データde出〜た
第413回 夏の名物重賞・小倉記念を占う
2010/7/29(木)
昨年は16番人気のダンスアジョイが差しきって波乱となった小倉記念。06年から夏季競馬の振興策として始まったサマー2000シリーズの第3戦に指定され、また、従来に比べて開催時期も2週早まっている。かつては北九州記念組の好走が多かったのだが、この同レースは小倉記念の2週後へと写り、条件も芝1200m重賞に鞍替えしてサマースプリントシリーズへと組み込まれた。そして、そうした開催条件変更の影響もあって好走傾向もかつてとは変わってきているようだ。そのあたりのことも考慮しつつ、小倉記念を分析してみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 人気別成績
人気 |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回率 |
複回率 |
1番人気 |
2- 3- 0- 5/ 10 |
20.0% |
50.0% |
50.0% |
37% |
72% |
2番人気 |
2- 3- 0- 5/ 10 |
20.0% |
50.0% |
50.0% |
80% |
81% |
3番人気 |
1- 1- 2- 6/ 10 |
10.0% |
20.0% |
40.0% |
61% |
80% |
4番人気 |
2- 0- 0- 8/ 10 |
20.0% |
20.0% |
20.0% |
168% |
67% |
5番人気 |
1- 0- 1- 8/ 10 |
10.0% |
10.0% |
20.0% |
83% |
47% |
6番人気 |
1- 1- 1- 7/ 10 |
10.0% |
20.0% |
30.0% |
81% |
81% |
7番人気 |
0- 2- 0- 8/ 10 |
0.0% |
20.0% |
20.0% |
0% |
121% |
8番人気 |
0- 0- 1- 9/ 10 |
0.0% |
0.0% |
10.0% |
0% |
58% |
9番人気 |
0- 0- 3- 7/ 10 |
0.0% |
0.0% |
30.0% |
0% |
267% |
10番人気 |
0- 0- 1- 9/ 10 |
0.0% |
0.0% |
10.0% |
0% |
115% |
11番人気 |
0- 0- 1- 9/ 10 |
0.0% |
0.0% |
10.0% |
0% |
83% |
12番人気 |
0- 0- 0- 8/ 8 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
13番人気 |
0- 0- 0- 7/ 7 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
14番人気 |
0- 0- 0- 5/ 5 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
15番人気 |
0- 0- 0- 3/ 3 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
16番人気 |
1- 0- 0- 1/ 2 |
50.0% |
50.0% |
50.0% |
3235% |
680% |
17番人気 |
0- 0- 0- 1/ 1 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
18番人気 |
0- 0- 0- 1/ 1 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
まずは基本事項の確認。昨年、16番人気のダンスアジョイが勝って大波乱となったが、実は例外的な大穴だったことがわかる。勝ち馬は6番人気まで、連対馬は7番人気まで、3着圏内は11番人気までと、好走馬は意外と人気に比例している。昨年のインパクトに加え、ハンデ戦ということもあって大振りしたくなってしまうかもしれないが、連対候補の軸馬は7番人気までから選び、人気薄のダークホースは3着でのヒモ穴狙いにとどめたほうがよさそうだ。
■表2 脚質別成績
人気 |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回率 |
複回率 |
逃げ |
0- 2- 0-10/12 |
0.0% |
16.7% |
16.7% |
0% |
29% |
先行 |
2- 3- 5-21/31 |
6.5% |
16.1% |
32.3% |
32% |
113% |
中団 |
6- 2- 4-40/52 |
11.5% |
15.4% |
23.1% |
191% |
114% |
後方 |
1- 2- 1-36/40 |
2.5% |
7.5% |
10.0% |
5% |
31% |
マクリ |
