられる。

■表5 秋華賞 前走レース別成績(99〜08年)

前走レース名
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
ローズS 7- 7- 4-58/76
9.2%
18.4%
23.7%
134%
81%
オークス 2- 0- 0-14/16
12.5%
12.5%
12.5%
37%
18%
大倉山特別(900万下) 1- 0- 0- 0/ 1
100.0%
100.0%
100.0%
2710%
920%
クイーンS 0- 2- 1- 8/11
0.0%
18.2%
27.3%
0%
215%
アメリカンオークス(海外) 0- 1- 0- 2/ 3
0.0%
33.3%
33.3%
0%
123%
紫苑S 0- 0- 2-29/31
0.0%
0.0%
6.5%
0%
14%
シリウスH 0- 0- 1- 1/ 2
0.0%
0.0%
50.0%
0%
3105%
宝塚記念 0- 0- 1- 0/ 1
0.0%
0.0%
100.0%
0%
150%
五頭連峰特別(1000万下) 0- 0- 1- 0/ 1
0.0%
0.0%
100.0%
0%
340%

このように、連対例のほとんどはローズSを経由した馬たちに占められる。人気サイドの馬たちだけでなく、昨年のブラックエンブレム、ムーンライトタンゴ、07年のレインダンスといった穴馬もローズS組。本命党に限らず穴党ファンも、まずはここをあたりたい。

■表6 前走ローズS組 タイム差別成績

タイム差
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
勝0.3〜0.5秒 1- 0- 0- 0/ 1
100.0%
100.0%
100.0%
110%
100%
勝0.1〜0.2秒 2- 1- 0- 2/ 5
40.0%
60.0%
60.0%
106%
68%
勝0.0秒 0- 0- 1- 2/ 3
0.0%
0.0%
33.3%
0%
63%
負0.0秒 0- 1- 0- 2/ 3
0.0%
33.3%
33.3%
0%
203%
負0.1〜0.2秒 2- 3- 1- 8/14
14.3%
35.7%
42.9%
447%
157%
負0.3〜0.5秒 1- 1- 1-12/15
6.7%
13.3%
20.0%
21%
49%
負0.6〜0.9秒 0- 0- 1-13/14
0.0%
0.0%
7.1%
0%
24%
負1.0〜1.9秒 0- 0- 0-16/16
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
負2.0〜2.9秒 1- 1- 0- 2/ 4
25.0%
50.0%
50.0%
747%
410%

表6は、前走ローズS組のタイム差別成績である。

0.1秒差以上をつけて勝った馬は【3.1.0.2】で連対率66.7%と本番でも堅実。一方、勝っても負けてもタイム差なしの激戦を演じた馬は【0.1.1.4】と勝ちきれず、凡走例も多い。

また、ローズSを負けた馬で巻き返せるのは0.5秒差まで。0.6秒以上負けていた馬はかなり苦しく、ここから巻き返したのは99年のヤマカツスズラン(阪神3歳牝馬S勝ち馬。ローズSは骨折休養明け初戦)、06年のフサイチパンドラ(オークス2着馬。ローズSは0.8秒差だが着順は3着)、08年のブラックエンブレム(オークス4着馬。ローズSは道悪でレースにならず)の3頭。実力の裏付けや明白な敗因がない限り巻き返しは困難、という傾向がある。

ローズS以外のレースでは、オークスからの直行組で01年のテイエムオーシャン、06年のカワカミプリンセスが勝っているが、今年は該当馬なし。古馬重賞のクイーンS、海外G1のアメリカンオークスを使っていた馬にも好走例があるが、こちらも該当馬がいない。

そこで注目したいのが、前走で1000万下(旧900万下)を勝っていた馬だ。99年1着のティコティコタックと05年3着のニシノナースコールが該当する。この2頭に共通するのが、前走の上がり3Fタイムがメンバー中最速だったこと。99年と05年の秋華賞は、いずれも前半1000mが60秒台とスローの流れになっており、両馬にとっては決め手を活かしやすいレースだったようだ。

もうひとつのトライアル、紫苑Sは【0.0.2.29】と大苦戦。好走例が皆無ではないので無視はできないが、3着2頭のうちの1頭がレディパステルということを考えれば、「オークス馬をもってしても苦しいローテ」と考えるのが自然だろう。

なお、前走レースを問わず、オークスに出走していた場合は「オークスで勝ち馬から1.2秒差以内」というのが、近10年の秋華賞では好走の条件となっている。

【結論】

今年の出走メンバーを見渡すと、ブエナビスタ+ローズS組+前走1000万下組、という構図になりそうだ。

圧倒的1番人気が予想されるブエナビスタは、前述したようにデータ面では不安なし。「京都の内回りでは届かないのではないか」という不安はどうしてもつきまとうが、秋華賞自体は差し馬が不利なレースではない。超スローで逃げ・先行馬が上位独占、などといった極端な展開にならない限り、凡走は考えづらそうだ。

淀みない流れで進み、コースレコードが記録されたローズSはハイレベルな一戦だった。そのレースを勝ったブロードストリート、同タイム2着のレッドディザイアが打倒ブエナビスタの最有力候補となることは疑いようがない。しかし、ローズSでタイム差なしの激戦を繰り広げた馬は過去10年の秋華賞では勝っていない、というデータが気になるところ。そのほか、ローズS組で馬券に組み入れるのであれば勝ち馬から0.2秒差の3着クーデグレイスは有力な選択肢で、0.5秒差の4着ミクロコスモスまで。0.6秒差以上負けたジェルミナルなどは減点が必要となる。

4頭いる前走1000万下1着馬からは、上がり最速の脚を使って勝ったモルガナイトとパールシャドウに注目。特に、モルガナイトは過去の3勝時すべてでメンバー最速の上がり3Fタイムをマークしており、決め手勝負には絶対の自信を持っている。

まとめとしては、やはり軸はブエナビスタ。ローズS1、2着のブロードストリートとレッドディザイアの評価を落とし、ローズSで0.2秒差好走のクーデグレイスや決め手のあるモルガナイトを2着に据えるような馬券を組むと妙味があるのではないだろうか。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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