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第54回 多頭数は人気馬が不利になる?

2006/1/19(木)

今週はアメリカJCCと平安Sが行われる。アメリカJCCは少頭数、平安Sは多頭数になりそうだが、少頭数は人気馬が不利を受けづらく、展開の紛れもないので堅い決着に、逆に多頭数は荒れやすい印象がある。この印象はデータからも正しいのだろうか?

今週は東西で2重賞。中山ではアメリカJCC、京都では平安Sが行われる。本稿執筆時点では正確な出走頭数がわからないが、アメリカJCCは10頭ほど、平安Sは多頭数の競馬になりそうだ。一般的に多頭数の競馬はごちゃつきやすく、人気馬が不利を受けたりコースロスを強いられるなどして荒れ模様、逆に少頭数はスムーズな流れで人気馬が実力を出し切って人気通りの決着、という印象が強い。もしこの通りなら、今週のアメリカJCCは堅く、平安Sは波乱含みとなるが、果たしてこの印象はデータからも正しいと言えるのだろうか。

データの調査はJRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。データの集計期間はいずれも01年以降である。なお、本稿では「少頭数」を9〜11頭立てとしている。一般的には8頭以下あたりを指すのだろうが、データを調べる上でその「少頭数」に該当するレースが少ないこともあり、今回は「15頭以上の多頭数に比して少ない」という意味に解釈して頂きたい。

 

■表1 出走頭数16頭の平地重賞における人気別成績
出走
1着
2着
3着
勝率
連対率
1着占有率
連対占有率
1〜5番人気 865 129 92 96 14.9% 25.5% 74.6% 64.8%
6〜10番人気 865 36 57 55 4.2% 10.8% 20.8% 26.2%
11〜16番人気 966 8 25 22 0.8% 3.4% 4.6% 8.6%

細かなデータを調べる前に、まず、出走頭数の違うレースで人気馬の信頼性を考える場合、勝率や連対率をそのまま比較していいのか、という疑問が生じてくる。もし10頭立てのレースで全馬均等にチャンスがあるとすれば、レースを重ねるとどの馬も勝率は10%、連対率20%に近づいてくる(10回に1回勝ち、10回に1回は2着)。これが18頭立てになると、勝つ確率は18回に1回なので勝率5.6%、連対率11.1%と10頭立てとは大きな差になり、そのまま比較するのは無理がありそうだ。

ただ、実際の競馬は各馬の能力にバラつきがあり、少なくとも確率的には「全馬均等にチャンスがある」とは言い難い。そこで表1をご覧頂きたい。これは、出走頭数16頭の平地重賞について、人気別に成績を調べたものだ。表からもわかる通り、16頭立てのレースで11番人気以下の馬が勝つ確率はかなり低く、1着占有率は僅か4.6%に過ぎない。これら人気薄の馬が人気馬を打ち負かすことで、直接上位人気馬の勝率や連対率を下げるケースは非常に低いと言えるだろう。もちろん、多頭数は実力の劣る馬ばかりが増えるわけではなく、争覇圏内の馬も加わってくるので簡単には比較はできないが、このあたりは単勝オッズなども踏まえて考えてみたい。

 

■表2 出走頭数別人気成績(平地重賞)
9〜11頭
12〜14頭
15頭〜
人気
勝率
連対率
勝率
連対率
勝率
連対率
1 40.5% 57.1% 35.0% 54.4% 30.5% 44.5%
2 25.0% 47.6% 16.9% 30.6% 16.9% 28.8%
3〜5 8.7% 25.4% 9.2% 22.3% 8.0% 19.3%
6〜8 2.4% 5.6% 4.4% 10.6% 5.6% 12.0%
9〜11 0.6% 1.1% 2.7% 4.4% 2.4% 6.5%
12〜14 - - 0.0% 1.5% 1.2% 3.8%
15〜 - - - - 0.4% 1.0%