1- 1- 0- 0/ 2 |
50.0% |
100.0% |
100.0% |
210% |
505% |
表2は脚質別成績だが、小回りコースながら逃げ馬は意外な不振。勝率が高いのは差し馬、安定感では先行馬という結果になっている。05年までは連続開催の後半に行なわれていたこともあり、馬場が荒れて差し馬が来やすい状態になっていたのだが、開催前半に移動して高速決着傾向が強まった06年以降もその傾向は変わっていない。馬場状態を問わず、先行・差し馬有利は小倉記念特有の傾向として注意しておきたい。
■表3−1 前走クラス別成績(00〜05年)
前走クラス |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回率 |
複回率 |
1000万下 |
2- 3- 0- 8/13 |
15.4% |
38.5% |
38.5% |
110% |
75% |
1600万下 |
0- 0- 2-12/14 |
0.0% |
0.0% |
14.3% |
0% |
31% |
OPEN特別 |
0- 2- 1- 4/ 7 |
0.0% |
28.6% |
42.9% |
0% |
150% |
G3 |
4- 1- 3-35/43 |
9.3% |
11.6% |
18.6% |
33% |
39% |
G2 |
0- 0- 0- 1/ 1 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
G1 |
0- 0- 0- 0/ 0 |
■表3−2 前走クラス別成績(06〜09年)
前走着差 |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回率 |
複回率 |
1000万下 |
0- 0- 1- 3/ 4 |
0.0% |
0.0% |
25.0% |
0% |
287% |
1600万下 |
0- 1- 2- 7/10 |
0.0% |
10.0% |
30.0% |
0% |
259% |
OPEN特別 |
0- 0- 1- 5/ 6 |
0.0% |
0.0% |
16.7% |
0% |
101% |
G3 |
1- 3- 0-26/30 |
3.3% |
13.3% |
13.3% |
27% |
55% |
G2 |
2- 0- 0- 3/ 5 |
40.0% |
40.0% |
40.0% |
1492% |
346% |
G1 |
1- 0- 0- 1/ 2 |
50.0% |
50.0% |
50.0% |
210% |
90% |
上のふたつの表は、小倉記念の前走クラス別成績を00〜05年の6年分と06〜09年の4年分に分けたもの。このふたつの表を見ると、05年以前と06年以降でややレースの性格が変わってきていることがわかる。05年までは前走でG1やG2を使っていた馬がほとんどいなかったのに対し、06年からは前走G1・G2組が計3勝。また、05年までは前走1000万下組が好走していたのだが、06年からは出走自体が減少している。これはやはりサマー2000シリーズに組み込まれたことで、出走馬のレベルが上がっていることを意味しているのだと思われる。
■表4 斤量別成績
斤量 |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回率 |
複回率 |
〜48kg |
0- 0- 0- 1/ 1 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
49kg |
0- 0- 0- 1/ 1 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
50kg |
0- 0- 0- 6/ 6 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
51kg |
0- 0- 0- 8/ 8 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
52kg |
1- 1- 3- 8/ 13 |
7.7% |
15.4% |
38.5% |
63% |
204% |
53kg |
2- 0- 3- 17/ 22 |
9.1% |
9.1% |
22.7% |
64% |
80% |
54kg |
0- 4- 2- 24/ 30 |
0.0% |
13.3% |
20.0% |
0% |
100% |
55kg |
2- 0- 0- 21/ 23 |
8.7% |
8.7% |
8.7% |
324% |
75% |
56〜57kg |
4- 3- 2- 14/ 23 |
17.4% |
30.4% |
39.1% |
72% |
76% |
57.5〜59kg |
1- 2- 0- 5/ 8 |
12.5% |
37.5% |
37.5% |
