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第47回 2歳戦は早熟馬が狙い?

2005/12/1(木)

今週は2歳女王決定戦、阪神JFが行われる。2歳、それも牝馬の一戦というと早熟馬や仕上がり早の馬が狙いのように思えるが、過去の阪神JFではいったいどのような結果が出ているのだろうか。複数の視点からデータを分析してみよう。

一昨年のスイープトウショウ、そして昨年のラインクラフトと、後に大活躍する馬が2年続けて人気を裏切っている阪神JF。過去10年の連対馬をみると、半数の10頭が6番人気以下の人気薄。このレース時点での実績や人気、そして将来性の見込みなどでは傾向を掴みづらい一戦である。
では、どんなデータを分析するのが的中への近道なのだろうか。いくつかの視点が考えられるが、2歳戦ということで今回は特に「仕上がりの早さ」や「完成度」を軸にデータを探ってみた。データの調査はJRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。また、データの集計期間は阪神JF(旧阪神3歳牝馬S)が創設された91年以降で統一している。

 

■表1 阪神JF連対馬のデビュー月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
連対数
1
2
11
5
4
2
3
占有率
3.6%
7.1%
39.3%
17.9%
14.3%
7.1%
10.7%

表1は、阪神JF連対馬のデビュー月をまとめたものである。厩舎の方針などにも左右されるが、デビューが早い≒仕上がりが早いと考えてほぼ差し支えない。過去14年の阪神JF連対馬28頭では、7月デビュー馬が他を圧倒する11連対。これに8月デビュー馬が5頭、9月デビュー馬が4頭で続き、この3ヶ月で全体の7割以上にもなる。近年は6月の福島、阪神競馬から2歳戦が組まれているが、以前は北海道を除き7月中旬のスタートだったことを考えると、2歳戦の開始直後にデビューした馬が多く好走していると言える。
また、表にはないが、28頭中19頭までがデビュー勝ちを飾り、8頭が2戦目で初勝利を挙げている点にも注目したい。残る1頭は3戦目が初勝利のタムロチェリーで、4戦目以降にずれ込んだ馬の連対は皆無。3戦目でも厳しいと考えるのが妥当だろう。この2つのデータから、9月までにデビューし、かつ2戦目までに初勝利を挙げる仕上がりの早い馬が狙いとなる。
なお、キャリア1戦馬は優勝がなく3連対止まり。その他の馬の前走は、ファンタジーSやデイリー杯2歳S組は着外からの巻き返しも可能で、それ以外ならオープンや重賞では3着以内、500万条件なら1着といったあたりが条件だ。ただ、「ファンタジーSやデイリー杯2歳S」は、今後の結果次第では「オープンや重賞」と読み替えられる可能性もある。

 

■表2 阪神JFと2歳重賞の生月別成績
生月
阪神JF
2歳重賞全体
出走
1着
2着
3着
勝率
連対率
平均人気
出走
1着
2着
3着
勝率
連対率
平均人気
1月
3
0
0
3
0.0%
0.0%
9.0
39
5
4
4
12.8%
23.1%
5.3
2月
20
2
1
1
10.0%
15.0%
8.4
253
18
20
21
7.1%
15.0%
7.0
3月
77
2
5
4
2.6%
9.1%
8.9
677
44
59
52
6.5%
15.2%
7.2
4月
73
8
6
8
11.0%
19.2%
7.0
777
72
61
65
9.3%
17.1%
7.2
5月
33
2
2
1
6.1%
12.1%
8.9
397
23
22
22
5.8%
11.3%
8.1
6月
4
0
0
0
0.0%
0.0%
13.8
44
4
0
3
9.1%
9.1%
8.6

次に、出走馬の生月に注目してみた。ひとくくりに2歳戦として同じレースを戦う馬でも、1月生まれの馬は12月の段階で約35ヶ月、6月生まれは約30ヶ月と、15%程度の差があるのが2歳戦の特徴である。3歳の後半や古馬ならまだしも、この時期の数ヶ月の差は成長度に大きな差があると考えられ、早生まれほど完成度の高い馬が多いはずだ。しかしデータを調べると、予想とは違い成績が良いのは阪神JF、2歳重賞ともに4月生まれである。1月生まれについてはサンプルが少ないので参考にはできないが、サンプルの多い中で見ても2月や3月ではなく4月、というのは興味深い。
阪神JFでは4月生まれの平均人気が7.0と他よりも高く、過去14年でなんと9頭が1番人気に推されている。しかし、6番人気以下の優勝馬5頭中4頭、連対馬10頭中5頭が4月生まれというデータもあり、上位人気に推された馬が多かったことだけが好成績の原因ではない。

