第122回 波乱続きのGTに終止符?オークスを分析する|競馬情報ならJRA-VAN

JRA公式データ配信サービス JRA-VAN

  • メール:office@jra-van.jp
  • 受付時間:10:00〜17:00
  • ※競馬開催のない土日祝・火曜を除く
  • ホーム
  • サイトマップ
  • JRA-VAN広場

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第122回 波乱続きのG1に終止符? オークスを分析する

2007/5/16(水)

今週はオークス。桜花賞2着のウオッカがダービーに向かい、桜花賞馬ダイワスカーレットが優位に立ったようにも思えるが、この春のG1(Jpn1)は皐月賞以降大波乱ばかり。果たして今週は人気馬が信頼できるのか、データから分析してみよう。

牝馬路線の中心を担ってきたウオッカがダービー参戦となれば、桜花賞馬ダイワスカーレットが断然優位とも思われるオークス。しかし今年は、ベッラレイアを中心に別路線組にも人気になりそうな馬が何頭かいる。例年は桜花賞組の活躍が目立つ一戦だが、新勢力の台頭はあるのか、そして桜花賞組の中でも逆転の可能性があるのか、データから分析してみよう。なお、分析にはJRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用している。

過去の好走馬について分析する前に、東京芝2400mの脚質成績について見てみたい。先々週のNHKマイルCではローレルゲレイロ以外の先行馬が失速し、差したピンクカメオ、ムラマサノヨートーが1、3着で大波乱。そして先週のヴィクトリアマイルは、カワカミプリンセスとスイープトウショウが後方で伸びを欠き、先行グループで決着してやはり波乱の結末だっただめだ。

 

■表1 東京芝2400mの脚質別成績(97年〜)
  オークス 準オープン以上
1着 2着 3着 着外 勝率 連対率 連占有 1着 2着 3着 着外 勝率 連対率 連占有
逃げ 1 0 0 10 9.1% 9.1% 5.0% 7 3 3 45 12.1% 17.2% 8.8%
先行 0 2 3 27 0.0% 6.3% 10.0% 11 21 20 151 5.4% 15.8% 28.3%
差し 7 8 3 69 8.0% 17.2% 75.0% 35 25 21 283 9.6% 16.5% 53.1%
後方 2 0 4 40 4.3% 4.3% 10.0% 5 6 11 197 2.3% 5.0% 9.7%
マクリ 0 0 0 0 - - - 0 0 0 1 0.0% 0.0% 0.0%

表1は、97年以降の約10年について、東京芝2400mの準オープン以上のレース、そしてオークスについて脚質別成績を調べたものである。コース改修後に限定するとサンプルが少ないため、10年分を参考として見てみたい。
目につくのは、オークスで特に差し馬の台頭が目立っていることだ。準オープン以上のレースの連対馬占有率でも差し馬が最上位だが、連対率で見ると逃げ、先行も互角。対してオークスは、差し馬の連対率がトップで、連対馬占有率はなんと75%。連対馬の4頭のうち3頭までが差し馬という結果である。

 

■表2 A→Cコース替わりで行われたオークス
馬番 馬名 通過順 上がり 時計/上がり
04年(稍重) 13 ダイワエルシエーロ 1 2-2-1-1 35.0 2.27.2 / 35.0
1 スイープトウショウ 2 9-12-11-10 34.2
6 ヤマニンアラバスタ 3 17-15-14-14 34.5
05年 4 シーザリオ 1 15-16-13-12 33.3 2.28.8 / 34.4
5 エアメサイア 2 9-8-7-6 33.8
9 ディアデラノビア 3 12-12-11-9 33.7
06年 9 カワカミプリンセス 1 8-7-5-5 35.5 2.26.2 / 36.2
2 フサイチパンドラ 2 5-7-8-7 35.4
10 アサヒライジング 3 2-2-2-2 36.3
※背景黄:メンバー中上がり1位、青:同2位、緑:同3位

