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第43回 ハンデ重賞の狙い方

2005/11/2(水)

秋華賞から続いたG1戦線も今週はひと息入り、東京競馬場ではハンデのG2、アルゼンチン共和国杯が行われる。「荒れる」と言われるハンデ戦だが、果たして本当に荒れるのか? そしてどんな馬券作戦が有効なのか分析してみよう。

ハンデ重賞で真っ先に思い浮かぶ言葉といえば「人気薄の軽ハンデ」。今週のアルゼンチン共和国杯もトップハンデは過去10年で1勝2着1回3着2回と苦戦傾向。ここ4年はすべて馬券圏内を外している。その一方、昨年は50キロで8番人気のテンジンムサシが2着になるなど、「人気薄の軽ハンデ」と言える単勝6番人気以下・53キロ以下の馬が10年で2勝2着5回3着1回と波乱を演出している。
ただ、「人気薄の軽ハンデ」は毎年何頭も出走しており、その中からの取捨選択でズバリ「正解」を引くのはかなり難しい。しかも、こういった馬が必ず馬券に絡むわけではないので、闇雲に手を広げたところで回収率を押し下げるばかりだ。では、ハンデ重賞ではいったいどんな馬券作戦が有効なのだろうか。
データの調査はJRA-VAN Data Lab.Target frontier JVを利用した。また、重賞のハンデ戦はすべて3(4)歳以上のため、今回はハンデ戦以外の重賞も3(4)歳以上のレースを対象に集計している。

 

■表1 重賞の平均配当比較(00年以降平地)
 
単勝
馬連
馬単
3連複
3連単
ハンデ戦
1,083円
8,408円
17,567円
36,205円
287,325円
ハンデ戦以外
1,198円
6,137円
13,442円
32,481円
224,606円

まず、本当にハンデ戦は荒れるのか、というデータが表1である。単勝の平均配当だけはハンデ戦以外の方が多少高いが、馬連(発売のないレースは枠連)や3連単などは、ハンデ戦の方が平均配当はかなり高くなっている。予想の大前提としての「荒れるハンデ戦」という発想は正しい。

 

■表2 重賞の斤量別成績(00年以降平地)
 
ハンデ戦
ハンデ戦以外
出走 1着 2着 3着 勝率 連対率 勝率 連対率
〜49
58
1
4
2
1.7%
8.6%
-
-
49.5〜51
183
6
8
5
3.3%
7.7%
10.0%
10.0%
51.5〜53
490
18
20
38
3.7%
7.8%
5.6%
8.7%
53.5〜55
687
42
55
48
6.1%
14.1%
6.5%
12.6%
55.5〜57
438
45
35
29
10.3%
18.3%
6.8%
13.9%
57.5〜59
134
25
15
15
18.7%
29.9%
9.0%
18.3%
59.5〜
4
0
0
0
0.0%
0.0%
20.0%
20.0%

続いて表2を見てみよう。これは、重賞における斤量別成績をハンデ戦とそれ以外に分けて集計したものだ。49キロ以下や59.5キロ以上はサンプルが少ないため、49.5〜59キロの範囲を見ると、ハンデ戦では斤量が重くなるほど勝率、連対率が高いことがわかる。特に57.5〜59キロの好成績が目立ち、勝率はハンデ戦以外のなんと倍以上、連対率でも10%以上の差がついている。このデータをそのまま信用すれば、条件馬と実績馬の間には、10キロ程度の斤量差では埋められないほどの実力差がある、と言える。ただ、これだけでは軽量馬と重ハンデ馬で人気の偏りがある可能性があるので、もう少し細かく見てみよう。

 

■表3 ハンデ重賞の人気・斤量別成績(00年以降平地)
 
1〜3人気
4〜5番人気
6番人気以下
勝率
連対率
単回収率
勝率
連対率
単回収率
勝率
連対率
単回収率
〜49
-
-
-
100.0%
100.0%
910%
0.0%
7.0%
0%
49.5〜51
40.0%
40.0%
232%
0.0%
0.0%
0%
2.3%
7.0%
63%
51.5〜53
17.1%
29.3%
95%
4.1%
12.2%
38%
2.3%
5.0%
107%
53.5〜55
14.9%
27.6%
72%
8.3%
21.1%
89%
2.9%
8.3%
53%
55.5〜57
21.3%
32.9%
94%
2.8%
11.1%
19%
4.0%
8.9%
65%
57.5〜59
28.1%
43.8%
91%
10.8%
21.6%
99%
9.1%
12.1%
114%
59.5〜
0.0%
0.0%
0%
-
-
-
0.0%
0.0%
0%
ハンデ重賞全体
20.0%
32.4%
88%
6.6%
16.8%
64%
2.8%
7.3%
72%
(参考)ハンデ重賞以外
19.7%
36.6%
68%
9.8%
19.8%
104%
2.3%
5.6%
85%

