第227回 秋華賞のレースラップから見えてくるものとは?|競馬情報ならJRA-VAN

JRA公式データ配信サービス JRA-VAN

  • メール:office@jra-van.jp
  • 受付時間:10:00〜17:00
  • ※競馬開催のない土日祝・火曜を除く
  • ホーム
  • サイトマップ
  • JRA-VAN広場

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第227回 秋華賞のレースラップから見えてくるものとは?

2008/10/13(月)

今週の日曜日には京都競馬場で秋華賞が行われる。詳細な分析は週半ばに行うこととし、今回は過去10年の本競走のレースラップに注目してみた。昨年はダイワスカーレットが4コーナー先頭からそのまま押し切り、桜花賞との2冠を達成。その時、指摘されたことはペースの遅さ。一般的に言われる「スローペース=逃げ・先行馬が有利」という格言に倣うような展開で、鮮やかな逃げ切りだった。しかし、同馬は次走に古馬相手のエリザベス女王杯を優勝。なおかつ、年末の有馬記念でも2着に入る好走を見せており、秋華賞が展開面で大きな恩恵を受けての勝利だったとは言いにくいものがある。

もともと、秋華賞というレースは道中のペースが厳しくなりやすく、なおかつ勝ち時計も速いため、3歳牝馬にとっては過酷な競走。それはレースのラップ面からうかがい知ることが可能だ。今年のレースラップはふたを開けてみないとわからないが、過去の本競走のレースラップを分析することにより、好走馬の特徴はある程度つかむことができる。また、実際のラップと好走馬の脚質を基に、それらの馬の今後の活躍を占うこともできる。

■表1 過去10年の秋華賞のレースラップ

馬場 コース 1F 2F 3F 4F 5F 6F 7F 8F 9F 10F 勝ち時計 3分割ラップ
07年 12.3 10.4 11.5 12.2 12.8 13.6 12.4 11.3 11.1 11.5 1.59.1 34.2-51.0-33.9
06年 12.0 10.6 11.9 12.0 11.9 12.2 12.0 12.0 11.6 12.0 1.58.2 34.5-48.1-35.6
05年 12.4 11.0 12.2 12.2 12.3 12.3 11.8 11.6 11.3 12.1 1.59.2 35.6-48.6-35.0
04年 12.4 11.0 12.1 12.4 12.0 12.0 11.6 11.7 11.6 11.6 1.58.4 35.5-48.0-34.9
03年 12.5 11.0 11.9 12.2 12.2 12.1 11.7 11.6 11.9 12.0 1.59.1 35.4-48.2-35.5
02年 12.3 10.8 12.0 11.9 12.0 12.3 11.9 11.5 11.6 11.8 1.58.1 35.1-48.1-34.9
01年 12.1 10.5 12.2 11.8 11.8 12.0 12.2 12.3 12.0 11.6 1.58.5 34.8-47.8-35.9
00年 12.4 11.2 12.4 12.4 12.4 13.1 12.1 11.5 11.2 11.2 1.59.9 36.0-50.0-33.9
99年 12.4 11.2 11.4 11.6 11.8 12.0 11.9 12.0 12.5 12.5 1.59.3 35.0-47.3-37.0
98年 12.5 11.4 12.5 12.7 12.8 12.4 11.9 12.1 12.0 12.1 2.02.4 36.4-49.8-36.2

 

上の表1は過去10年の秋華賞のレースラップを示したもの。表は左から馬場状態、コース、各ハロンのラップ、勝ち時計、全体の時計を前後半の600mとそれ以外の中盤の800mとに3分割したラップを記載している。本競走は00年からCコースからAコースに変更されているものの、一貫して京都芝2000mの内回りコースでレースが行われている。そして、幸いに馬場状態も過去10年すべて良馬場で行われており、レースラップを比較しやすい。

冒頭に述べた昨年のレースは、前半600mは34秒2と過去10年で最も速かったが、中盤に差し掛かり一気にペースダウン。5ハロン目に12秒8、そして6ハロン目に13秒6が記録された。過去10年、道中で13秒台のラップが刻まれたのは、00年の6ハロン目のみ。秋華賞では12秒台後半のラップすらそれほど多くないため、昨年がいかに特殊な流れであったかがわかるだろう。