もう少し細かくみてみよう。今年のオークスは先週のAコース(移動柵なし)からCコースに変更される。A→Cのコース替わりでオークスが行われたのは04年以降。稍重だった04年こそダイワエルシエーロが先行して粘りきったが、1〜3着馬の多くが中団以降から差して上位に食い込んでいる。このあたりは表1のデータ通りの印象である。
おもしろいのは、上がりの速かった04、05年はダイワエルシエーロをのぞき後方で進めた馬が上位を多く占めているのに対し、ペースが速くレースの上がりが36秒2かかった昨年は、同じ「差し」でもやや前寄りの馬での決着になっていることだ。3歳牝馬の2400m戦、あまりペースが速くなると、いくら後方に待機していても最後に差すほどの体力が残らない、ということだろうか。昔のように上がりが37秒前後になるようなら別だが、最近のオークスではスローペース=前残り、ハイペース=差しという一般的な考えは通用していない、と言える。逆にペースが落ち着けば、近年の他のレースでも多々見られるように、瞬発力に優れた差し馬が上位に食い込んでいる。
もちろん、実力が抜けていれば脚質の不利を克服するケースは多々見られるもの。また、レースは生き物である上、展開は各自の読みにも左右されるだけに、他のデータのように事前にきっちり推奨馬を確定できるわけではないが、2〜3頭で取捨に悩んだときの参考にはなるだろう。

 

■表3 オークス1〜3着馬の前走、前々走
馬名 オークス 前走 前々走
レース レース
97年 メジロドーベル 2 1 桜花賞 2 2 チューリップ 1 3
ナナヨーウイング 13 2 忘れな草 11 3 フラワー 7 9
ダイイチシガー 4 3 4歳牝特 3 2 忘れな草 3 2
98年 エリモエクセル 7 1 忘れな草 5 1 4歳牝特 10 6
エアデジャヴー 2 2 桜花賞 9 3 クイーン 4 2
ファレノプシス 1 3 桜花賞 3 1 チューリップ 1 4
99年 ウメノファイバー 7 1 桜花賞 8 6 クイーン 2 1
トゥザヴィクトリー 1 2 桜花賞 5 3 アネモネ 1 3
プリモディーネ 3 3 桜花賞 4 1 チューリップ 3 4
00年 シルクプリマドンナ 1 1 桜花賞 3 3 4歳牝特 2 2
チアズグレイス 5 2 桜花賞 6 1 チューリップ 1 10
オリーブクラウン 16 3 桜花賞 10 10 フラワー 6 2
01年 レディパステル 5 1 フローラ 1 2 ミモザ 2 1
ローズバド 4 2 フローラ 3 3 フィリーズR 6 1
テイエムオーシャン 1 3 桜花賞 1 1 チューリップ 1 1
02年 スマイルトゥモロー 4 1 桜花賞 4 6 フラワー 3 1
チャペルコンサート 12 2 桜花賞 5 7 チューリップ 3 3
ユウキャラット 2 3 忘れな草 2 1 ゆきやなぎ 5 1
03年 スティルインラブ 2 1 桜花賞 2 1 チューリップ 1 2
チューニー 13 2 桜花賞 9 12 クイーン 1 1
シンコールビー 9 3 フローラ 14 1 500万下 9 7
04年 ダイワエルシエーロ 6 1 桜花賞 5 7 クイーン 1 1
スイープトウショウ 4 2 桜花賞 2 5 チューリップ 1 1
ヤマニンアラバスタ 7 3 桜花賞 14 9 フラワー 3 2
05年 シーザリオ 1 1 桜花賞 1 2 フラワー 1 1
エアメサイア 2 2 桜花賞 3 4 フィリーズR 3 3
ディアデラノビア 3 3 フローラ 2 1 フィリーズR 2 4
06年 カワカミプリンセス 3 1 スイートピー 1 1 君子蘭 6 1
フサイチパンドラ 5 2 桜花賞 2 14 フラワー 1 2
アサヒライジング 7 3 桜花賞 9 4 アネモネ 1 1

