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第68回 天皇賞のディープインパクトは「鉄板」か!?

2006/4/26(水)

今年の天皇賞はディープインパクトが断然人気に推されそうで、まずこの馬の取捨がポイントになる。果たしてディープで「鉄板」なのか、それとも穴馬が台頭するのか。そしてディープが有力だったとしても、「ヒモ荒れ」の可能性はあるのかどうか、データから分析してみよう。

有馬記念ではハーツクライの前に苦杯をなめたディープインパクトだったが、今年初戦の阪神大賞典は見事なまでの圧勝劇。天皇賞はそのハーツクライが不在なほか、インティライミやアドマイヤジャパン、シックスセンス(引退)といった同世代のクラシック上位馬も顔を見せず「1強」ムードとなった。もちろん、データ分析のポイントはディープインパクトの取捨。今回は、この馬を中心に今年の天皇賞(春)を探ってみたい。データの調査はJRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。

まず、過去10年の傾向を探ってみると、ディープインパクトを消すような材料はまったくと言っていいほど見当たらない。細かなデータは省略するが、なにせ9戦8勝のほぼパーフェクト。しかも前年の菊花賞馬で、最重要前哨戦の阪神大賞典を圧勝したとなれば、そう簡単に「消し」材料が見つかるはずもない。ただ、今回も恐らく単勝は1倍台前半、3連単もほとんどこの馬のアタマで売れるだろう。他の馬を1着にした3連単ならかなりの配当がつくはずで、もしディープに僅かでも不安材料があれば少額で超大穴を手広く買ってみる手もある。そこで、少々あら探し的にはなるが、いくつかのデータを探ってみた。

 

■表1 天皇賞(春)1番人気馬の成績(86年以降)
馬名
着順
3000m以上
GI優勝
前走
優勝
連対
87
ミホシンザン
1
日経賞・1着
88
タマモクロス
1
阪神大賞典・1着
90
スーパークリーク
1
大阪杯・1着
91
メジロマックイーン
1
阪神大賞典・1着
94
ビワハヤヒデ
1
京都記念・1着
99
スペシャルウィーク
1
阪神大賞典・1着
00
テイエムオペラオー
1
阪神大賞典・1着
01
テイエムオペラオー
1
大阪杯・4着
93
メジロマックイーン
2
大阪杯・1着
96
ナリタブライアン
2
阪神大賞典・1着
97
サクラローレル
2
有馬記念・1着
89
スルーオダイナ
3
阪神大賞典・2失
02
ナリタトップロード
3
阪神大賞典・1着
03
ダイタクバートラム
3
阪神大賞典・1着
98
シルクジャスティス
4
×
阪神大賞典・2着
92
トウカイテイオー
5
大阪杯・1着
95
エアダブリン
5
×
ダイヤモンドS・1着
05
リンカーン
6
×
阪神大賞典・3着
86
スダホーク
7
×
×
大阪杯・2着
04
リンカーン
13
×
阪神大賞典・1着
※GI優勝の◎は前年秋以降、○は過去1年以内、△は全キャリア

近年の天皇賞で気になるのは、02年のナリタトップロード以降1番人気が4連敗中で、連にすら絡めていないことだ。表1は、Target frontier JVで調査可能な86年以降の1番人気馬を、距離実績とG1実績を視点に調べたもので、着順別に並べてみた。表の下部、つまり着外に敗れた馬の多くには、G1優勝実績がなかったことがわかるほか、3000m以上の距離実績がなかった馬も不振である。逆に、3000m以上での優勝実績と、G1優勝実績の双方を持つ馬は人気に応える年が多く、特に距離実績と前年秋以降のG1勝ちを併せ持つ1番人気馬は、5戦4勝2着1回の好成績。2着に敗れたサクラローレルは有馬記念以来の休養明けで、年明け1戦以上の馬に限れば4戦全勝のパーフェクト。菊花賞を制し、「距離実績と前年秋以降のG1勝ち」をまとめてクリアしたディープインパクトは、このデータからは消すどころか、逆に優勝が濃厚という結論になる。

 

■表2 天皇賞(春)で連対を外した阪神大賞典優勝馬(87年以降)
馬名
人気
着順
GI優勝
87
スダホーク
3
3
×
88
ダイナカーペンター
8
16
89
ナムラモノノフ
9
15
90
オースミシャダイ
4
6
×
93
メジロパーマー
4
3
94
ムッシュシェクル
3
3
×
01
ナリタトップロード
2
3
02
ナリタトップロード
1
3
03
ダイタクバートラム
1
3
04
リンカーン
1
13
×
05
マイソールサウンド
11
8
×

