第225回 「先行有利」も今は昔? 東京・京都秋競馬開幕週|競馬情報ならJRA-VAN

JRA公式データ配信サービス JRA-VAN

  • メール:office@jra-van.jp
  • 受付時間:10:00〜17:00
  • ※競馬開催のない土日祝・火曜を除く
  • ホーム
  • サイトマップ
  • JRA-VAN広場

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第225回 「先行有利」も今は昔? 東京・京都秋競馬開幕週

2008/10/6(月)

今開催は秋華賞から菊花賞に天皇賞(秋)と大レースの連続。本格的な秋競馬の開幕だ。今週はその開幕週。秋の開幕週といえば「逃げ・先行有利」、絶好馬場を味方にスピードを武器にする馬が大活躍、といった印象が非常に強い。しかし、本当に前へ行く馬ばかりを狙っていて良いのだろうか。その「印象」が果たして正しいのか、月曜掲載分の今回は秋の東京・京都開幕週の脚質について分析したい。なお、重賞については木曜掲載分において、毎日王冠、または京都大賞典を取り上げる予定だ。

まず「脚質」についての注意点として、年齢や性別など「数字」「データ」で区切れば誰が分析しても同じ、というものではないことが挙げられる。ここに掲載するデータはJRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用しており、脚質分類もTarget frontier JV上の表記となっている。利用する競馬ソフトによっては異なる結果になる可能性もあるのでご注意いただきたい。

■表1 東京、京都秋競馬開幕週、芝の脚質別成績(03年〜)

脚質
東京
京都
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
逃げ
5- 4- 8- 47
14.1%
7.3%
27
58
10- 6- 6- 37
27.1%
13.6%
118
114
先行
21- 24- 19-159
20.2%
36.3%
87
84
17- 30- 24-133
23.0%
39.8%
38
63
中団
21- 26- 28-248
14.6%
37.9%
72
75
22- 17- 20-198
15.2%
33.1%
63
86
後方
13- 8- 7-228
8.2%
16.9%
55
86
10- 6- 9-173
8.1%
13.6%
63
79
マクリ
2- 0- 0- 2
50.0%
1.6%
75
125
0- 0- 0- 0

1は、秋競馬開幕週の東京、京都芝コースにおける脚質別成績(03年以降)を調べたもの。「連占有」は連対馬の中でその脚質が占める割合、「単回」は単勝回収率を示している。また、「単適」はTarget frontier JVの「単勝適正回収値」。一般的な「単勝回収率」は同一金額(100円なら100円)で購入し続けた場合の回収率だが、「単勝適正回収値」は一定の払い戻しを受けられるようにオッズに応じて購入金額を調整した場合の回収率を示している。たとえば2.0倍なら購入は5000円(払い戻しは1万円)、100倍なら100円(同)と金額を変えつつ購入した場合に相当する。

前置きが長くなったが、表1の中身について。左側の東京では先行の連対率が最も高く、京都(右)では逃げ→先行→中団→後方の順に並んでいる。パッと見では、やはり前へ行った馬の方が有利、と思えるデータだ。
ただ、連対馬の実数、あるいは連対馬占有率のデータを見ると、東京では「中団+後方」で全体の半数以上。京都は東京より前が多く、逃げの回収率も良いとはいえ、それでも「中団+後方」の占有率は47%ほどと、「前へ行った馬ばかり」とは言えない数字だ。

これは、もちろん「逃げ」に分類される馬が少ない(基本的に1レースあたり1頭)影響もあるだろう。しかし、筆者が以前調べた際は「秋の開幕週はとにかく逃げ・先行」というデータが出ていたような記憶もあり、表1を見てもどうにも違和感が拭えない。

■表2 東京秋競馬開幕週、芝の脚質別成績(97〜01年、03年〜)

c
03〜07年
97〜01年
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
逃げ
5- 4- 8- 47
14.1%
7.3%
27
58
9- 8- 5- 45
25.4%
13.1%
94
97
先行
21- 24- 19-159
20.2%
36.3%
87
84
30- 29- 32-135
26.1%
45.4%
73
91
中団
21- 26- 28-248
14.6%
37.9%
72
75
24- 15- 17-179
16.6%
30.0%
74
95
後方
13- 8- 7-228
8.2%
16.9%
55
86
1- 13- 9-182
6.8%
10.8%
1
7
マクリ
2- 0- 0- 2
50.0%
1.6%
75
125
1- 0- 3- 2
16.7%
0.8%
50
72

