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第81回 重ハンデ馬は本当に「買い」でいいの?

2006/7/27(木)

今週の小倉記念には、このレース3連覇とサマー2000シリーズの頂点を狙うメイショウカイドウが59.5キロで出走予定。第43回「ハンデ重賞の狙い方」以降、何度か「重ハンデ馬は買い」としてきたが、さすがに59.5キロともなると心配になってくる。果たしてこの斤量でも「買い」でいいのか、データから分析してみよう。

今週は小倉記念。サマー2000シリーズの開幕戦、七夕賞を59キロで制したメイショウカイドウがシリーズの頂点を目指して出走予定だ。小倉は14戦8勝とコース適性は文句なし。しかもこのレース2連覇中とあって、かなり人気を集めることになるだろう。ただ、今回は酷量とも言える59.5キロ。第43回「ハンデ重賞の狙い方」以降、何度も「ハンデ重賞は重ハンデ馬が狙い」としてきたが、59.5キロともなると最近は出走例すら少ないだけに気にかかる。また、同じく上位人気が予想されるコンゴウリキシオーも57.5キロと、こちらもかなりの斤量だ。そこで今回は、主に重ハンデに絞っていくつかのデータを探ってみたい。データの分析には、JRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。

まず、今回のメイショウカイドウの59.5キロについて。前走、七夕賞を59キロで快勝したことから、1キロ増の60キロになると思っていた、という声もちらほらと耳にする。相手関係にもよるとはいえ、前走でクラスやグレードが同じレースを勝っていたら、次走は1キロや2キロは増量されることが確かに多い。この例からすれば、少なくとも0.5キロくらいは「得」をしたように思う人がいるのも当然だ。

 

■表1 ハンデ重賞優勝馬の次走のハンデ(芝、05〜06年)
馬名 優勝レース 次走
ウイングレット 中山牝馬S 55 愛知杯 56.5 1.5
ダイワレイダース 七夕賞 56 新潟記念 57 1
マイネルモルゲン 京成杯AH 57 シリウスS 57.5 0.5
メジロマントル 鳴尾記念 54 中山金杯 56 2
ビッグプラネット 京都金杯 54 小倉大賞典 56 2
メイショウカイドウ 七夕賞 59 小倉記念 59.5 0.5

そこで、ハンデ重賞を制した次走も同クラスのハンデ戦に出走した例を調べたものが表1である。一番右の「差」のところを見ると、増量は0.5キロから2キロまでと様々だ。ただ、斤量そのものに注目すると、54キロで勝ったメジロマントルとビッグプラネットは2キロ増で、56キロで勝ったダイワレイダースは1キロ増。そして前回、59キロで七夕賞を制したメイショウカイドウは0.5キロ増と、軽量で勝った馬ほど斤量増が多く、重い斤量で勝った馬はあまり増量されない、というのが最近の傾向だ。

 

■表2 ハンデ重賞の斤量範囲別データ(芝、牡・セン馬のみ)
斤量 86〜95年 96年〜
出走 1着 2着 連対率 連占有 出占有 出走 1着 2着 連対率 連占有 出占有
〜49 69 1 2 4.3% 0.8% 2.9% 46 0 1 2.2% 0.3% 1.8%
49.5〜51 288 9 16 8.7% 6.5% 12.0% 222 4 9 5.9% 3.5% 8.5%
51.5〜53 626 32 51 13.3% 21.6% 26.2% 611 29 33 10.1% 16.7% 23.4%
53.5〜55 767 70 69 18.1% 36.1% 32.1% 922 69 68 14.9% 36.9% 35.4%
55.5〜57 450 40 40 17.8% 20.8% 18.8% 611 56 54 18.0% 29.6% 23.4%
57.5〜59 171 30 18 28.1% 12.5% 7.1% 194 31 16 24.2% 12.7% 7.4%
59.5〜 22 3 4 31.8% 1.8% 0.9% 2 1 0 50.0% 0.3% 0.1%
※連占有=連対馬占有率(全連対馬に占める当該斤量連対馬の割合)
※出占有=出走馬占有率(全出走馬に占める当該斤量出走馬の割合)

