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第52回 ダート戦は古豪有利か?

2006/1/5(木)

年が明けて冬競馬、ダート戦が中心となる季節の到来だ。今週も中山競馬場ではガーネットSが行われる。ダート戦といえば「歴戦の古豪」が強く、明け4歳馬は苦戦する印象があるが、果たしてデータからもその通りなのだろうか

昨年はジャパンCダートこそ3歳馬のカネヒキリが制したが、ダート重賞といえば「歴戦の古豪」が幅を利かせ、3歳や4歳馬ではなかなか通用しない印象が強い。実際、地方競馬のダートグレード競走では、スプリント路線の頂点を決めるJBCスプリントで9歳馬が2、3着。また、年末の兵庫ゴールドTでは7歳のニホンピロサートが優勝するなど、最近は特に短距離路線で高齢馬の活躍が目立っている。今週のガーネットSも1200m戦。果たして明け4歳馬が通用するのか、それとも古豪が実績通りの結果を残すのか。今回はダート戦を「年齢」という視点から分析してみたい。

 

ジャパンカップダート 優勝馬:カネヒキリ ガーネットステークス 優勝馬:メイショウボーラ

データの調査はJRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。また、表2、3、5のデータ集計期間は00年以降である。

 

■表1 04年以降の古馬混合ダート重賞優勝馬のダート重賞初勝利
馬名
時期
レース
備考
カネヒキリ 3歳6月 ユニコーンS ユニコーンS前までダート無敗
クーリンガー 3歳9月 サラブレッドChC 古馬混合重賞初制覇は5歳2月
パーソナルラッシュ 3歳9月 エルムS 次走ダービーGP優勝
サンライズバッカス 3歳10月 武蔵野S 武蔵野S前までダート5戦4勝
アドマイヤドン 3歳11月 JBCクラシック 芝G1は朝日杯FS優勝
メイショウボーラー 4歳1月 ガーネットS 芝G1は朝日杯FS2着
アグネスウイング 4歳10月 シリウスS
マイネルセレクト 4歳10月 シリウスS
シャドウスケイプ 5歳1月 根岸S
ニホンピロサート 5歳1月 ガーネットS
ヒシアトラス 5歳1月 平安S
アンドゥオール 5歳3月 マーチS
サカラート 5歳5月 東海S
ブルーコンコルド 5歳6月 プロキオンS
ピットファイター 5歳10月 武蔵野S
タイムパラドックス 6歳1月 平安S

表1は、ここ2年の古馬混合ダート重賞(JRA)を制した馬が、何歳の何月にダート重賞(地方競馬のダートグレード競走含む)初制覇を挙げていたかを調べたものである。注目は、4歳時にダート重賞初勝利を挙げた馬が極めて少ない点で、特に4歳前半でのダート重賞初勝利は、昨年のガーネットSを制したメイショウボーラーのみである。明け4歳といえば古馬との対戦を重ねて力をつけ、重賞でも結果を残していく馬が多いと考えがちだが、近年のダート戦に限ればこの時期に重賞初勝利を挙げるケースは少ない。多いのは、3歳のうちから高い能力を発揮して重賞で活躍するか、逆に4歳後半から5歳になってくる形だ。
4歳1月に初勝利を挙げたメイショウボーラーまでの6頭のうち、例外的な存在はクーリンガー。3歳時に3歳同士のサラブレッドChCを制したが、古馬相手の重賞初勝利は5歳になってからである。残る5頭は、ダートで高勝率のカネヒキリとサンライズバッカス、エルムS直後に3歳同士のG1・ダービーGPを制したパーソナルラッシュ、そして既に芝のG1で好走実績があったアドマイヤドンとメイショウボーラーと、少なくとも同世代同士であればトップクラスの能力を示していた馬ばかり。経験を重ねて力をつけてきたような馬では4歳時にダート重賞初勝利を挙げるのは難しい、ということになる。

 

■表2 古馬混合重賞の年齢別成績
ダート
年齢
出走
1着
2着
3着
勝率
連対率
1着占有率
出走
1着
2着
3着
勝率
連対率
1着占有率
3歳
62 7 2 5 11.3% 14.5% 9.7% 413 25 25 34 6.1% 12.1% 6.5%
4歳
275 11 26 23 4.0% 13.5% 15.3% 1426 137 124 112 9.6% 18.3% 35.8%
5歳
269 27 24 16 10.0% 19.0% 37.5% 1508 115 139 133 7.6% 16.8% 30.0%
6歳
271 17 14 17 6.3% 11.4% 23.6% 1195 75 65 70 6.3% 11.7% 19.6%
7歳以上
210 10 6 11 4.8% 7.6% 13.9% 868 31 31 35 3.6% 7.1% 8.1%