 


2007/10/7東京11R 毎日王冠(G2) 1着 7番 チョウサンそこで今度は、東京の秋開幕週について、03年以降と97〜01年(02年は改修工事で開催なし)を比較してみた。右側の97〜01年も筆者の記憶ほど「前ばかり」ではなかったものの、それでも「逃げ」の連対率は03年以降より10%以上高く、連対馬の占有率も03年以降に比べ全体的に「前に寄っている」数字だった。逆に「後方」を比較すると、97〜01年は【1.13.9.182】と好走しても2着までが多かったのに対し、03年以降は【13.8.7.228】とアタマまで突き抜ける馬が増えてきている。

今週行われる毎日王冠を見ても、4コーナー6番手以下から勝利を手にしたのは92〜01年の10年間では00年のトゥナンテ1頭に対し、期間半分のここ5年でも04年のテレグノシス、昨年のチョウサンが2勝。逆に4コーナー先頭の馬は92〜01年がダイタクヘリオス、スガノオージ、サイレンススズカの3勝、近5年は優勝馬なしとなっている。

■表3 京都秋競馬開幕週、芝の脚質別成績(98〜02年、03年〜)

脚質
03〜07年
98〜02年
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
逃げ
10- 6- 6- 37
27.1%
13.6%
118
114
14- 13- 4- 31
43.5%
22.1%
301
173
先行
17- 30- 24-133
23.0%
39.8%
38
63
34- 25- 27-143
25.8%
48.4%
118
96
中団
22- 17- 20-198
15.2%
33.1%
63
86
11- 19- 23-208
11.5%
24.6%
51
46
後方
10- 6- 9-173
8.1%
13.6%
63
79
1- 4- 7-189
2.5%
4.1%
29
10
マクリ
0- 0- 0- 0
1- 0- 0- 0
100.0%
0.8%
320
320

京都コースを見ても、その傾向は東京と似通っている。こちらは98〜02年との比較だが、以前は「逃げ」が連対率43.5%を記録し、回収率も100%をかなり大きく上回っていたのだ。加えて、「逃げ+先行」の連対馬占有率は約70%もあった。近年の「逃げ」も悪くないとはいえ、以前ほどではない数字。また、「後方」から勝つ馬が増えてきているのも東京と同様である。

以前との大きな違いは、秋の東京・京都開幕週に行われていた福島開催がなくなり、出走頭数が増えてきたこと。ほかに、芝コースの管理(葉長など)がなにか変わったか、あるいは「競走馬」そのものが変化したかなど、影響を与える「可能性」はいくつか考えられるが、いずれも想像の域は出ない。そんな原因の推測はさておき、ともかく東京、京都ともに「近年は以前ほど先行有利ではない」、あるいは「後方待機の馬が差し切るレースも増えてきた」と認識しておきたい。

なお、東京開催は97〜01年、03年以降ともに重〜不良は2レースのみ。京都開催は98〜02年、03年以降とも重、不良のレースはなかった。

■表4 京都秋競馬開幕週、芝脚質別成績、内・外比較(03年〜)

脚質
芝内回り
芝外回り
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
逃げ
5- 3- 3- 16
29.6%
14.8%
94
105
5- 3- 3- 21
25.0%
12.5%
138
125
先行
11- 13- 11- 59
25.5%
44.4%
45
79
6- 17- 13- 74
20.9%
35.9%
32
46
中団
8- 9- 7- 88
15.2%
31.5%
96
79
14- 8- 13-110
15.2%
34.4%
38
90
後方
3- 2- 6- 79
5.6%
9.3%
67
60
7- 4- 3- 94
10.2%
17.2%
59
92
マクリ
0- 0- 0- 0
0- 0- 0- 0