さて、ここからが本題である。表2は平地重賞の人気別成績を、出走頭数ごとにわけて集計したものだ。まず目につくのが、出走頭数が増えれば増えるほど1、2番人気馬の成績が悪化している点だ。もしこれが3番人気以下でも同様に悪化しているなら「出走頭数が増えて1頭あたりのチャンスが減ったため」と解釈できるが、実際は3〜5番人気がほぼ横ばい。6〜8番人気に至ってはかえって成績がアップしている。同じ6番人気でも10頭立てでは中位人気の1頭に過ぎないが、16頭立てならほぼ間違いなく馬券検討の対象に入ってくるもの。このあたりの人気なら、出走頭数が増えて成績が良くなることにまったく不思議はない。これらの成績アップ分を、1〜2番人気馬がまるかぶりする形になっているのだ。

その原因はどうあれ、まず多頭数の上位人気馬は少頭数ほど信頼できないという印象に間違いはない、と言っていいだろう。多頭数の混戦で予想が難しくなると、最後は新聞の予想印などに頼ってつい上位人気馬を軸にしてしまうこともあるものだが、これは馬券作戦としては危険だ。

 

■表3 出走頭数別単オッズ成績(平地重賞)
9〜11頭
12〜14頭
15頭〜
単オッズ
勝率
連対率
勝率
連対率
勝率
連対率
1.0〜1.9 54.5% 75.8% 55.6% 71.1% 46.1% 60.5%
2.0〜2.9 30.8% 50.0% 31.6% 52.6% 33.6% 48.5%
3.0〜4.9 22.7% 43.2% 17.4% 34.7% 18.2% 31.9%
5.0〜9.9 10.6% 28.5% 10.7% 26.5% 9.7% 21.2%
10.0〜19.9 7.0% 14.8% 6.7% 13.6% 7.3% 15.5%
20.0〜49.9 1.6% 7.6% 3.2% 8.0% 2.8% 8.4%
50.0〜 0.5% 0.5% 0.8% 1.4% 0.9% 2.1%

表3は、同じデータを人気別ではなく、単勝オッズ別で集計したものだ。この表の注目は、単勝オッズ3.0〜4.9倍の欄。あまり信用されていない1番人気、あるいは2番人気あたりが該当するが、このオッズの馬は出走頭数が12頭を超えると少頭数に比べ勝率や連対率を大きく下げているのだ。もうひとつ、単勝1倍台の断然人気馬は出走頭数が12〜14頭になっても大きな変化はないが、15頭以上になると急激に成績が悪化している。それでも勝率46.1%、連対率60.5%なのだから「危険」とは言えないものの、少頭数と同じように「単勝1倍台=鉄板」などとは考えないほうが良い。逆に、単勝2.0倍〜2.9倍の馬は成績が出走頭数に左右されていないのは面白い。

まとめると、多頭数の単勝1倍台は少頭数ほど信頼できず、単勝3.0〜4.9倍は12頭以上から信頼性が下がる、と言える。なお、表2で見られた「6〜8番人気の成績アップ」はこの表からは読み取れないが、このあたりの人気馬は出走頭数によって単勝オッズがかなり違うため(表4の「単平均」参照)、この比較には現れなかったのではないかと想像される。

 

■表4 出走頭数別人気成績(平地重賞、単回収率・平均配当)
9〜11頭
12〜14頭
15頭〜
人気 単回 単平均 単回 単平均 単回 単平均
1 83% 206円 74% 212円 77% 253円
2 97% 389円 69% 414円 76% 454円
3〜5 85% 980円 83% 905円 73% 913円
6〜8 61% 2580円 76% 1749円 106% 1888円
9〜11 37% 6670円 108% 4021円 85% 3520円
12〜14 - - 0% - 85% 7352円
15〜 - - - - 48% 12853円

