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第102回 有馬記念でディープを破る馬は現れるか?

2006/12/21(木)

今週は暮れの大一番・有馬記念。ここが引退レースとなるディープインパクトが断然の一番人気に推されそうだ。この馬が昨年2着の雪辱を果たし有終の美を飾るのか、それともライバルの逆襲があるのか、データから分析してみよう。

今年の中央競馬もいよいよ大詰め。今週は中山競馬場で大一番・有馬記念が行われる。ファンの注目を集めるのは、ここが引退レースとなるディープインパクト。帰国初戦のジャパンCを快勝し、有終の美を飾るべく駒を進めてきた。しかしこのレースでは昨年、ハーツクライの意表を突く先行策の前に2着敗退。この内容などから中山不安説も囁かれるが、果たしてライバルに逆転の目があるのかどうか、データから分析したい。データの分析には、JRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。

まずは、第50回の小田原氏作成データを参考にして、有力馬をある程度まで絞り込みたい。ここでは、昨年のデータを加えた上で多少改変して簡単に紹介するが、詳しくはこのページ下の「これまでのテーマ」から、第50回「史上初の無敗の4冠馬誕生は目前!?」をご覧頂きたい。

有馬記念の連対馬(過去10年)
1.同年の宝塚記念、天皇賞(秋)、ジャパンC、菊花賞の連対馬
→13頭
2.同年の天皇賞(秋)、ジャパンCのいずれか一方にのみ出走し5着以内
→サクラローレル、96年マーベラスサンデー、シルクジャスティス、メジロブライト
3.同年の天皇賞(秋)、ジャパンCのいずれか一方にのみ出走、または両レース不出走で、同年の中山芝2200m以上の重賞連対か、前年も含めた中山のG1優勝
→グラスワンダー、アメリカンボス、タップダンスシチー

やや目の粗いふるいだが、これで過去10年の連対馬20頭はすべてカバーされる今年は「1」がディープインパクト、ダイワメジャー、スウィフトカレント、ドリームパスポート。「2」がアドマイヤムーン、スイープトウショウ。「3」がトーセンシャナオー、メイショウサムソン(重複除く)で、計8頭になる。オーストラリア帰りのデルタブルース、ポップロックはこの括りで扱うべきか微妙なので、この2頭を加えた計10頭について探ってみたい。

最初はやはりディープインパクトから。ディープインパクトほどの馬になると一般的なデータではまず「消し」にはならず、実際に有馬記念の過去の傾向に当てはめてもその通りなのだが、ここでは少々厳しめにいくつかのデータを見てみよう。

 

■表1 ディープインパクトの上がり3ハロンタイム(国内重賞)
レース
上がり3ハロン
2着(1着)との
タイム差
ディープ
3F2位
3F3位
2位との差
中山 皐月賞
34.0
34.2
34.3
-0.2
-0.4
京都 天皇賞(春)
33.5
33.7
34.1
-0.2
-0.6
中山 有馬記念
34.6
34.9
34.9
-0.3
+0.1
東京 ジャパンC
33.5
33.9
34.1
-0.4
-0.3
中山 弥生賞
34.1
34.6
34.6
-0.5
-0.0
阪神 神戸新聞杯
34.1
34.8
34.8
-0.7
-0.4
阪神 宝塚記念
34.9
35.7
35.8
-0.8
-0.7
京都 菊花賞
33.3
34.2
34.8
-0.9
-0.3
東京 ダービー
33.4
34.4
34.5
-1.0
-0.8
阪神 阪神大賞典
36.8
38.1
38.2
-1.3
-0.6
※上がり3ハロン2位馬との差の順

ディープインパクトの持ち味といえば、切れ味鋭い末脚。国内の出走レースではすべて、メンバー中トップの上がり3ハロンタイムを記録している。しかし中山では、この末脚だけではライバルを大きく突き放せていない、というのが表1。3ハロンタイム2位の馬との差は最大でも0.5秒。他の競馬場に比べると見劣りは否めず、その結果として弥生賞でアドマイヤジャパンの抵抗に遭い、有馬記念ではハーツクライの前残りを許している。3戦2勝、2着1回で連対率100%なのだから大きく割り引く必要はないが、ディープインパクトは中山が少しばかり苦手という傾向が出ているのは確かだ。

 

■表2 有馬記念2回以上出走馬の年齢別着順(過去10年、連対馬)
馬名
3歳
4歳
5歳
6歳
7歳
8歳
マーベラスサンデー
2
2
シルクジャスティス
1
7
グラスワンダー
1
1
メジロブライト
2
5
テイエムオペラオー
3
1
5
メイショウドトウ
2
4
アメリカンボス
6
2
13
シンボリクリスエス
1
1
タップダンスシチー
2
8
2
12
リンカーン
2
3
ゼンノロブロイ
3
1
8
ハーツクライ
9
1
※背景黄色は、その馬の最高着順