 

■表3 各条件における生月別成績
生月
阪神JF
2歳重賞
2歳新馬
3歳重賞
古馬平地重賞
勝率
連対率
勝率
連対率
勝率
連対率
勝率
連対率
勝率
連対率
1月
0.0%
0.0%
12.8%
23.1%
15.6%
28.6%
11.0%
24.0%
8.7%
15.3%
2月
10.0%
15.0%
7.1%
15.0%
12.0%
23.1%
8.1%
15.9%
6.1%
12.8%
3月
2.6%
9.1%
6.5%
15.2%
8.9%
18.0%
7.2%
14.8%
6.6%
13.6%
4月
11.0%
19.2%
9.3%
17.1%
8.3%
16.8%
6.5%
13.0%
7.4%
15.0%
5月
6.1%
12.1%
5.8%
11.3%
8.3%
16.3%
6.6%
12.4%
7.9%
15.3%
6月
0.0%
0.0%
9.1%
9.1%
7.5%
15.3%
5.9%
13.5%
7.2%
12.3%
7月以降
-
-
-
-
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
5.6%
13.9%

表3は、同じデータを2歳新馬戦や3歳重賞、古馬重賞についても調べたものである。注目は2歳新馬のデータで、サンプルの少ない1月や6月まで含めても、生まれが早ければ早いほど好成績になっている。また、年を越した3歳重賞でもほぼ同じ傾向だ。
では、なぜ阪神JFや2歳重賞では生まれの早さが結果に結びつかず、その前後の2歳新馬や3歳重賞では結びつくのだろうか。考えられるのは、2歳新馬は単純な成長度の差だけで押し切れるレースも多く、逆に3歳の重賞ではどの馬も素質・能力やその他のファクターが一定レベル以上にあるため完成度の差も決め手に成り得る、ということ。2歳重賞は新馬のように成長度の差だけでは好成績を残せず、かといって既に完成している馬もいないという、中途半端な時期、条件ということだろう。
ただ、これはあくまで仮説な上、なぜ4月生まれが好成績かという部分の答えにはならない。根拠が明確ではなくとも「データはデータ」として割り切れるなら4月生まれに注目。根拠のはっきりしないデータを使うことに抵抗があるなら「特に早生まれが有利にはならない」と考えたい。

 

■表4 馬体重別成績
馬体重
阪神JF
2歳牝馬重賞
3歳牝馬重賞
古牝馬重賞
出走 1着 2着 3着 勝率 連対率 勝率 連対率 勝率 連対率 勝率 連対率
〜399
3
1
1
0
33.3%
66.7%
11.1%
22.2%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
400〜419
22
0
0
0
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
2.5%
8.4%
4.0%
12.0%
420〜439
58
4
3
8
6.9%
12.1%
6.5%
13.0%
7.0%
14.3%
5.8%
13.8%
440〜459
68
4
5
4
5.9%
13.2%
5.3%
13.4%
6.2%
11.8%
4.8%
9.6%
460〜479
38
3
4
2
7.9%
18.4%
10.3%
15.5%
7.4%
16.7%
9.1%
17.1%
480〜499
17
2
1
0
11.8%
17.6%
17.4%
30.4%
9.8%
13.4%
9.6%
16.7%
500〜519
4
0
0
0
0.0%
0.0%
0.0%
9.1%
6.5%
9.7%
6.5%
18.5%
520〜539
0
0
0
0
-
-
0.0%
100.0%
0.0%
0.0%
11.1%
11.1%
540〜
0
0
0
0
-
-
-
-
-
-
-
-

よく「小柄で仕上がり早」などと言われるように、仕上がりの早さを考えるには馬体重も参考になる。表4は各年齢の牝馬限定重賞における馬体重別の成績を調べたものだ。馬体重に関しては第12回でも分析されている通り、基本的に大型馬ほど高連対率になる傾向がある。これは牝馬重賞に限っても同様で、年齢を問わず大型馬ほど好成績。2歳牝馬戦だからといって、仕上がり早の小型馬の成績が良くなるということはない。もちろん小型馬でも、その体重で既に実績を残しているなら消す材料にはならないので、あくまでプラス材料のひとつとして「数頭で取捨に迷ったら、馬体重が最も重い馬を買ってみる」というくらいでよいだろう。なお、2歳牝馬重賞で480〜499キロが群を抜いた好成績を残しているのは、ファンタジーSで該当馬が勝率33.3%、連対率53.3%を記録しているためである。

 