2007/10/7京都11R 京都大賞典(G2) 1着 6番 インティライミ本来ならここで、距離別などもう少し細かく調べて注目できるデータを探ろうかと考えていたのだが、傾向が変わってきてしまったとなると難しい。過去5年程度の開幕週限定で、あまりデータを細かく切り分けるとサンプル不足になってしまうためだ。とはいえ、これだけでは物足りないので、京都芝の内回り、外回りを比較してみた。

結果は予想通りで、内回りの方が逃げ・先行馬の成績が良く、外回りになると後方の馬にもチャンスが生まれてくる。ただ「逃げ」だけを比較すると、外回りもそう大きく数字を下げているわけではなく、回収率では外回りの方が良いほど。連対馬占有率では「先行」の下げ幅が大きい。

■表5 東京秋競馬開幕週、芝脚質別成績、条件比較(03年〜)

脚質
2歳新馬、未勝利
古馬1000万条件以上
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
逃げ
5- 2- 4- 17
25.0%
12.5%
61
108
0- 1- 4- 15
5.0%
2.6%
0
0
先行
9- 14- 9- 69
22.8%
41.1%
69
68
7- 6- 6- 49
19.1%
34.2%
101
92
中団
6- 10- 11-102
12.4%
28.6%
17
63
6- 7- 8- 67
14.8%
34.2%
94
69
後方
6- 2- 4- 84
8.3%
14.3%
92
96
6- 5- 1- 68
13.8%
28.9%
46
124
マクリ
2- 0- 0- 1
66.7%
3.6%
100
130
0- 0- 0- 0

クラスと脚質の関係についても少々触れておきたい。表5は東京コースの秋開幕週について、2歳の新馬・未勝利と古馬1000万条件以上の脚質成績を比較したものだ。新馬・未勝利では「逃げ」も連対率25.0%、占有率12.5%とまずまずの成績なのに対し、古馬1000万条件以上ではほぼ壊滅とも言える【0.1.4.15】。逆に中団〜後方は、古馬1000万条件以上の方が好成績だ。

こういった傾向は、新馬や未勝利では「後方待機」ではなく「ついていけない」馬も多く「差せる脚を持った馬がいない」とか、あるいは、ある程度の力がある馬は前へ行くことが多いため、などと言われている。このあたりは、開幕週以外も含めて分析してみても面白そうだ。

■表6 京都秋競馬開幕週、芝脚質別成績、条件比較(03年〜)

脚質
2歳新馬、未勝利
古馬1000万条件以上
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
着別度数
連対率
連占有
単回
単適
逃げ
4- 3- 3- 15
28.0%
14.0%
71
93
2- 2- 2- 14
20.0%
10.0%
29
71
先行
11- 16- 12- 49
30.7%
54.0%
47
74
5- 12- 8- 41
25.8%
42.5%
49
63
中団
8- 5- 8- 70
14.3%
26.0%
112
98
7- 5- 7- 57
15.8%
30.0%
32
75
後方
2- 1- 2- 72
3.9%
6.0%
66
51
6- 1- 3- 54
10.9%
17.5%
72
118
マクリ
0- 0- 0- 0
0- 0- 0- 0

同じデータを京都コースについて調べても、東京同様に、古馬1000万条件以上は新馬・未勝利に比べ差しが決まりやすいという結果が出ている。京都の芝1400m、1600mは内、外の両コースがあるが、内回りは未勝利戦や下級条件(=前が残りやすいレース)が中心。表4で外回りの方が中団〜後方の成績が良いのは、単純に「直線が長いから」ということに加え、このあたりも影響しているのだろう。

このように、現在の「秋の東京・京都開幕週」は、逃げ・先行馬ばかりを買っていれば当たるというほどやさしくはない、という結果が出た。最近になって競馬を始めた方なら問題ないが、以前のイメージを強く持ち続けている方なら発想を変えた方が良いだろう。また、東京と京都の比較では京都の方がやや前有利上級条件では、新馬・未勝利に比べ差しが決まりやすく、特に東京の1000万条件以上において「開幕週だから」という理由のみで逃げ馬を買うのは危険だ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)

ページトップへ戻る

競馬予想のJRA-VAN