表3は、表2のハンデ戦について人気別に分析したものだ。49キロ以下と59.5キロ以上に加え、この表では49.5〜51キロの上位人気もサンプルが少ないため参考外。それ以外のデータを見てみたい。
まず、一番下の「ハンデ重賞全体」と「ハンデ重賞以外」を比較すると、やはりハンデ戦の方が人気薄の好走確率が高い。しかしこの表一番の注目はハンデ戦の57.5〜59キロの欄。人気に関わらず勝率、連対率とも「ハンデ重賞以外」を上回っており、1〜3番人気では勝率28.1%、連対率43.8%の好成績だ。表2の重ハンデ馬有利のデータ通りで、特に人気馬の信頼性は高い。逆に、つい注目しがちな「人気薄の軽ハンデ」は目立つ数字ではなく、人気薄でも重ハンデ馬ほど成績が良いという傾向に変わりはない。総合すると、ハンデ重賞では「人気薄の軽ハンデ」よりも「人気の重ハンデ」を買え、ということになる。
もうひとつの注目点は、1〜3番人気の単回収率が53.5〜55キロ以外は軒並み高いことだ。一般的に、人気薄馬は勝率より2着率、3着率が高い傾向にある。そのため、いくらハンデ戦で人気薄が好走しても、表1の平均配当を押し上げるのは2着以下が関連する馬券が中心。単勝の平均配当だけはハンデ戦の方が低かったことからも、単勝や、馬単、3連単の1着なら上位人気馬、と言える。

ここまでのデータから、ハンデ重賞では人気薄が好走する確率が多少高いが、人気馬でも重ハンデ馬ならかえって信頼性が高いことがわかった。これでは、表1ほど平均配当に違いが出るとは考えづらいが、この違いはどこからくるのか。馬券作戦とは直接関係ないが少し考えてみたい。

 

■表4 重賞の人気別単勝平均オッズ(00年以降平地)
 
ハンデ戦
ハンデ戦以外
1番人気
3.2
2.6
2番人気
5
4.7
3番人気
7
6.8
4番人気
8.7
10
5番人気
11
14.5
6番人気
13.5
19.3
7番人気
17.1
27.6

表4は重賞の人気別平均オッズ(配当ではなく、敗れた馬も含めたオッズ)で、上位人気ではハンデ戦の方がオッズは高くなっている。ハンデ戦はそもそも人気が割れるレースが多く、人気馬同士でもそれなりの配当になるため、人気薄の激走の有無に関わらず平均配当が押し上げられる。逆に、人気薄同士を買っても人気順から想像するほどの配当にはならないことが多いが、これを差し引いても平均配当は高くなるのだ。

 

■表5 重賞の単勝オッズ別成績(00年以降平地)
 
ハンデ戦
ハンデ戦以外
勝率
連対率
勝率
連対率
1.0〜1.4
-
-
46.2%
69.2%
1.5〜1.9
52.9%
70.6%
52.6%
68.4%
2.0〜2.9
26.1%
47.8%
31.6%
51.3%
3.0〜3.9
21.4%
37.1%
23.4%
39.2%
4.0〜4.9
20.5%
37.2%
9.7%
27.6%
5.0〜6.9
16.7%
23.1%
11.7%
27.7%
7.0〜9.9
8.1%
19.5%
8.3%
22.6%
10.0〜14.9
7.5%
14.2%
9.3%
16.6%
15.0〜19.9
3.7%
9.5%
6.3%
13.0%
20.0〜29.9
2.6%
10.7%
3.9%
8.6%
30.0〜49.9
2.4%
6.8%
2.1%
7.9%
50.0〜99.9
0.4%
1.6%
1.5%
2.5%
100.0〜
0.5%
1.9%
0.4%
0.8%

次に、人気別ではなく単勝オッズ別の成績も見てみよう。単勝4.0〜6.9倍(人気順では2〜3番人気相当)で差がある以外、4倍未満や7倍以上ではハンデ戦とハンデ戦以外にそう大きな差は生じていない。表3の「6番人気以下」ではハンデ戦がそれ以外を上回る成績だったが、これはあくまで人気順で見た「人気薄」。オッズとしての「人気薄」が好走しやすいわけではないので注意したい。この点からも、平均配当を押し上げるのは人気薄より上位人気絡みの配当の影響が大きい、と考えていいだろう。

 

【結論】

ハンデ重賞は荒れやすいが、決して「軽ハンデの人気薄」ばかりが波乱を演出しているわけではなく、人気馬と人気薄の組み合わせや、人気馬同士でも好配当が期待できる。軸馬には57.5キロ以上の重ハンデ馬、または上位人気馬を置いた方が的中しやすく、特に57.5キロ以上の上位人気馬は信頼性が高い。
今週のアルゼンチン共和国杯は、過去10年の優勝馬10頭中6頭が3番人気以内。「人気の重ハンデ馬」にあたる3番人気以内・57.5キロ以上は4頭しか出走がなくサンプル不足だが(1勝3着1回)、00年にはマチカネキンノホシが57.5キロ・3番人気で優勝を果たしている。今年はサクラセンチュリー、ダイタクバートラム、デルタブルース、マイソールサウンドが57.5キロ以上で、軸馬はこの4頭、あるいは他の上位人気馬から選ぶのが妥当だろう。特に、57.5キロ以上・上位人気の双方を満たしそうなデルタブルース、サクラセンチュリーには注目だ。

 

斤量の調整につかう重り/検量の風景

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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