25% |
142% |
59.5kg〜 |
0- 0- 0- 2/ 2 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0% |
0% |
表2は斤量別成績。当初はここも00〜05年と06〜09年で分けるつもりだったが、傾向が大きく変わらないのでまとめることとした。まずわかるのが、51キロ以下の軽ハンデ馬の好走がないということ。そして、ある程度(56キロ以上)はハンデを背負わされたほうがかえって好走率が高いということだ。とはいえ、52キロの馬も複勝率が高く、53〜55キロのゾーンも極端に好走率が下がるわけではない。ハンデ重賞とはいえ、あまり斤量について考えすぎる必要はないかもしれない。
■表5 前走斤量別成績
前走斤量 |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回率 |
複回率 |
増減無し |
2- 4- 1- 24/ 31 |
6.5% |
19.4% |
22.6% |
230 |
90 |
今回増 |
4- 0- 2- 8/ 14 |
28.6% |
28.6% |
42.9% |
124 |
116 |
今回1〜1.5kg増 |
3- 0- 1- 5/ 9 |
33.3% |
33.3% |
44.4% |
174 |
137 |
今回2〜2.5kg増 |
0- 0- 0- 1/ 1 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
0 |
0 |
今回減 |
4- 6- 7- 75/ 92 |
4.3% |
10.9% |
18.5% |
29 |
83 |
今回1〜1.5kg減 |
2- 2- 1- 25/ 30 |
6.7% |
13.3% |
16.7% |
41 |
33 |
今回2〜2.5kg減 |
0- 0- 1- 14/ 15 |
0.0% |
0.0% |
6.7% |
0 |
38 |
今回3kg以上減 |
2- 3- 5- 36/ 46 |
4.3% |
10.9% |
21.7% |
31 |
113 |
前項である程度斤量を背負った馬のほうがいいということを述べたが、前走との斤量を比較するとおもしろい傾向が出た。ハンデ戦ということで斤量減の馬に注目したくなってしまうところだが、実は好走率が高いのは前走より斤量が増えた馬なのだ。1〜1.5キロ程度の斤量増ならマイナス材料とはならず、また、斤量増ということからやや人気を落とす面もあって回収率も高水準となっている。06年のスウィフトカレントは前走より1キロ増、しかも休み明けという条件ながらレコード勝ちの快走を見せたほどだ。一方、斤量減の馬は、斤量増減なしの馬と比べても複勝率が低くなっている。斤量減で馬券を買いやすいこともあり回収率も低め。3着以内に入った回数自体は少なくないため斤量減の馬をまったく無視できるわけではないが、狙い目としておもしろいのは斤量増の馬ということは言えるだろう。
■表6 小倉記念好走馬(06年〜)
年度 |
着順 |
馬名 |
性齢 |
人気 |
着順 |
2400m以上実績 |
同年6月以降・重賞3着以内、特別戦1着 |
06年 |
1 |
スウィフトカレント | 牡5 |
4 |
1 |
日経新春杯2着 | |
2 |
ヴィータローザ | 牡6 |
7 |
2 |
大阪−ハンブルクC1着 | ||
3 |
ニホンピロキース | 牡5 |
9 |
3 |
|||
07年 |
1 |
サンレイジャスパー | 牝5 |
6 |
1 |
マーメイドS2着 | |
2 |
ニホンピロキース | 牡6 |
7 |
2 |
|||
3 |
アラタマサモンズ | 牡5 |
10 |
3 |
三木特別1着 | ||
08年 |
1 |
ドリームジャーニー | 牡4 |
2 |
1 |
神戸新聞杯1着 | |
2 |
ダイシングロウ | 牡4 |
1 |
2 |
博多S1着、京橋特別1着 | ||
3 |
ケンブリッジレーザ | 牡5 |
11 |
3 |
淡路特別1着 | ||
09年 |
1 |
ダンスアジョイ | 牡8 |
16 |
1 |
メトロポリタンS3着 | |
2 |
ホッコーパドゥシャ | 牡7 |
1 |
2 |
七夕賞2着 | ||
3 |
クラウンプリンセス | 牝5 |
9 |
3 |
米子S1着 |
斤量に関しては傾向があまり変わっていないために近10年のデータを参照にしたが、個々の馬を見る場合に重視したいのは、やはり現在の施行条件となった06年以降のデータ。時期が前倒しになったこともあり、近年は高速決着の傾向が顕著になっていることも見逃せない。今年の2回小倉ですでに消化された2週の芝レースを見ても、良馬場にさえなれば今年も高速決着になる可能性が非常に高い。そんなことを踏まえつつ、06年以降の好走馬の共通点を探ってみたのが表6だ。
