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第203回 ペースチェンジ指数(PCI)に注目してみよう

2008/7/21(月)

当コラムでおなじみなのがTarget frontier JVJRA-VAN Data Lab.の対応ソフトで、その利便性と豊富な機能が、データによる競馬予想を可能にしている。そんな同ソフトの中に、PCIと呼ばれる数字がある。正式にはペースチェンジ指数という名称で、ソフトの競走成績画面などで見ることができる。

Target frontier JV 競走成績画面※クリックで拡大

上記の画面は今年の七夕賞の競走成績画面で、画面下の配当欄の右にある47.6という数字のことだ。これはPCIの中でも、レースPCI(RPCI)と呼ばれるものなのだが、この指数はレースのペースを判断する際に非常に役に立つ。すでにご存じの方もいらっしゃるだろうが、今回はPCIに注目し、簡単ながらご紹介していきたい。

Target frontier JVの説明(詳しくはソフトのホームページやヘルプ機能などをご覧ください)によると、PCIとは「上がり3ハロンの位置を分岐とし、その前後の走破タイムからそれぞれ速度を計算し、その比を表したもの。つまり、3ハロン前後で、どれだけ速度が変わったかを表している」とある。「数値が約50で前後半が同一程度のペースになり、それより小さい値だと、後半の速度が低下したことを意味し、大きい場合は、速度が速くなったことを意味する」のだと言う。

言葉だけではわかりにくいので、実際のレースを参考に考えてみよう。前述した七夕賞のRPCIは47.6。前後半が同一程度のペースだったと定義される約50よりも小さい値なので、今年の七夕賞は(レースラップの)後半の速度が低下したことを意味している。つまり、レース全体の流れを見た場合、ラスト3ハロンの時計が、若干かかったということになる。

 PCIに頼らずとも、レースの流れは実際にラップタイプを見れば、詳細に判断ができる。そして、競馬新聞やスポーツ紙の馬柱を見れば、S(スローペース)、M(ミドルペース)、H(ハイペース)というような表記がなされており、これだけでも大まかなレースの流れはわかる。しかし、RPCIのように具体的な単一の数値で認識できるメリットというのも案外大きい。スローペース、ミドルペース、ハイペースという3つの定義だけでは、大ざっぱすぎると感じることも。指数のような形にすると、そのペースの度合いが感覚的にわかる。

ただし、注意していただきたいのは、PCIが約50=(イコール)平均ペース、では決してないということ。前述したようにあくまでもPCI・50は前後半が同一程度のペース。レース距離によって前半の部分の距離も変化するため、すべてのレースでPCI・50を基準にして、スロー、ミドル、ハイというペース判断はできない。コース形態によっても特徴が出てくる。例えば、今年の七夕賞と同日に行われたプロキオンSのRPCIは42.9。七夕賞よりも4.7も低い指数だったが、今年のプロキオンSが平均ペースよりも速かったとは言えない。過去のプロキオンSと比較すると、むしろ遅いペースだった。芝・ダートの短距離戦は、前半からペースが速くなるのが当たり前で、前後半が同一ペースの場合は、スローペースと言えるだろう。したがって、RPCIが30台になることもめずらしくなく、平均ペースと定義できるPCIの数値は50よりも確実に低くなる。

ただ、七夕賞と同じ芝2000mのレースに関して言えば、RPCIが50=ほぼ平均ペースと考えてもいい。それを踏まえた上で、今週末に行われる函館記念のRPCIについて調べてみたい。

■表1 過去10年の函館記念のレースPCI(RPCI)

勝ち馬
馬場
タイム
RPCI
07年
エリモハリアー
2.02.8
52.9
06年
エリモハリアー
稍重
2.05.1
35.3
05年
エリモハリアー
2.00.7
50.0
04年
クラフトワーク
2.00.6
42.6
03年
エアエミネム
1.59.9
47.1
02年
ヤマニンリスペクト
2.05.1
43.7
01年
ロードプラチナム
2.02.4
42.3
00年
クラフトマンシップ
稍重
2.02.7
46.1
99年
ジョービッグバン
2.02.0
43.4
98年
パルブライト
2.00.4
41.0
※RPCIが48以下は背景色が赤、56以上が緑、その間は黄で表示。

2007/7/22 函館9R 函館記念(Jpn3)1着 4番 エリモハリアー 上の表1は過去10年の函館記念のRPCI。RPCIが48以下は背景色が赤、56以上は緑、その間は黄で表示している。10回中8回のレースで、RPCIが48以下の数値。道中のペースが厳しく、上がり3ハロンの時計がかかるレースが展開されている。特に06年はRPCIが35.3という、かなりの消耗戦。実際、稍重の馬場ということもありレースの上がり3ハロンは39秒4という終いバタバタの競馬だった。また、本競走はエリモハリアーが3連覇中のレースだが、07年と05年はRPCIがともに50以上。06年とは対照的とも言える比較的ゆったりした流れでの、上がり勝負のレース。同一重賞とはいえ、エリモハリアーは中身が大きく違うレースで3連覇を果たしていることがわかる。

■表2 過去10年の皐月賞のレースPCI(RPCI)

勝ち馬
馬場
タイム
RPCI
08年
キャプテントゥーレ
2.01.7
55.5
07年
ヴィクトリー
1.59.9
47.1
06年
メイショウサムソン
1.59.9
48.4
05年
ディープインパクト
1.59.2
55.3
04年
ダイワメジャー
1.58.6
54.8
03年
ネオユニヴァース
2.01.2
58.0
02年
ノーリーズン
1.58.5
45.0
01年
アグネスタキオン
2.00.3
48.6
00年
エアシャカール
稍重
2.01.8
48.2
99年
テイエムオペラオー
2.00.7
48.0
※RPCIが48以下は背景色が赤、56以上が緑、その間は黄で表示。

次に同じ芝2000mの重賞という意味で、過去10年の皐月賞のRPCIも調べてみよう(表2参照)。レースが行われる中山競馬場は、中央場所ながら最後の直線が310mと、ローカル競馬場並みに短い。しかし、上がり3ハロンの時計がかかる、いわゆる前傾ラップは函館記念ほど多くはない。過去10年で、RPCIが48以下は07年、02年、99年の3回。だからと言って、典型的なスローペースからの上がり3ハロン勝負となったのは、ネオユニヴァースが勝ちRPCIが58だった03年のみだ。また、ここ2年はヴィクトリー、キャプテントゥーレと逃げ切りでの優勝が続いているが、RPCIはそれぞれ47.1、55.5。同じ逃げ切り勝ちでもヴィクトリーは自ら厳しいラップを踏み、後続に脚を使わせたのに対し、キャプテントゥーレはまんまとスローペースに持ち込んだもの。こうした質の違いというものが、簡単にわかってくるのだ。
以上がPCIの中でも、レース全体の流れを示すRPCIというもの。今後は、機会があればさらにPCIにスポットを当て、データ分析の幅を広げていってみたい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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