一時はかなりの好成績を誇った阪神大賞典の優勝馬が、近年は不振なこともディープにとっては気になるデータだ。表2は、阪神大賞典優勝馬(春施行になった87年以降)のうち、同年の天皇賞で連を外した馬の一覧である。このデータでも、やはり鍵になるのはG1実績。天皇賞で連を外した馬のほとんどにG1勝ちがなく、G1馬はナリタトップロードとメジロパーマーのみだ。ナリタトップロードは古馬になってからG1勝ちから遠ざかって馬で、メジロパーマーのグランプリ2勝は人気薄。展開にも左右されるタイプだった。ともに今年のディープインパクトと歩みやタイプが異なっており、近年の阪神大賞典優勝馬不振は気にしなくてもいいだろう。逆に、G1勝ちのある阪神大賞典優勝馬は、そのナリタトップロードとメジロパーマーを含めても【5.1.3.0】と文句ナシの好成績である

 

■表3 武豊騎手の天皇賞(春)成績
馬名
人気
着順
GI優勝
89
イナリワン
4
1
90
スーパークリーク
1
1
91
メジロマックイーン
1
1
92
メジロマックイーン
2
1
(◎)
93
メジロマックイーン
1
2
94
ナリタタイシン
2
2
95
ハギノリアルキング
3
3
96
カミノマジック
11
16
97
マーベラスサンデー
3
3
×
99
スペシャルウィーク
1
1
00
ラスカルスズカ
3
2
×
02
ジャングルポケット
3
2
03
ダイタクバートラム
1
3
04
リンカーン
1
13
×
05
アドマイヤグルーヴ
6
11
※92年のメジロマックイーンは、前年の天皇賞(秋)1位降着

もうひとつ、以前はこのレースを勝ちに勝ちまくっていた武豊騎手が、近年は勝ち星から遠ざかっているのも減点材料のように思われる。しかし表3にあるように、G1馬ではきっちりと結果を残しているのが武豊騎手。昨年のアドマイヤグルーヴは牝馬限定G1勝ちで参考外だ。1番人気を裏切った03年、04年もG1未勝利馬での参戦で、押し出された形の1番人気だったのは否めない。三冠馬を駆って参戦する今年は、期待に応えてくれると考えるのが妥当だろう。

 

■表4 芝3000m以上の騎手成績(96年以降)
騎手名
出走
1着
2着
3着
勝率
連対率
複勝率
単回収
複回収
武豊
38
12
5
4
31.6%
44.7%
55.3%
65%
63%
横山典弘
28
6
7
4
21.4%
46.4%
60.7%
385%
214%
渡辺薫彦
15
5
0
4
33.3%
33.3%
60.0%
106%
73%
和田竜二
27
4
5
0
14.8%
33.3%
33.3%
116%
117%
蛯名正義
26
4
2
2
15.4%
23.1%
30.8%
192%
85%
後藤浩輝
23
3
3
1
13.0%
26.1%
30.4%
170%
99%
藤田伸二
40
2
4
8
5.0%
15.0%
35.0%
16%
71%
安藤勝己
15
2
3
2
13.3%
33.3%
46.7%
368%
118%
柴田善臣
18
2
2
0
11.1%
22.2%
22.2%
468%
115%
小原義之
13
2
1
0
15.4%
23.1%
23.1%
163%
61%

騎手のデータが出たところで、ディープから離れて長距離戦の騎手成績も見てみよう。データはレース数の少ない3000m以上。成績が騎乗馬に左右される面は否めないので、第57回の「長距離戦は騎手で買え!?」の2500m以上のデータも併せて参考にして欲しい。双方で好成績の武豊騎手と横山典弘騎手、そして和田竜二騎手には注目して良さそうだ。

 

■表5 芝3000m以上の種牡馬成績(96年以降、天皇賞登録馬の父)
種牡馬名
出走
1着
2着
3着
勝率
連対率
複勝率
単回収
複回収
サンデーサイレンス
116
12
11
9
10.3%
19.8%
27.6%
74%
61%
ダンスインザダーク
38
9
4
6
23.7%
34.2%
50.0%
314%
185%
サッカーボーイ
22
6
1
5
27.3%
31.8%
54.5%
285%
117%
ブライアンズタイム
37
5
6
2
13.5%
29.7%
35.1%
32%
107%
リアルシャダイ
35
1
6
1
2.9%
20.0%
22.9%
7%
62%
マヤノトップガン
12
1
1
1
8.3%
16.7%
25.0%
95%
70%
トニービン
38
0
6
4
0.0%
15.8%
26.3%
0%
65%
エルコンドルパサー
4
0
1
1
0.0%
25.0%
50.0%
0%
195%
ドリームウェル
4
0
1
0
0.0%
25.0%
25.0%
0%
30%
ジェイドロバリー
8
0
1
0
0.0%
12.5%
12.5%
0%
22%
マーベラスサンデー
2
0
0
1
0.0%
0.0%
50.0%
0%
250%
デヒア
1
0
0
0
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
チーフベアハート
2
0
0
0
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
トウカイテイオー
3
0
0
0
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
ティンバーカントリー
4
0
0
0
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