意外なデータとして推奨したいのが、芝2400m以上のレースで実績を残していた馬が好走していること。しかも、06年7番人気2着のヴィータローザ、08年11番人気3着のケンブリッジレーザ、09年16番人気1着のダンスアジョイなどの穴馬もここから拾うことができた。小回りコースのため最後の直線だけでは届かないので、ローカル重賞は仕掛けが早くなりがち。2000mという字面以上のスタミナが問われることになって芝2400m以上での実績が活きてくるのではないだろうか。もうひとつの「同年6月以降で重賞3着以内、特別戦1着」というのは、要するに好調馬を狙えということ。格言にもあるように「夏は格より調子」。特に連勝中であれば、条件戦上がりの馬でも狙ってみたいところだ。唯一、いずれの条件にも当てはまらなかったのがニホンピロキースだが、2年連続で好走しているように単純にこの条件が向いているのだろう。もっとも、前年の好走馬が出走してきた場合は、前年より斤量が重くなることもあって凡走するケースのほうが目立つのも事実。ニホンピロキースは、前年に比べて斤量増減なしだったことも幸いしたのではないかと思われる。
【結論】
■表7 10年小倉記念登録馬
馬名 |
性齢 |
斤量 |
前走斤量 |
2400m以上実績 |
同年6月以降・重賞3着以内、特別戦1着 |
| アドマイヤオーラ | 牡6 |
58 |
58 |
ダービー3着 | |
| アルコセニョーラ | 牝6 |
55 |
54 |
七夕賞2着 | |
| エーティーボス | 牡6 |
54 |
56 |
||
| オースミスパーク | 牡5 |
56 |
58 |
||
| サトノスローン | セ7 |
52 |
56 |
||
| サンライズベガ | 牡6 |
55 |
55 |
ジューンS2着 | 七夕賞3着 |
| サンレイジャスパー | 牝8 |
50 |
51 |
||
| シルクウィザード | 牡7 |
55 |
55 |
||
| シルクネクサス | 牡8 |
56 |
60 |
大阪−ハンブルクC1着 | |
| ステップシチー | 牡6 |
52 |
57 |
松前特別1着 | |
| スマートギア | 牡5 |
57 |
58 |
京都大賞典2着 | |
| ゼンノグッドウッド | 牡7 |
54 |
54 |
大阪−ハンブルクC1着 | |
| ダイレクトキャッチ | 牡6 |
54 |
57 |
||
| トーホウレーサー | 牡6 |
56 |
56 |
||
| ドモナラズ | 牡5 |
55 |
52 |
七夕賞1着 | |
| ナリタクリスタル | 牡4 |
55 |
57.5 |
釜山S1着 | |
| ニホンピロレガーロ | 牡7 |
56 |
56 |
大阪−ハンブルクC1着 | |
| ノットアローン | 牡5 |
52 |
55 |
||
| バトルバニヤン | 牡6 |
57 |
57 |
七夕賞3着 | |
| ホワイトピルグリム | 牡5 |
56 |
55 |
||
| マキハタサイボーグ | セ8 |
53 |
58 |
ステイヤーズS1着 | |
| マルカシェンク | 牡7 |
57 |
57 |
||
| メイショウレガーロ | 牡6 |
56 |
56 |
||
| ラインプレアー | 牡5 |
55 |
56 |
表7が今年の小倉記念の登録メンバー。フルゲートを上回るメンバーが登録してきたが、2400m以上実績と6月以降の好走実績で約半数に絞り込むことができた。とはいえまだ12頭が残っているので、まだまだ絞り込んでいかなくてはならない。
2400m以上実績と6月以降の好走実績を兼ね備えているのはサンライズベガのみとなった。斤量55キロは好走ゾーンではないものの、近10年で2頭が勝ってはいる。同馬の実績からすると恵まれた感もあり、安定した脚質も加味して本命にしたい。七夕賞でこの馬に先着したのがドモナラズ。斤量増が狙い目と前述したものの、近10年前走から斤量が3キロ増で出走した馬が1頭もいないため、なんとも言えないところ。どちらかといえば遅い時計での決着で実績を残していることもあり、人気になるようなら嫌ってみる手もありそうだ。
前走斤量という点でおもしろそうなのがホワイトピルグリム。前走から1キロ増で斤量的に好走の多い56〜59キロのゾーンに入った。2400m以上実績も6月以降好走実績もないが、日経新春杯4着はそれに準じた成績とは言える。小倉でも過去2戦2勝と相性がよく、人気の盲点となりそうなこの馬も重視してみたい。
あとは、好走データに合致する馬をピックアップしていきたい。もちろん、アドマイヤオーラ、スマートギア、アルコセニョーラといった重賞実績豊富な馬たちも有力ではあるが、オッズ的なことを考慮するとシルクネクサス、ステップシチー、ニホンピロレガーロあたりにも注目していきたい。
ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
