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第139回 休養明けも不利にならないエルムS

2007/9/13(木)

札幌競馬場では月曜にエルムSが行われる。登録メンバーを見渡すと、前走で他の登録馬と直接対決している馬が少なく、しかも休養明けも少なくない。実力比較が難しそうな印象のある一戦だが、このレースをデータから分析してみよう。

今週は各地で4重賞。ローズS、セントライト記念は過去の本コーナーで分析しているため、今回は月曜(祝)に札幌競馬場で行われるエルムSをデータから分析してみたい。分析にはJRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。

登録メンバーを見ると、前走で直接対決をしていた馬が少ないことが目につく。本来ならブリーダーズGCで4頭が対戦していたはずだが、馬の移動制限の関係で出走が不可能に。その結果、休養明けの馬や、「休養」とまでは言えなくても少々レース間隔の開いた馬が数多い。

 

■表1 エルムSのレース間隔別成績(過去10年)
間隔  1着   2着   3着   着外   勝率   連対率 
連闘 0 0 0 3 0.0% 0.0%
中1週 0 0 1 15 0.0% 0.0%
中2週 0 1 2 15 0.0% 5.6%
中3週 0 2 2 18 0.0% 9.1%
中4〜8週 4 5 3 23 11.4% 25.7%
中9〜半年 5 2 2 19 17.9% 25.0%
半年〜 1 0 0 3 25.0% 25.0%

そこでまず、前走からのレース間隔別の成績を調べたのが表1だ。連闘から中3週までの馬は過去10年未勝利で、連対馬も3頭止まり。それに対し中4〜8週、中9週〜半年の各馬は連対数が多く、連対率も高くなっている。数ヶ月程度の休養明けなら、レース間隔を詰めて使っている馬よりも成績が良い、というデータだ。

やや話は逸れるが(エルムSの分析を続けたい方は表3へ)、この表1を見て気になったのは、間隔の開いた馬が好成績なのは「秋だから」ではないか、ということ。この時期はまだ暖かく体が絞りやすい上、秋の大レース(ダートならJCダートやJBCなど)を目標に実力馬がある程度しっかりと仕上げて出走してくる傾向にある。そこで、冬に比べれば休養明けの成績が良いのではないか、と予想してG2、G3戦について調べたのが表2である。

 

■表2 古馬平地G2、G3におけるレース間隔別成績(01年〜)
間隔 9、10月 1、2月
 1着   2着   3着   着外   勝率   連対率   1着   2着   3着   着外   勝率   連対率 
連闘 1 0 0 16 5.9% 5.9% 1 6 5 24 2.8% 19.4%
中1週 6 4 5 86 5.9% 9.9% 10 5 9 140 6.1% 9.1%
中2週 9 10 10 76 8.6% 18.1% 30 20 22 313 7.8% 13.0%
中3週 12 13 9 150 6.5% 13.6% 15 20 17 210 5.7% 13.4%
中4〜8週 19 22 27 196 7.2% 15.5% 34 39 37 333 7.7% 16.5%
中9〜半年 25 23 23 197 9.3% 17.9% 13 13 8 95 10.1% 20.2%
半年〜 3 3 1 50 5.3% 10.5% 1 0 4 64 1.4% 1.4%

すると予想とは逆に、間隔の開いた馬はわずかとはいえ9、10月より1、2月の方が好成績、というデータが出てきた。予想がハズレてしまったので原因を特定するのは難しいが、エルムSで「秋だから」という理由で間隔の開いた馬の成績が良いわけではない、ということは確かだろう。ちなみに、中3週以下より中4週以上の馬の方が好成績を残しやすい(9、10月の中2週は除く)傾向は、月を限定せず全期間で調べてみても同様であった。

話をエルムSに戻そう。冒頭に触れた通り、今回の登録メンバーは前走での直接対決が少なく、様々なステップを踏んでいる。そこで、前走の条件別に過去のエルムS好走馬を分析してみたい。

 

