2006.10.1

文・写真/平松さとし

 いよいよ凱旋門賞が翌日に迫った9月30日、武豊騎手はロンシャン競馬場で4鞍に騎乗した。
 日本人ファン約三千人が見守る中、ユタカは「ディープの景気づけとなればいいですけど、とりあえず芝の状態をみてきます」
 笑顔でそう言って、4つのレースに参戦した。

 日本ではピカレスクコートでの騎乗が話題になっていたかもしれない。しかし、ユタカは前日から「ラフォレ賞に注目してほしい」と苦笑いをみせていた。
 この日の第4レースに組まれたラフォレ賞は1400メートルのG競走。ユタカは有力馬の1頭、リンガリに騎乗した。
 リンガリは三走前からフランスに移籍。その移籍初戦をユタカが騎乗し、6着としていた。その後、1200メートルを勝って、この日のレースに臨んだ。

 前半、二番手を進んだユタカ=リンガリはゴール前、3頭の叩き合いで僅差の2着。惜しくも大魚を獲り逃したユタカは悔しそうな表情で言った。
 「秘かに期待していたし、あそこまでいったら正直、勝ちたかった」
 しかし、ここまで言うと気持ちを切り替えて続けた。
 「まぁ、それは明日のお楽しみとしてとっておきましょう」
 その後、Gに参戦したピカレスクコートも2着。

 しかし、こちらに関してはさばさばと語った。
 「日本でも重賞で実績のある馬ではないですからね。状態も必ずしも万全ではないという話でしたし、そういう中でよく走ってくれました。日本馬のレベルの高さを証明できる内容だったといえるかもしれませんね」
 パラパラと雨が降ったものの、肝心に芝の状態に関しては
 「日本と比べるともちろん柔らかいですけど、今年は雨が少ないせいか例年と比べればそれほど柔らかくない。これは、ディープにとって良いですよ」

 追い風に乗り、ディープが離陸するまで、いよいよ24時間を切った。

ラフォレ賞のゴール前。3頭の中央がユタカ=リンガリ

 


 

  9月29日。心地好い陽射しの下のシャンティー競馬場。武豊は準重賞1レースに騎乗した。
 すでにかなりの数の日本人が乗り込んでいる。ユタカは久しぶりのシャンティー競馬場を、しばしスタンドから楽しんだ後、ジョッキールームへと消える。
 次に現れた時は勝負服に着替え、パドックへ。多くの日本人から声援が飛ぶ。
 「すごいですね。もうこんなに日本人がいるとは思いませんでした。まるで中山競馬場みたい」と目を白黒。

 レースは残念ながら着外に終わったが、表情はさばさばとしたもの。レース後、記者陣に取り囲まれると笑顔で口を開いた。
 「好天続きなのはいいですね。このまま当日までいい天気が続いて、固めの馬場で出来れば、という気持ちです」
 発表された2番という枠順に関しては次のように語った。
 「内と外、どちらがいいかな?と考えたけど、結局どちらなのかはゲートが開いてみないと分からないですもんね。いずれにしろ、決まったものはどうしようもないし、何よりも頭数が少ないので何枠でも関係ないかな?と思います」

 ここで一呼吸置くと、再び口を開く。
 「何よりもここまで順調に来たのがいいですよね。ディープがフランス入りしてから先、ただの一度も不安とか失敗とかという話が出てこなかった。まだあと二日ありますけど、このまま順調に当日を迎えてくれることを信じています」

 明後日に迫った凱旋門賞は結局8頭立てとなりそう。ユタカは土曜日に4鞍、日曜も凱旋門賞のほかに1鞍の騎乗が決まった。
 「それなりに有力馬もいるみたいです。本番の前に景気づけが出来ればいいですね」
 シャンティーにユタカの笑顔が弾けた。

シャンティーで騎乗した武豊騎手


 

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