そしてもうひとつ。最近は実績馬にあまり重い斤量を背負わせない傾向にもある。03年の小倉記念に登録(回避)したエイシンプレストンが海外G1を3勝もしながら59.5キロ止まりだったのは記憶に新しい。表2にある通り、以前は59.5キロ以上を背負わされる馬も数多くいたが、最近はめっきりと減っており、96年以降ではわずか2頭しか出走していない。もちろん斤量を嫌って回避する馬もいるが、ハンデ発表の時点から酷量を課さない傾向が強まっているのは間違いない。
そうなると、実績馬が圧倒的に有利になるように思われる。以前なら60キロを背負わされていたような実績馬が、最近なら59キロや58キロになるとなれば、以前よりも重ハンデ馬有利の傾向が強まると考えるのが普通だ。ところが、最も恩恵を受けていそうな57.5〜59キロの連対率を見ると、95年以前よりも96年以降の方がかえって低くなっているのだ。全体的に連対率が下降傾向にあるのは、以前よりも出走頭数が増えているため。ただ、55.5キロ〜57キロの連対率がほぼ横ばいなのに比べれば明らかに57.5〜59キロは見劣っている。どうしてもトップハンデ馬や重ハンデ馬ばかりに目が行ってしまうが、それ以下の部分もうまく調整することである程度バランスは取られているようだ。
今回の登録馬を見ても、前走で敗れたヴィータローザやタガノマイバッハあたりは減量され、七夕賞2着のコンゴウリキシオーは据え置きと、トップハンデを抑えた分だけそれ以下の各馬もそれに応じた斤量になっている印象が強い。メイショウカイドウの59.5キロも、表1や表2、そして他馬との比較から妥当だと言えるだろう。
影響を受けているのは53キロ以下の軽量馬で、以前に比べかなり成績が落ち込んでいる。ただ、軽量馬は出走数自体も減少傾向にあり、ハンデ重賞は以前に比べ上下の斤量差が少なくなり、実力重視の方向へ向かっているようだ。もっともこれは10年単位での比較なので、以前の印象が強いベテランファン以外はあまり気にする必要はない。

さて、ここで少々話は変わるが、以前ハンデ戦について触れた際に、58.5や59.5のように「.5」がつくと成績は良くないと記憶している、といった情報を下の感想欄から送っていただいた。今回はメイショウカイドウが59.5キロ、ヴィータローザとコンゴウリキシオーが57.5キロと「.5」の馬が多く出走している。そこでこの情報についても検証してみた。

 

■表3 ハンデ戦の斤量別成績(96年以降平地全レース、55キロ以上)
斤量 出走 1着 2着 3着 勝率 連対率 複勝率
55 4680 440 408 401 9.4% 18.1% 26.7%
55.5 73 8 17 8 11.0% 34.2% 45.2%
56 3087 347 312 255 11.2% 21.3% 29.6%
56.5 277 45 34 28 16.2% 28.5% 38.6%
57 1516 189 183 145 12.5% 24.5% 34.1%
57.5 498 92 77 60 18.5% 33.9% 46.0%
58 367 76 57 46 20.7% 36.2% 48.8%
58.5 65 15 4 4 23.1% 29.2% 35.4%
59 27 6 1 4 22.2% 25.9% 40.7%
59.5 5 1 0 0 20.0% 20.0% 20.0%

色分けは成績の善し悪しではなく、見やすいように「.5」の有無で行っているので注意して欲しい。まず、55.5キロや56.5キロは、前後の斤量に比べかえって成績が良いくらいである。その上の57.5キロは57キロと58キロの中間で、「重ハンデ馬が好成績」という傾向通り。58.5キロ以上はサンプル数が少ないので判断が難しいが、数字をそのまま信用すれば、ここまで重くなると成績は下降していく傾向にあると言える。ただ、それでも55キロ以下よりは好成績なのは間違いなく、全体としては「重ハンデ馬が好成績」という認識で間違いはない。確かに「.5」というと「微妙に調整された」感もあるが、「0.5重い」と思われる馬もいれば、逆に軽いと思われる馬もいるものだ。そういった印象をデータから分析するのは難しい上、データ上も特に不利というわけではないので、特に「.5」に注目して予想を展開する必要性は薄そうだ。もっとも、表3はあくまで「96年以降平地全レース」という切り口で分析したものであり、他の切り口ではもしかしたら「.5」は不利、というデータが出る可能性もある。Target frontier JVを利用できる方は、皆さん自身でも分析してみていただきたい。

 

■ハンデ59.5キロ以上の芝重賞出走馬(86〜91年は連対馬のみ表記)
レース 馬名 斤量 着順 芝重賞克服斤量
02 シルクロードS トロットスター 59.5 6 シルクロードS 58 1
99 日経新春杯 メジロブライト 59.5 1 京都大賞典 59 2
94 アルゼンチン共和国杯 ムッシュシェクル 60 11 阪神大賞典 58 1
94 小倉大賞典 ワイドバトル 59.5 16 京阪杯 57 2
94 日経新春杯 メジロパーマー 60.5 2 阪神大賞典 59 1
93 新潟大賞典 カリブソング 60 7 目黒記念 60.5 1
93 京都記念 オースミロッチ 59.5 12 京都大賞典 58 1
93 金杯・東 カリブソング 59.5 2 目黒記念 60.5 1
92 愛知杯 カリブソング 59.5 2 目黒記念 60.5 1
92 福島記念 ホワイトストーン 59.5 9 大阪杯 57 1
92 函館記念 ラッキーゲラン 59.5 5 中京記念 59 2
92 目黒記念 カリブソング 60.5 3 目黒記念 60.5 1
91 目黒記念 カリブソング 60.5 1 金杯・東 59 1
90 京都記念 ハツシバエース 59.5 2 鳴尾記念 59 2
90 ダイヤモンドS スルーオダイナ 61 1 ステイヤーズS 59 1
88 京阪杯 トウショウレオ 59.5 1 小倉大賞典 58 1