続いて表2の古馬混合重賞における年齢別成績を見てみよう。芝とダートでは明らかに傾向が異なっており、芝では4歳馬が勝率、連対率ともにトップ。一方ダートでは、出走数の少ない3歳馬を除くと5歳馬が勝率と連対率でトップとなっている。4歳馬は連対率こそまずまずだが勝率は4.0%止まり。過去の実績などを考慮しないデータでも、やはり4歳馬がダート重賞を勝ち切るのは難しい、というデータだ。4歳の優勝馬8頭(メイショウボーラー3勝、ゴールドアリュール2勝)のうち5頭は既に重賞を勝っていた馬で、残る3頭はアグネスウイングが条件戦3連勝中、マイネルセレクトとエンゲルグレーセは前走オープン特別を3馬身以上の差で完勝していた。既に重賞実績があるか、勢いのある馬でなければ勝利を手にできない。
一方、7歳以上の勝率や連対率を見ると、5歳や6歳より明らかに悪い。芝とダートで特に大きな差は見られず、このデータからは「ダートは古豪」とは言い難い。ただ、出走数は、芝では4歳(1426回)の60%程度(868回)にまで落ち込んでいるのに対し、ダートでは4歳(275回)の75%程度(210回)を保っている。また、1着数の占有率をみてもダートでは芝に比べ高齢馬の落ち込みが少ない。これは、ダートの方が芝より脚もとへの負担が少なく故障で引退する馬が少ないためなのか、それとも芝に高齢まで活躍できない理由(スピードの衰えなど)があるのかはこのデータからは読み取れないが、いずれにせよダート重賞は高齢馬の活躍が多いのは間違いない。ただ、あくまで出走数や好走数が多いために目立つだけで、勝率や連対率が特に良いわけではない点には注意したい

 

■表3 ダート古馬混合戦の年齢別成績
重賞
オープン特別
年齢
出走
1着
2着
3着
勝率
連対率
出走
1着
2着
3着
勝率
連対率
3歳
62 7 2 5 11.3% 14.5% 113 9 9 10 8.0% 15.9%
4歳
275 11 26 23 4.0% 13.5% 397 52 41 32 13.1% 23.4%
5歳
269 27 24 16 10.0% 19.0% 453 41 42 44 9.1% 18.3%
6歳
271 17 14 17 6.3% 11.4% 440 20 33 39 4.5% 12.0%
7歳以上
210 10 6 11 4.8% 7.6% 324 13 11 9 4.0% 7.4%

では、オープン特別ではどういった結果になっているのだろうか。表3は、ダートの重賞とオープン特別の成績を年齢別に比較したものだ。これを見ると、ダート重賞では今ひとつだった4歳馬も、オープン特別では「通用する」どころか全世代でトップの勝利数、勝率、連対率を記録している。ダートではオープン特別と重賞の間に厚い壁があり、4歳馬はオープン特別までは勝てても重賞では壁に跳ね返させることが多いと言えるだろう。今年のガーネットS登録馬を見ても、ディバインシルバーは4歳時、ブルーコンコルドは3歳時にオープン特別を勝ちながら、ダート重賞初勝利はともに5歳時である。

 

■表4 ガーネットSの年齢別成績
過去9回
近5年
年齢
出走
1着
2着
3着
勝率
連対率
出走
1着
2着
3着
勝率
連対率
4歳
39 3 4 1 7.7% 17.9% 24 1 2 1 4.2% 12.5%
5歳
36 3 2 6 8.3% 13.9% 20 2 0 3 10.0% 10.0%
6歳
24 1 1 1 4.2% 8.3% 14 0 1 0 0.0% 7.1%
7歳以上
29 2 2 1 6.9% 13.8% 19 2 2 1 10.5% 21.1%

ここまでダート重賞全体についてみてきたが、今度はガーネットSに絞って年齢別の成績を見てみたい。表4にある通り、これまでのデータ上は厳しいはずの4歳馬が、なんとこのレースに限れば勝率で2位、連対率と連対数ではトップに立っている。ただ、これは創設当初の97、98年に2年連続で4歳馬のワン・ツーだったことが大きく影響している。近5年に限れば5歳馬と7歳以上が優勢で、特に7歳以上の3着以内5回はすべてここ5年で記録されたものである。また、6歳馬が不振ではあるが、前後の5歳と7歳以上が好成績であることや、表2でそう悪い成績ではないことを考えると、このデータだけで軽視してしまうのは危険だ。