第94回の天皇賞(秋)で「前年に馬券圏内だった馬は翌年に着順を下げる」というデータを紹介したように、レースによっては前年実績がまったくアテにならないこともある。そこで有馬記念2回以上出走馬のうち、連対経験のある馬をピックアップしたのが表2である。結果は天皇賞(秋)とは異なり、前年好走からさらに着順を上げる馬や、連続連対馬も多く見られる。特に4歳時に好成績を残す馬が多く、これは逆にディープインパクトを後押しするデータとなった。一方で、有馬記念挑戦3回目以降に初連対を果たした馬はおらず、冒頭のデータでも消えているコスモバルクや、デルタブルースに「3度目の正直」を期待するのは厳しい

 

■表3 武豊騎手のG1成績(96年〜、芝2000m以上)
レース
騎乗
1着
2着
3着
着外
勝率
連対率
平均人気
ダービー
11
4
2
0
5
36.4%
54.5%
2.2
エリザベス女王杯
9
4
0
0
5
44.4%
44.4%
3.1
菊花賞
11
3
1
1
6
27.3%
36.4%
1.8
秋華賞
9
3
1
0
5
33.3%
44.4%
2.6
天皇賞(春)
9
2
2
2
3
22.2%
44.4%
3.3
宝塚記念
9
2
1
2
4
22.2%
33.3%
3.6
ジャパンC
9
2
1
0
6
22.2%
33.3%
4.1
天皇賞(秋)
11
2
0
2
7
18.2%
18.2%
3.8
皐月賞
8
2
0
1
5
25.0%
25.0%
1.8
オークス
9
1
2
2
4
11.1%
33.3%
2.0
有馬記念
10
0
5
1
4
0.0%
50.0%
3.1

表3は、ディープインパクトに騎乗予定の武豊騎手のG1成績を調べたもので、過去10年の有馬記念はなんと未勝利。優勝は90年、オグリキャップの「奇跡の復活」まで遡らねばならず、翌年に14番人気ダイユウサクの激走(騎乗馬メジロマックイーン・2着)に遭ってからというもの、勝ち運に見放され続けている。昨年2着の悪夢もあるだけに気になるデータだ。もっとも、近年の有馬記念は連対騎手がバラけており、他ではペリエ騎手(ポップロック騎乗予定)の【3.0.1.2】が目立つ程度。武豊騎手自身も勝率はともかく連対率50%は優秀で、「1着がない」ではなく「上位争いには高確率で加わる」という見方もできる。

以上、ディープインパクトについて「あら探し」的なデータを見てきたが、「負ける可能性もゼロではない」と思わせる表1、表3のデータだった。少なくとも、第68回の天皇賞(春)の結論で「あら探しをしようとしても、その『あら』すら見つけ難い」としたのに比べれば、他馬のつけ入る隙もあるというもの。冒頭に挙げた有力馬の中で、ほかに減点のない馬がいれば逆転のチャンスあり、と考えられる。そこで、続いてはこれらの馬について気になるデータを見ていきたい。

 

■表4 G1勝ちのない有馬記念連対馬(過去10年)
馬名
性齢
人気
前走
G1成績
レース
1着馬
97
シルクジャスティス 牡3
4
ジャパンC
4
5
【0.1.0.2】ダービー2着
05
ハーツクライ 牡4
4
ジャパンC
2
2
【0.3.0.6】ジャパンC2着他
2着馬
96
マーベラスサンデー 牡4
3
天皇賞(秋)
2
4
【0.0.0.1】
00
メイショウドトウ 牡4
2
ジャパンC
5
2
【0.3.0.0】ジャパンC2着他
01
アメリカンボス 牡6
13
ジャパンC
14
10
【0.0.0.4】
02
タップダンスシチー 牡5
13
京阪杯
6
5
【0.0.0.0】
03
リンカーン 牡3
4
菊花賞
4
2
【0.1.0.1】菊花賞2着

対抗格と目されるドリームパスポートで気になるのは、G1勝ちのないことだ。そこで過去10年を調べると、このタイプの連対は計7頭だが1着は2頭止まり。2頭に共通するのは、ジャパンCで好走していたこと、そしてG1連対経験があったことだ。年齢も併せれば、G1未勝利馬が1着を獲るには、3歳馬ならG1で1連対以上、4歳馬なら3連対以上。5歳以上でG1勝ちがないようでは2着が精一杯、と考えられる。冒頭に挙げた馬ではポップロック、スウィフトカレント、トーセンシャナオーが1着候補からは脱落。アドマイヤムーンは前走がジャパンCではなく、香港C(国際G1)という点をどう考えるか。ドリームパスポートはG1・2着3回、そして前走ジャパンC2着という点が昨年のハーツクライと同じで、問題なく1着候補として挙げられる。なお、前記各馬も2着の可能性は残される。

 

■表5 芝2400m以上の重賞勝ちかG1連対のない有馬記念連対馬(過去10年)
馬名
人気
着順
中山実績
98 グラスワンダー
4
1
前年・朝日杯3歳S1着
01 アメリカンボス
13
2
同年・アメリカJCC1着
02 タップダンスシチー
13
2
同年・日経賞2着

