ドバイワールドカップ特集

 

これが世界だ!立ちはだかるライバルたち

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ドバイWC

カーリン強し、ヴァーミリアンの前にそびえる現役世界最強の壁

昨年の雪辱を期すヴァーミリアンに対し、巨大な壁となって立ちはだかるのがカーリン(Curlin/牡4)だ。ヴァーミリアンの紹介にも記したが、昨年のレーティングはインヴァソール、オーソライズド(Authorized)、ディラントーマス(Dylan Thomas)と並んで世界2位。首位のマンデュロ(Manduro)、古馬のインヴァソールとディラントーマスは引退したため、3歳でこれらに並んでいたダートのカーリン、芝のオーソライズドが現役世界最強ということになる。成長力を加味すれば、現時点のカーリンの強さは昨年のインヴァソール以上と見積もることも可能。ヴァーミリアンにとっては、ほとほと厄介な相手が現れたものだ。

カーリンは明け3歳の2月と遅いデビューながら、破竹の勢いで勝ち進み、3冠戦の1つプリークネスSに勝利。秋になってBCクラシックを制し、年度代表馬に選出された。とりわけBCの勝ちっぷりは圧巻で、水が浮く最悪の馬場コンディションをモノともせず、中団追走から怒とうの加速で直線は突き放す一方。2着に4馬身半差のワンサイド勝ちを収め、チャンピオンホースの称号を手に入れた。

今季は早々にドバイ入り。2月28日にナド・アル・シバ競馬場の一般戦(ダート2000m)で初陣を迎えた。レースは6頭立ての少頭数でレベルに開きがあったとはいえ、斤量53キロの相手に入り、1頭だけ60キロを負担して追ったところなしの大楽勝。その内容で走破時計は2分0秒60という、ドバイWCと同じ舞台での試走としては、これ以上ない絶好のスタートを切っている。

レース間隔はちょうど1か月。中間の調整も順調と伝えられ、死角らしい死角は見当たらない。まさに不動の本命と言っていい。

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ヴァーミリアンにとって当面の敵になるプレミアムタップ。(2007年ドバイWC photo by Kazuhiro Kuramoto)

強いのは解っているものの、ヴァーミリアンと直接対決のないカーリンには未知の部分もある。当面のライバルとしては、昨年のドバイWCで実際に大差先着を許したプレミアムタップ(Premium Tap/牡6)を意識すべきか。

プレミアムタップはタップダンスシチー(ジャパンC、宝塚記念)と同じプレザントタップを父にもつ。昨年は、サウジアラビア最大のレースである二聖モスクの守護者C(ダート2400m)を制してドバイWCに臨んだが、インヴァソールの後塵を拝して1馬身3/4差の2着。今年も同じステップでの参戦を試みたところ、アルゼンチン2000ギニーのタイトルを持つジョールイス(Joe Louis/牡5)の4着に敗れてしまった。連覇で参戦なら、打倒カーリンの筆頭候補になるはずだったが、思わぬ敗戦を喫したことで、ヴァーミリアンにもつけ入る隙が生じたか。ただし、プレミアムタップを撃破したジョールイス陣営がドバイWCへの参戦を表明。鼻息を荒くしており、強敵が増えこそすれ減ったとは言えない状況だ。

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UAE3冠馬の意地を見せたいエイジアティックボーイ。(2007年UAEダービー photo by Kazuhiro Kuramoto)

前哨戦敗退で株を落としたのはエイジアティックボーイ(Asiatic Boy/牡4)も同様。昨年のUAE3冠ホースは、今季初戦に選んだ1月のアル・シンダガ・スプリント(ダート1200m)を快勝し、前哨戦が組まれた3月6日の“スーパーサーズデー”に臨んだ。しかし、ブルジュ・ナハール(ダート1600m)で、モハメド殿下率いるゴドルフィン軍団の伏兵イルーシヴウォーニング(Elusive Warning)に、直線で並び掛けながら突き放され、さらに同じくゴドルフィン軍団のブラキャットブラキットゥン(Blackat Blackitten)にも後れをとって3着。先着を許した2頭より2キロ重い59キロの斤量を負担していたとはいえ、いささか物足りない内容に終わった。昨年のUAEダービーでは、59キロで先述ジョールイス(同斤)、現1600万下のビクトリーテツニー(55キロ)を15馬身以上ちぎり捨てているだけに、実力発揮なら争覇権の1頭なのだが。

スーパーサーズデーで微妙な結果に終わったエイジアティックボーイから、スポットライトを奪ったのがゴドルフィン軍団の超新星ジャリル(Jalil/牡4)だ。このストームキャット産駒には、970万ドルという破格値でセリ落とされた背景があり、もともと期待は大きかったのだが、2006年のデビュー以降は、イギリスで4戦1勝の平凡なキャリアしか築くことができなかった。しかし、今年になってナド・アル・シバ競馬場のダートに主戦場を移すと走りが一変する。ハンデ戦でトントンと連勝を飾り、その勢いで駒を進めたマクトゥーム・チャレンジ3(2000m)でも、チャレンジ2(1800m)の勝ち馬で本命視されていたラッキーファインド(Lucky Find/せん4)を、直線半ばでねじ伏せ快勝。一気に有力候補にのし上がった。ゴドルフィン軍団の所属馬は過去に4頭がドバイWCを制しているが、そのいずれもがマクトゥーム・チャレンジ3を経由している。カーリンのようなチャンピオン級との対戦は初めてだけに、ドバイWCが試金石には違いないが、必勝ローテで臨む殿下の秘蔵っ子には不気味さが漂う。