 

■表5 3歳世代のオープン(重賞含む)勝利数
ダート
〜1400m
1600m〜
〜1400m
1600m〜
00年
1 4 1 0
01年
3 6 0 4
02年
5 8 0 1
03年
3 9 1 1
04年
2 4 0 3
05年
5 0 1 4

「年齢別」の成績で馬券作戦を組み立てる場合、より深く考えるなら「世代レベル」も考慮する必要がある。ただ、この時期までのダートのオープンや重賞に明け4歳馬が出走する例はあまり多くなく、今回は参考程度に留めたい。表5は00年以降の3歳馬が古馬混合のオープン(重賞含む)で何勝を挙げたかをまとめたもので、一番下の「05年」が明け4歳世代の昨年の成績になる。ダートではサンライズバッカスが2勝を挙げ、ヴァーミリアン、カネヒキリ、マイティスプリングが1勝ずつ。計5勝は00年以降ではトップで、少なくとも低レベルということはなさそうだ。これまで挙げたデータからアタマにするのは微妙だが、相手候補には加えてもいいだろう。
ちなみに芝では、ディープインパクトが有馬記念でまさかの2着に敗れるなど、マイル以上のオープンは未勝利という惨憺たる結果に終わってしまった。本稿執筆時点ではまだ東西金杯の結果が出ていないが、もし金杯でも4歳馬が勝てないようなら、この路線の4歳馬は当面2着以下での狙いに限る手もある。

 

【結論】

ダート重賞は芝に比べ4歳馬は活躍しづらく、特に重賞未勝利の4歳馬が勝つのは難しい。一方、高齢馬の活躍が目立つのは出走数自体が多いため。芝と比較して勝率や連対率が特に高いわけではなく、「年齢から消す必要はない」という程度である。連対率が最も高いのは5歳馬だ。
では、ガーネットSの登録馬を年齢別にみてみよう。まず4歳馬だが、ここ5年のガーネットSで3着以内に好走した4歳馬に共通するのは、ダート重賞連対か、芝の重賞勝ちがあったこと。今年の登録馬で該当するのはアンブロワーズ、ディープサマーの2頭だが、ディープサマーはダート2戦ともに6着以下というのが減点。アンブロワーズは阪神JF2着のG1実績があるほか、父フレンチデピュティの血統から初ダートで一変する可能性がある。ただ、前記データから優勝までは厳しそうだ。芝でクリスタルC2着のコパノフウジンは微妙、重賞初挑戦のオフィサーはデータ的には苦しい。
近年好走の多い7歳以上では、表1のデータから7歳以上馬がここで重賞初勝利を挙げる可能性が極めて低いことや、ダート短距離実績などを考慮すると、もし1着で買うならディバインシルバーくらい。ほかは相手候補までとなり、適性や重賞実績(後述)などから最上位はリミットレスビッドになる。

馬券の中心となるのは5、6歳勢。年齢に関わらず、重賞(芝ダート問わず)で好走実績を持つ馬が連対馬の多くを占めることから、5歳では初ダートの前走を勝ったシルヴァーゼット(ファルコンS2着)や、ダートで底を見せていないテイエムアクション(プロキオンS3着)に注目だ。6歳勢は表4での不振が多少気になるが、第43回で解説した通りハンデ重賞では重ハンデ馬が好成績というデータがあり、ブルーコンコルドやマイネルモルゲンは有力と考えていいだろう。
以上、各世代から特に1着候補に注目してまとめると、5歳:シルヴァーゼット、テイエムアクション 6歳:ブルーコンコルド、マイネルモルゲン 7歳以上:ディバインシルバーの5頭が挙げられる。中では、過去5年の優勝馬はすべて「前走が11月以降の重賞6着以内」というデータから、ブルーコンコルドが出走してくれば最有力候補だ。他では、6月以来というローテーション以外はクリアするテイエムアクション、そして創設当初に連勝した「前走ダート1200mのオープンか準オープン1着」にあたるシルヴァーゼットの2頭も、データ上有力な5歳馬だけに初重賞制覇のチャンスがある。
なお、前記5頭以外から1着候補を選ぶ場合も、「前走が重賞出走、またはダート1200mの準オープン以上1着(過去9頭すべて)」を条件とすると、今年の登録馬ではかなり候補が絞れるので参考にして頂きたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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