同じ条件で、種牡馬について調べたものが表5である(天皇賞出走予定馬の父に限定)。こちらもサンプルが少ないので参考程度ではあるが、サンデーサイレンス、ダンスインザダーク、サッカーボーイ、ブライアンズタイムあたりが注目種牡馬。サンデーサイレンスの率が低い点が目につくが、これは同一レースに複数の産駒が出走する「つぶし合い」の影響を差し引いて考えるべきである。たとえば、ともにサンデー産駒が制した昨年の菊花賞と天皇賞(春)だけを切り取ると、【2.1.1.10】で勝率は14.3%止まり。率の低さを気にする必要はない。

 

【結論】

あら探しをしようとしても、その「あら」すら見つけ難いのが今年のディープインパクト。データ的には優勝する可能性が非常に高く、穴党でもこの馬を外した馬券を狙うより、馬連や3連単の相手に穴候補を探すのが得策だ。

 

2005/10/23 京都11R菊花賞(G1)1着 7番 ディープインパクト

さて、問題は相手探しである。近年の天皇賞は傑出馬不在で波乱続き。02年以前の7年間なら「前走芝G2以上、4着以内」(3着以内21頭中20頭)というデータこそあれ、03年は前走7、10着馬の決着で、一昨年は前走ダートのイングランディーレが優勝。昨年にいたっては前走がオープン特別の馬同士と、傾向があまりアテにならなくなってきた。ディープインパクトという主役がいる今年は、一応「前走芝G2以上、4着以内」を目安にしたいが、近年の傾向をまったく無視するのも疑問が残る。

 

■表6 天皇賞(春)1番人気優勝時の人気別成績(86年以降)
人気
出走
2着
3着
連対率
複勝率
2番人気
8
2
4
25.0%
75.0%
3番人気
8
3
2
37.5%
62.5%
4〜5番人気
16
1
0
6.3%
6.3%
6番人気以下
69
2
2
2.9%
5.8%

 

■表7 ディープインパクト優勝時の人気別成績
人気
出走
2着
3着
連対率
複勝率
2番人気
8
2
3
25.0%
62.5%
3番人気
8
1
2
12.5%
37.5%
4〜5番人気
16
2
1
12.5%
18.8%
6番人気以下
60
3
2
5.0%
8.3%

そこで、少々別のデータも見てみたい。一般的に、1番人気馬が優勝したレースのデータを調べると、レースにまぎれがないためか2、3着も上位人気が占めることが多い。天皇賞(春)も、表6の通り1番人気馬が優勝した年は2、3番人気が好成績を残している。しかし、天皇賞という「レース」から「馬」に視点を移すと、ディープインパクトは人気薄を相手に連れてくることが多い(表7)。特に2着には、2〜3番人気が3頭に対し4番人気以下が5頭。「4番人気以下」は数が多いので率が低くなるとはいえ、ディープに限っては他のレースや馬のように「アタマが堅ければヒモも堅い」と信じ込むと痛い目に遭いやすい。

 

■表8 ディープインパクト優勝時の上位馬4コーナー通過順
レース
ディープ
2着馬
3着馬
新馬
3
1
2
若駒S
6
2
5
弥生賞
3
3
2
皐月賞
9
13
5
ダービー
10
2
10
神戸新聞杯
5
5
5
菊花賞
7
2
3
阪神大賞典
2
1
3
有馬記念(参考)
6
3(1着)
3

では、いったいどんなタイプが相手になっているのだろうか。注目したのは4コーナーの通過順。ディープインパクトは「まくる」競馬で勝つことが多く、常識的には先行馬には厳しい展開になるように思える。しかし実際は、4コーナーをディープインパクトより前か、同じ位置で通過した馬ばかりが2、3着を占めている。この馬より後ろから仕掛けるようでは、ディープインパクトに突き放された上に前の馬も捕らえられないことが多いのだ。

今年、このタイプで気になるのは昨年の2着馬・ビッグゴールド。ブライアンズタイム産駒で和田竜二騎手騎乗というのも、表4、5から強調材料だ。ほかに、前走で実際に逃げてディープインパクトの2着に粘ったトウカイトリックや、一昨年3着のシルクフェイマス、そして距離は微妙だがブルートルネードも候補になる。この3頭は、「前走芝G2以上、4着以内」を満たした上での人気薄だけに妙味がある。
もちろん、横山典弘騎手鞍上のリンカーンや、ダンスインザダーク産駒のデルタブルース、そしてサッカーボーイ産駒のアイポッパーなども可能性はあるが、ディープインパクトの優勝レースで3連単3桁配当は弥生賞1度きり。ほかはすべて3000円以上となっており、3連単を買うなら2、3着は人気馬と人気薄、あるいは人気薄同士の組み合わせで小波乱から中穴狙いが面白そうだ。7万馬券となった皐月賞のような大穴を狙ってみるのも悪くない。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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