■表3 前走がダート重賞のエルムS好走馬(過去10年)
 年  馬名  人   着  前走 ダートOP、重賞
レース  人   着 
06 ヒシアトラス 5 1 東海S 2 5 マーチS
ジンクライシス 7 2 ブリーダーズGC 4 3 (地方馬)
05 パーソナルラッシュ 2 1 ダイオライト記念 3 1 ダービーGP
04 パーソナルラッシュ 6 1 ユニコーンS 4 3 ←、昇竜S
タイムパラドックス 2 3 ブリーダーズGC 2 1
03 アドマイヤドン 1 1 フェブラリーS 2 11 JBCクラシック
02 プリエミネンス 1 1 マーキュリーC 1 1
スマートボーイ 4 2 アンタレスS 4 15 平安Sなど重賞3勝
タガノフォーティ 3 3 東海S 3 4 オアシスS
01 トーホウエンペラー 4 2 マーキュリーC 2 3 (地方馬)
00 オースミジェット 3 3 マーキュリーC 1 1
99 オースミジェット 1 2 ブリーダーズGC 1 2 アンタレスS
98 タイキシャーロック 2 1 かしわ記念 2 3 南部杯
97 バトルライン 2 1 帝王賞 1 3 かしわ記念

・前走がダート重賞の場合
このグループ全馬に共通するのが、前走で4番人気以内に推されていたこと。さらに、一部の例外を除いて3着以内に好走している。その「例外」にあたる4頭のうちの2頭は、前走が東海Sで5、4着(ヒシアトラス、タガノフォーティ)。同じ重賞でもG2以上なら着順は5着以内、とみていいだろう。残る2頭は前走大敗馬。アドマイヤドンはJBCクラシックでG1勝ち(芝では朝日杯FS)があり、スマートボーイは1800mのG3を3勝。G3なら「実績上位」と言える馬ならば大敗後でも巻き返せるようだ。

 

■表4 前走がダート(重賞以外)のエルムS好走馬(過去10年)
 年  馬名  人   着  前走 ダート重賞
レース  人   着 
06 オーガストバイオ 10 3 しらかばS 札17 1 6 アンタレスS2着
05 カイトヒルウインド 6 3 マリーンS 函17 3 6 浦和記念2着
04 ウインデュエル 1 2 マリーンS 函17 1 1 初(ダート7戦全勝)
03 トシザボス 6 2 漁火S(1600万) 函17 1 1 シリウスS5着
タニノゴードン 7 3 マリーンS 函17 1 2 アンタレスS4着
01 エンゲルグレーセ 1 1 マリーンS 函17 3 1 ユニコーンS16着(5連続連対中)
スマートボーイ 5 3 大沼S 函17 2 9 アンタレスS1着
00 シンコウスプレンダ 4 1 マリーンS 函17 4 1 初(芝で京成杯AH優勝)
エーピーバースト 7 2 大雪H(1600万) 札17 2 4 東海S4着
99 ニホンピロジュピタ 2 1 マリーンS 函17 2 1 エルムS3着
リワードタイタン 8 3 大雪H(1600万) 札17 5 3 東京盃6着(地方競馬出身)
98 パーソナリティワン 4 2 マリーンS 函17 1 3 かしわ記念2着
ニホンピロジュピタ 2 3 オーロラ特(900万) 札17 1 1 初(3連続連対中)
97 タイキシャーロック 1 2 マリーンS 函17 1 1 シーサイドS4着

・前走がダート(重賞以外)の場合
重賞同様に前走人気がポイントとなり、前走5番人気以内で全馬が共通。また、クラスを問わず北海道の1700m戦に出走していたことでも共通している。さらに、前走5着以下であればダート重賞連対実績を持つこと、そして前走5着以内でもダート重賞入着(5着以内)経験がなければ、連続連対を継続中や芝での重賞勝ちといった「売り」になるものが必要になる。

 

■表5 1600m以上の古馬ダート重賞における前走芝の好走馬(01年〜)
 年  レース 馬名  人   着  前走 ダート 重賞(芝含む)
06 シリウスS キネティクス 11 3 京成杯AH 13 シクラメンS5着 東京新聞杯2着
05 エルムS ジンクライシス 4 2 ダービー卿CT 13 JCダート3着
04 マーチS プリサイスマシーン 1 2 中山記念 5 ペルセウスS3着 中日新聞杯
03 武蔵野S サイレントディール 1 1 宝塚記念 10 シンザン記念
フェブラリーS イーグルカフェ 4 3 有馬記念 14 JCダート
02 JCダート イーグルカフェ 5 1 ドラール賞 3 武蔵野S2着 NHKマイルC
フェブラリーS アグネスデジタル 1 1 香港C 1 南部杯
01 武蔵野S クロフネ 1 1 神戸新聞杯 1 NHKマイルC
武蔵野S イーグルカフェ 5 2 毎日王冠 5 4戦未勝利 NHKマイルC
フェブラリーS トゥザヴィクトリー 4 3 阪神牝馬特別 1 オークス2着
※06年シリウスSは中京1700m