ここまでのデータで、出走頭数が増えると単勝オッズによっては人気馬の信頼性が大きく下がることがわかった。そうなると逆に、出走頭数が増えて「買い」になるのはどのあたりの人気馬なのかが気になってくる。そこで今度は、出走頭数と人気別に単勝回収率を調べてみた(表4)。あくまで「単勝」なので馬単や3連単の1着軸にそのまま使えるか微妙だが、参考程度にはなるだろう。表のうち、勝利数の多い8番人気以内の単勝回収率を比較すると、9〜11頭では2番人気が最も高く、12〜14頭では3〜5番人気、そして15頭以上では6〜8番人気と、出走頭数が増えれば増えるほど単勝回収率の高い人気が下位人気へシフトしていることがわかる。表2では、出走頭数が増えると6〜8番人気の勝率や連対率がアップしていたが、単に成績が良くなるだけではなく、オッズを加味した馬券としても「おいしく」なるのだ。

 

【結論】

多頭数の競馬では、少頭数に比べ上位人気馬の信頼性が低くなる。特に、単勝3.0〜4.9倍の12頭以上、単勝1倍台の15頭以上は少頭数に比べ信頼性が薄い。多頭数で馬券的に面白いのは6〜8番人気になる。 なお、ここまで「少頭数と比較して多頭数は」という視点で話を進めていたが、人気や単勝オッズによる信頼性の基準は人それぞれ違うもの。もし自身の基準が多頭数の側にあるならば、上記の表も多頭数を基準にして少頭数側を見ていって欲しい。

さて、最後に今週のアメリカJCCと平安Sの検討もしておこう。アメリカJCCは過去10年で1番人気馬が6連対を果たし、6番人気以下の連対は1頭のみ。単勝平均配当は465円と、堅く収まることが多いレースだ。過去10年の平均出走頭数が11.6頭と少ないのも、上位人気同士の決着が多い原因だろう。今年も10頭前後になりそうで、過去の傾向や今回のデータ通り、人気馬を信頼して買い目を絞るのが得策だ。上位人気が予想される中では、オペラシチーとグラスボンバーが有馬記念組。アメリカJCCは「前走5着以内」が連対条件のひとつとして挙げられるが、ステイゴールド(有馬10着→2着)、アメリカンボス(同6着→1着)がいる有馬記念は例外になり、この2頭は有力と考えていいだろう。もう1頭、昨年秋に同条件のセントライト記念2着も上位人気に推されそうだが、休養明けは02年のボーンキング(ダービー4着以来)3着が最高というデータが気にかかる。

2005年 有馬記念・エニフステークス・平安ステークス

一方の平安Sは過去10年の平均出走頭数は15.2頭と、毎年のように多頭数になるレースだ。そのせいか1番人気はわずか2連対で、ここ5年は連対馬10頭中8頭が5番人気以下。01年以降の単勝平均配当も1474円と波乱傾向だ。今年の1〜2番人気のオッズは現時点ではわからないが、表3から評価の下がる単勝3.0〜4.9倍に入ってしまう可能性もありそうで、最近の傾向通り疑ってかかるのが正解だろう。上位人気に推されるのは、ヴァーミリアン、サカラート(回避予定)、ヒシアトラスあたりだろうか。このうちヴァーミリアンは、98年以降4歳馬の最高着順が2着な点、サカラートは58キロ以上が過去10年で【 1 0 0 12 】、優勝はぎりぎり10年前のアドマイヤボサツという点が減点材料になる。残る1頭、ヒシアトラスは昨年の覇者。このレースはスマートボーイやクーリンガーなど2年連続の好走が目立ち、もし上位人気馬を買うならこの馬を1番手と考えたい。今回のデータから狙ってみたい「6〜8番人気」は、実際に馬券が発売されないことにはどの馬が該当するのか判断し難い。ここでは、京都ダート3戦3連対のドンクールとアンドゥオール(ただし58キロは減点)、昨秋に同コースのトパーズSを制したベラージオ、そして斤量面で浦和記念より有利になるハードクリスタルの名前を挙げておくが、皆さんは実際の人気順と過去の傾向などを併せて踏まえた上で判断してほしい。

2005年 有馬記念・エニフステークス・平安ステークス

2005年 有馬記念・エニフステークス・平安ステークス

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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