では、過去10年の傾向を見てみよう。表3の前走欄は、背景黄色が桜花賞組、青がそれ以外の組となっており、圧倒的に黄色、つまり桜花賞組が優勢であることがわかる(3着以内21頭、連対馬15頭)。
この桜花賞組で特徴的なのは、前々走でも好走していた馬が大半を占めることだ。前々走4着以下からオークスで3着以内に入ったのは、ファレノプシス、プリモディーネ、チアズグレイスの3頭のみ(背景緑)。いずれも桜花賞馬ながら3、3、2着と、この3頭も「好走した」というより「勝てなかった」という印象もある。今年の桜花賞馬ダイワスカーレットは前々走のチューリップ賞2着で、他の馬も含め桜花賞組は前々走3着以内が好走条件だ
なお、桜花賞での着順は問われない。ただし、昨年の第71回で小田原氏が指摘している通り、「桜花賞3着以内、または5番人気以内」の条件に合致しない馬なら、前々走がクイーンCかフラワーC連対が好走条件だった。昨年3着のアサヒライジングがこれを崩したが、この馬は前々走アネモネS勝ち。「1600m以上のオープン勝ちか重賞連対」と読み替えればいいだろう。

一方の別路線組は3着以内9頭、連対馬5頭。この別路線組は前々走の成績不問で、コースや距離が(桜花賞に比べ)オークスに近い前走で好走していれば問題ない。具体的には、前走でオークス出走を確定させていることがポイントで、トライアルで権利を獲るか、忘れな草賞(オープン)勝ちで出走に十分な賞金を加算していた馬が9頭中8頭を占めている。

また、以前は好走も多々見られた桜花賞後に一走(主に4歳牝馬特別=現フローラS)した馬は、ここ10年では連対どころか3着以内にすら1頭も食い込んでいない。フローラSが桜花賞から中1週になった影響もあるが、こういったタイプは苦しい。

 

【結論】

桜花賞組なら前々走3着以内。さらに、桜花賞3着以内か5番人気以内をクリアしない馬なら、前々走は1600m以上のオープン勝ちか重賞連対、と条件が厳しくなる。別路線組なら、トライアルで出走権を獲得した馬か、オープン(忘れな草賞)勝ち馬。条件戦に出走していた馬や、桜花賞後に一走挟んでいる馬は好走例がない。

では、今年の登録馬をみてみよう。まず、最多連対の桜花賞から直行になるのはアマノチェリーラン、カタマチボタン、ダイワスカーレット、ベリーベリナイス、ローブデコルテの5頭。このうち、ベリーベリナイスとローブデコルテは前々走6、5着が減点材料。ローブデコルテは福永騎手がここ3年1、1、2着という面では注目できるが、ダイワスカーレットやカタマチボタンと同等までには評価できない。また、人気薄で大敗を喫したアマノチェリーランも、前々走2着ながら1400mという点が引っかかる。

別路線組では、忘れな草賞勝ちのザレマ、トライアルで権利を獲ったベッラレイア、ミンティーエアー、ラブカーナの4頭だが、ミンティーエアーとラブカーナは10年で1頭(エアデジャヴー)しか連対例のない1勝馬である。また、重賞経験のない連対馬は3戦全勝だった昨年のカワカミプリンセスのみ。この点でもラブカーナは割引になるほか、ザレマもこれに当てはまる。

以上から、今年のオークスは桜花賞組ならダイワスカーレットとカタマチボタン、別路線ならベッラレイアが注目馬。これに続くのがザレマやローブデコルテ、一発があればアマノチェリーラン。差し馬優勢のデータを重視すればミンティーエアーあたりだろうか。いずれにしても、最初の3頭は他の細かなデータを調べても大きな減点材料がなく、以降の各馬とは少々差のある印象だ。波乱が続くこの春の大レースだが、過去の傾向からはさすがに3頭揃って連を外すような事態は考えづらい。
とはいえ、オークスが上位人気同士で決着したのは過去10年で一昨年のみ。桜花賞の上位2頭は、どういった戦法に出るかもカギになってくる。このあたりが気にならなければ、減点のない3頭の組み合わせ。好配当狙いなら超大穴ではなく、3頭のどれかを軸にした上で減点の少ない馬を絡めた馬券作戦に妙味がありそうだ。

 

2007/4/8 阪神11R桜花賞(G1)1着18番ダイワスカーレット 2007/4/22 東京11Rサンスポ賞フローラスS(G2)1着 2番ベッラレイア
2007/4/8 阪神11R
桜花賞(G1)
1着 18番 ダイワスカーレット
2007/4/22 東京11R
サンスポ賞フローラスS(G2)
1着 2番 ベッラレイア

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)

ページトップへ戻る

競馬予想のJRA-VAN