■表2 過去10年の秋華賞の成績

着順 馬名 タイム 通過順位 上がり3F 備考
07年 1 ダイワスカーレット 1.59.1 1-2-2-1 33.9 桜花賞1着
2 レインダンス 1.59.3 7-7-4-4 33.7  
3 ウオッカ 1.59.3 15-15-12-12 33.2 阪神JF1着
06年 1 カワカミプリンセス 1.58.2 9-8-5-6 34.4  
2 アサヒライジング 1.58.3 4-4-4-4 34.7 ヴィクトリアM2着
3 フサイチパンドラ 1.58.5 8-8-8-6 34.6  
05年 1 エアメサイア 1.59.2 12-12-12-9 34.2  
2 ラインクラフト 1.59.2 5-5-4-2 34.7 NHKマイルC1着、マイルCS3着
3 ニシノナースコール 1.59.7 17-17-14-14 34.5  
04年 1 スイープトウショウ 1.58.4 17-17-15-16 33.9  
2 ヤマニンシュクル 1.58.5 9-9-7-7 34.6 阪神JF1着
3 ウイングレット 1.59.3 6-6-9-7 35.3  
03年 1 スティルインラブ 1.59.1 10-10-8-6 34.9  
2 アドマイヤグルーヴ 1.59.2 11-11-11-11 34.8  
3 ヤマカツリリー 1.59.2 3-4-3-3 35.3 阪神JF2着
02年 1 ファインモーション 1.58.1 5-5-6-2 34.5 マイルCS2着
2 サクラヴィクトリア 1.58.7 12-12-10-10 34.7  
3 シアリアスバイオ 1.58.7 7-5-7-7 34.9  
01年 1 テイエムオーシャン 1.58.5 3-3-3-2 35.4 桜花賞1着
2 ローズバド 1.58.6 18-18-16-14 34.6  
3 レディパステル 1.58.9 12-12-10-9 35.4  
00年 1 ティコティコタック 1.59.9 4-4-4-4 33.5  
2 ヤマカツスズラン 2.00.0 1-1-1-1 34.0 阪神JF1着
3 トーワトレジャー 2.00.1 11-10-9-8 33.4  
99年 1 ブゼンキャンドル 1.59.3 16-16-15-8 36.1  
2 クロックワーク 1.59.3 18-18-18-12 35.9  
3 ヒシピナクル 1.59.4 8-8-7-3 36.8  
98年 1 ファレノプシス 2.02.4 11-9-4-2 36.1 桜花賞1着
2 ナリタルナパーク 2.02.6 15-14-17-8 35.6  
3 エアデジャヴー 2.02.7 3-4-4-5 36.3  

 

その00年はどのようなレースだったかと言うと、優勝がティコティコタックで2着がヤマカツスズラン、3着がトーワトレジャーという結果(表2参照)。やはり前後半3ハロンを除いた中間の800mが50秒0と、昨年の51秒0についで遅かった。例年、中盤の800mは48秒で行くことが多い。それにより00年は逃げたヤマカツスズランが2着に残る結果。過去10年、4コーナーを先頭で通過した馬が3着以内に残ったケースは、00年と07年しかないことを考えると、4コーナー先頭の馬が残るかどうかは、道中13秒台のラップが刻まれるかどうかにかかっているとも言えるのではないだろうか。

ただ、ダイワスカーレットにしてもヤマカツスズランにしても実績的に見劣る馬がスローペースを利して残ったわけではない。表1のラップをあらためてご覧いただきたいが、秋華賞というレースは、もともと道中のペースが厳しくなりやすいレース。06年や05年の時のようにスタートからゴールまで12秒台前半以下のラップがずっと続くようなこともある。馬場状態の良さも影響し、例年、勝ち時計は1分58〜59秒台。そもそも先行して最後まで踏ん張ること自体が、簡単ではないレースなのだ。特にダイワスカーレットの場合は、中盤の800mは51秒0とかなり楽をしたが、その分前半3ハロンが34秒2、後半3ハロンが33秒9と、前後半600mに厳しさが集約されている。

ダイワスカーレット・07年秋華賞1着

また、ダイワスカーレットと同様、06年2着のアサヒライジング、05年2着のラインクラフト、02年優勝のファインモーション、01年優勝のテイエムオーシャンなど、秋華賞を最初の1コーナーから最後の4コーナーまで好位より前で通過し、3着以内に好走した馬は非常に強いと言える。したがって、秋華賞を考える上で、逃げ・先行馬を狙う場合は、それなりの地力が備わっている馬でなければならないだろうし、能力的に疑問がある逃げ・先行馬の前残りを狙うのは難しいとも言える。

そして、秋華賞の厳しいペースを前で捌いて好走した馬に関しては、これで終わりはなく、その後の活躍にも目を向けたい。表2の備考に記したのは、マイルG1における好走実績だが、秋華賞以前に勝っている桜花賞などの実績だけでなく、秋華賞以降の実績も示している。例えば、アサヒライジングは翌年のヴィクトリアマイルで2着、ラインクラフトは次走古馬相手のマイルCSで2着、ファインモーションは次走エリザベス女王杯を勝ったが、翌年のマイルCSで2着。秋華賞は芝2000mの競走だが、マイルG1にも直結している。秋華賞を先行して好走することは、マイル戦におけるG1クラスの力がある証明にもなるのだ。

まとめると、過去10年の秋華賞では道中に13秒台のラップが入ると、4コーナー先頭の馬が馬券に絡んでくる。ただし、本競走は基本的に道中厳しいペースになりやすいので、逃げ・先行馬で好走するには相当な能力・底力が必要になる。仮に秋華賞を逃げ・先行で好走できた馬は、マイラーとしての高い資質を示しており、今後のマイルG1などで注目できる。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
小田原智大の完全なる買い方ブログ

データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)

ページトップへ戻る

競馬予想のJRA-VAN