表3のデータを調べる過程で、サンプルこそ少ないものの、58.5キロ以上は信頼性が下がる可能性があることが判明した。ここで気になるのは、やはりメイショウカイドウの59.5キロである。そこで、JRA-VAN Data Lab.にデータのある86年以降について、59.5キロ以上の出走馬を調べたのが表4だ。59.5キロ以上で連対した8頭中7頭に共通するのは、59キロ以上を背負った重賞で連対実績があったこと。単に「59キロ」を克服するだけではなく、「重賞」で59キロ、という点が鍵になる。「実績があれば必ず好走する」とまでは言えないが、59キロでの七夕賞制覇で連対条件はクリアしたと考えていいだろう。

 

2005 小倉記念  優勝馬 メイショウカイドウ

 

【結論】

近年は実績馬に酷量をあまり課さない傾向にあり、メイショウカイドウの59.5キロは妥当。59キロの七夕賞制覇で、0.5キロ増量を苦にせず小倉記念3連覇を果たす可能性も十分にある。また、「.5」を科せられた馬が不利との見方もあるが、今回調べた限りではそういった傾向は見られなかった。

■表5 小倉記念の1〜3着馬(過去5年)

馬名 斤量 人気 着順 前走
レース 人気 着順
01 ロサード 57 2 1 7月15日 北九州記念 1 2
02 アラタマインディ 52 5 1 7月27日 1000万特別 3 1
03 ロサード 57 4 1 5月18日 新潟大賞典 4 16
04 メイショウカイドウ 56.5 1 1 7月18日 北九州記念 3 2
05 メイショウカイドウ 58.5 1 1 7月17日 北九州記念 1 1
01 トウカイオーザ 52 3 2 7月14日 1000万特別 1 1
02 イブキガバメント 57 6 2 4月20日 OP特別 4 11
03 サンライズシャーク 54 1 2 7月19日 1000万特別 1 1
04 メイショウバトラー 54 2 2 7月18日 北九州記念 8 3
05 ワンモアチャッター 54 2 2 6月11日 1000万特別 2 1
01 マヤノアブソルート 52 3 3 6月30日 1600万特別 4 1
02 マヤノアブソルート 53 8 3 7月28日 1600万特別 1 2
03 グリーンブリッツ 53 9 3 8月3日 関屋記念 13 6
04 オースミステイヤー 54 3 3 7月25日 OP特別 2 3
05 ツルマルヨカニセ 56 5 3 7月17日 北九州記念 5 2

さて、最後に過去5年の小倉記念の傾向も見ておこう。北九州記念の条件変更と本レースの施行時期繰り上げで、昨年までとは傾向が異なる可能性があることをまず頭に置いておきたい。
表5にある通り、1〜3着馬の15頭中12頭に共通するのは、前走が条件戦なら連対、オープン特別や重賞なら3着以内だったあることで、残る3頭中2頭は休養明けだった。「夏は格より調子」という格言もある通り、ひと言でまとめれば近走好調馬重視。前走凡走馬なら、間隔を空けて立て直した馬、ということになる。
今年の登録馬では、前走条件戦連対馬は皆無。重賞好走組からはコンゴウリキシオー、サイレントディール、サンレイジャスパー、スウィフトカレント、そしてメイショウカイドウが候補となる。さらに、前走大敗から間隔を空けたヴィータローザも圏内だ。
この中では、前走がダートのサイレントディールは少々割引(過去5年で3着1回)。また、「ハンデ戦は重ハンデ馬」の傾向や、過去5年の勝ち馬5頭中4頭が56.5キロ以上だったことから、1着候補はメイショウカイドウ、ヴィータローザ、コンゴウリキシオーあたりが有力になる。同一重賞3連覇は過去わずか2頭で、近年ではタップダンスシチー(金鯱賞)しかいない、というデータが気になればヴィータローザかコンゴウリキシオー。そういったデータや59.5キロも気にならない人ならメイショウカイドウでどうだろうか。
なお、表5にある通り、2、3着馬は54キロ以下も多く絡んでいるのがこのレースの特徴でもある。軸を1頭決めたら相手筆頭は重ハンデ馬ではなく、51キロのサンレイジャスパーや、「前走4着」を大目に見て54キロのサザンツイスターあたりを選ぶ手もありそうだ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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