・前走が芝の場合
前走が芝だったエルムS好走馬は過去10年で2頭止まりと、これだけで少々減点になる。また、たった2頭のデータでは信頼性に疑問符がつくため、近年(01年以降)のダート1600m以上の重賞について調べてみた。
各馬に共通するのは、芝ダート問わずG1で3着以内の実績を持つか、当該レース(今回ならエルムS)で1番人気に推されていることで、前走の格や着順は不問。芝の重賞で頭打ちになった馬が、突然路線を変更してきたような形では苦戦が予想される。例外は昨年のシリウスS3着のキネティクス1頭だ。なお、表にはないが97年に本レースで8番人気3着になったウインドフィールズ(前走、札幌記念10着)は、芝でセントライト記念を勝ち、ダートはオアシスS2着、武蔵野S4着。キネティクスの例も含め、「芝重賞連対+ダートオープン好走」くらいの実績があれば、連対は難しくとも3着なら可能性がある、とみたい。

 

【結論】

間隔を詰めて使ってきた馬より、少々レース間隔が開いたくらいの馬の方が好成績のエルムS。前走ダート重賞で上位人気に推されて好走してきた馬が中心で、オープンや条件戦、あるいは芝のレースをステップにした馬には様々な条件がつく。

では、今年の登録馬を前走の条件別に見てみよう。まず、前走がダート重賞で4番人気以内、かつ3着以内を満たすのはメイショウトウコンロングプライドの2頭。3歳馬は10年で1連対止まり(04年パーソナルラッシュ1着)のため、敢えて甲乙をつければ5歳のメイショウトウコンが上だろうか。ロングプライドもレース時点の実績ではパーソナルラッシュを上回っており、年齢だけで大きく評価を下げる必要はないだろう。東海S15着のアルドラゴンは4番人気だったが、重賞は名古屋大賞典1勝のみ。同様に前走大敗のアドマイヤドンやスマートボーイと比べると見劣りは否めない。

前走が重賞以外のダート戦の組では、北海道の1700mで5番人気以内、5着以内を満たすのはタガノゲルニカ1頭のみ(本稿執筆時点では除外対象)。昨年の平安S1着という重賞実績もあり、出走できれば有力な候補だ。もう1頭、マイネルボウノットは大沼Sで7番人気だったが、佐賀記念を制するなど重賞3連対の実績があり大敗は不問。前走人気のみの減点1なら候補に挙げても良いだろう。
ほかに、北海道以外のオープン特別を上位人気で制してきたイブロン、オリンピアンナイト、ハスフェル、マコトスパルビエロあたりも気になるものの、この4頭は重賞実績がない点でも減点になる。イブロンとマコトスパルビエロの2連勝は一応「売り」とも考えられるが、この2頭ならば、重賞実績十分で前走が新潟という以外に減点のないドンクールの方が良さそうだ。

最後に前走が芝の組。フサイチパンドラはエリザベス女王杯優勝というG1実績を持っており、表5からは有力と思える1頭だ。ただし、レース間隔が中1週と詰まっているほか(表1)、牝馬の連対は過去10年でプリエミネンス(02年1着)1頭。ともに大幅に減点するようなデータではないが、そもそも「前走芝」というだけで連対例が少なく、中心にまでは推しづらい感がある。
もう1頭、この組ではアサカディフィートが芝で重賞勝ち+ダート重賞3着(06年名古屋大賞典)という実績馬。表5の項で挙げたキネティクスやウインドフィールズの例からすれば、3着候補としては残したい。

以上をまとめると、減点ゼロはメイショウトウコンとタガノゲルニカ(出走が叶った場合)。これに続くのがロングプライドで、以下フサイチパンドラ、マイネルボウノット、ドンクール、アサカディフィートあたりがデータからの推奨馬だ。

 

2007/5/20 中京11R 東海ステークス(G2)
1着2番 メイショウトウコン 2007/6/2 東京11R ユニコーンステークス(Jpn3)
1着6番 ロングプライド
2007/5/20 中京11R
東海ステークス(G2)
1着 2番 メイショウトウコン
2007/6/2 東京11R
ユニコーンステークス(Jpn3)
1着 6番 ロングプライド

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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