■表5 馬体重増減別成績
増減
阪神JF
2歳牝馬重賞
2、3歳牝馬G1
2、3歳G1(除牝限定)
古馬平地G1
勝率
連対率
勝率
連対率
勝率
連対率
勝率
連対率
勝率
連対率
〜-20
-
-
-
-
25.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
-19〜-10
0.0%
5.9%
4.8%
9.5%
3.2%
4.8%
4.3%
4.3%
6.9%
13.8%
-9〜-4
8.6%
8.6%
8.6%
12.9%
4.7%
8.9%
13.4%
13.4%
4.7%
8.8%
-3〜+3
4.2%
12.5%
5.5%
13.5%
5.4%
12.1%
10.6%
10.6%
6.8%
14.4%
+4〜+9
14.3%
21.4%
9.6%
15.4%
8.4%
15.3%
14.3%
14.3%
6.3%
10.2%
+10〜+19
11.1%
33.3%
4.3%
21.7%
7.1%
12.5%
11.4%
11.4%
2.5%
12.5%
+20〜
0.0%
100.0%
0.0%
50.0%
0.0%
33.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%

馬体重という視点からは、各馬の体重そのものよりも、その増減により注目したい。大目標のG1レースというと、きっちり仕上げて馬体を絞ってくる馬も見られるが、2歳牝馬の阪神JFではそれが逆効果になることも有り得る。また、この時期の牝馬なら減るよりは増えた方が良いとも考えられ、他のG1と同一視するのは禁物だ。データ上も馬体増の方が好成績で、2、3歳の牝馬G1全体などと比較しても+4〜+9キロの連対率21.4%は優秀である。前走が明らかに太めだった馬を除き、馬体を絞るより増やしてきた馬に注意が必要だ

 

【結論】

阪神JFにおいて「仕上がりの早さ」や「現時点での完成度の高さ」という視点からは、デビュー時期や何戦目に初勝利を挙げたかが特に重要になる。馬券の軸は7月から9月にデビューし、2戦目までに初勝利を挙げた馬から選びたい。以前は6月の新馬戦が少なかったことも考慮すると、6月も含めて9月以前のデビューなら有力と考えてもいいだろう。馬体重は大型馬ほど好走確率が高いが、体重に関わらず馬体を増やしてきた馬には注目。生月については特に早生まれが有利ということはなく、データ上は4月生まれが好成績を残している。

■表6 阪神JF登録馬のチェック項目
馬名
デビュー
初勝利
キャリア
生月
前走体重
前走
アイスドール
8月
2戦目
3戦
2月
430
アサヒライジング
9月
2戦目
3戦
2月
506
アルーリングボイス
7月
2戦目
5戦
1月
446
エイシンアモーレ
6月
初戦
3戦
4月
450
キーレター
8月
初戦
3戦
2月
462
×
キシュウティアラ
8月
4戦目
4戦
3月
456
×
クリノスペシャル
7月
3戦目
5戦
3月
466
グレイスティアラ
8月
初戦
3戦
5月
458
コイウタ
6月
2戦目
4戦
2月
462
コスモミール
7月
初戦
5戦
4月
444
サチノスイーティー
10月
2戦目
3戦
4月
440
×
シークレットコード
11月
初戦
1戦
2月
498
×
シェルズレイ
10月
3戦目
3戦
5月
452
×
セントルイスガール
7月
初戦
4戦
5月
396
テイエムプリキュア
9月
初戦
2戦
4月
480
ニシノタカラヅカ
8月
4戦目
5戦
2月
444
フサイチパンドラ
11月
初戦
1戦
2月
494
×
フミノサチヒメ
7月
初戦
1戦
5月
412
×
ブラックチーター
10月
初戦
2戦
2月
430
プラチナローズ
6月
初戦
5戦
5月
464
ベストストーリー
8月
初戦
2戦
4月
444
マルカアイチャン
6月
2戦目
5戦
4月
452
×
ラッシュライフ
7月
初戦
3戦
5月
494

今年のメンバーでは、断然人気が予想されるアルーリングボイスには7月デビューという以外に強調材料はない。しかし特に減点材料も存在しないので、これまでの実績やレース内容などを併せて考慮すると、有力候補の1頭として馬券の一角には絡めておきたい。その他では、3項目で強調材料が揃ったテイエムプリキュアや、7月デビューのラッシュライフとコスモミール、そしてコイウタ、プラチナローズあたりが有力。もしプラス体重ならグレイスティアラも圏内に入ってくる。

 

KBS京都賞ファンタジーステークス 1着:アルーリングボイス 2着:ラッシュライフ 5着:コスモミール かえで賞 1着:テイエムプリキュア
福島2歳ステークス 1着:プラチナローズ

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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