次に距離実績について。過去10年の有馬記念連対馬20頭中17頭には、芝2400m以上で重賞勝ちかG1連対があった。今年も何頭かが引っかかるが、例外になるのが表5の中山実績馬である。中山でG1勝ちがあれば「1着」、芝2200m以上の重賞で連対があれば「2着」の可能性がある。表4で微妙だったアドマイヤムーンは、中山のG1未勝利でG2の弥生賞勝ち。このデータも併せると、今回は2着候補止まりになる。ほかに、スウィフトカレントも減点が必要だ。一方、中山で皐月賞勝ちのあるダイワメジャーは、距離適性の差をコース適性でカバーできる可能性がある。

 

■表6 有馬記念で連対した3歳馬(過去10年)
馬名
有馬記念
前走
前々走
その他実績
人気
着順
レース
人気
着順
レース
人気
着順
97 シルクジャスティス
4
1
ジャパンC
4
5
菊花賞
1
5
京都大賞典1着、ダービー2着
98 グラスワンダー
4
1
ア共和国杯
1
6
毎日王冠
2
5
朝日杯3歳S1着
99 マンハッタンカフェ
3
1
菊花賞
6
1
セントライト
3
4
 
02 シンボリクリスエス
2
1
ジャパンC
1
3
天皇賞(秋)
3
1
神戸新聞杯1着、ダービー2着
03 リンカーン
4
2
菊花賞
4
2
神戸新聞杯
5
4
 
05 ディープインパクト
1
2
菊花賞
1
1
神戸新聞杯
1
1
ダービー1着、皐月賞1着

今度は、3歳馬の成績についてみていきたい。菊花賞や天皇賞などで連対した馬に「権利」があるのは冒頭で触れた通りで、ドリームパスポートは楽にクリアする。問題はメイショウサムソン。菊花賞などの連対馬以外の2頭から、まずグラスワンダーで目につくのは中山での朝日杯勝ち。これは、皐月賞馬メイショウサムソンなら同等以上とみられる。ただ、シルクジャスティスには古馬相手の「京都大賞典1着」がある。春の実績では明らかにメイショウサムソンが上だが、古馬相手は前走・ジャパンCの6着だけである。そもそも有馬記念連対馬で前走6着以下だったのは10年で3頭しかいないというデータも併せ、メイショウサムソンはやや割引と考えたい。


■表7 天皇賞(秋)出走後、ジャパンCに出走しなかった有馬記念好走馬(過去10年)
馬名
天皇賞(秋)
有馬記念
ステップ
人気
着順
人気
着順
96 サクラローレル 1 3 1 1 直行
マーベラスサンデー 2 4 3 2 直行
98 メジロブライト 2 5 3 2 直行
04 シルクフェイマス 5 10 9 3 直行

最後に表7。これは天皇賞(秋)出走後、ジャパンCに出走しなかった有馬記念の連対馬で、一見してわかる通り有馬記念に直行することが条件になる。よって天皇賞後、ジャパンC以外に出走したダイワメジャー、アドマイヤムーン、そしてスイープトウショウは割引。特にスイープトウショウは、過去10年、牝馬の連対がないというデータからも減点が必要だ。

 

【結論】

ディープインパクトが最有力なのは間違いないが、1着で「鉄板」とまでは言い難いデータ。もし中山で末脚が鈍るようなら、大きな減点材料のないドリームパスポートに逆転のチャンスがある。その他の馬は不安なデータをいくつか抱えており、2着候補までとしたい。

ここまで、冒頭で取り上げた馬について個々に不安材料を挙げてきたが、以下に減点材料をまとめておきたい。これらの馬を吟味して、上記2頭以外の2着候補をみつけるといいだろう。なお、過去10年の連対馬20頭中18頭は4番人気以内。荒れる印象も強いレースだが、近年の傾向からは、本命サイドを中心に穴を少々加える、という程度に留めるのが現実的だ。

・アドマイヤムーン…表4、表5、表7
・スイープトウショウ…表7(+牝馬)
・スウィフトカレント…表4、表5(+前走6着以下)
・ダイワメジャー…表7
・トーセンシャナオー…表4、表6(+前走6着以下)
・デルタブルース…表2(+冒頭の条件を海外遠征で例外扱い)
・ポップロック…表4(+冒頭の条件を海外遠征で例外扱い)
・メイショウサムソン…表6(+前走6着以下)

 

2006/11/26 東京10R ジャパンカップ(G1) 1着 6番 ディープインパクト 2006/9/24 中京11R 神戸新聞杯(G2)  1着 13番 ドリームパスポート
2006/11/26 東京10R
ジャパンカップ(G1)
1着 6番 ディープインパクト
2006/9/24 中京11R
神戸新聞杯(G2)   
1着 13番 ドリームパスポート

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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