2006.9.26

文・写真/平松さとし

 シャンティーの調教場は圧倒的な自然に囲まれていた。
 森の中は日中でも日が遮断され、寒さを感じるほど。
 先のみえない長い直線コース。
 芝だけでなく、ファイバーサンドやダートコースも併設されていた。

 約二時間をかけ、これらのコースを自らの足で歩いたのが調教助手の池江敏行だ。
 調教師・泰郎の甥っ子にあたる敏行は、8月9日、ディープインパクトと共にシャンティー入りすると、その翌日、当時現地に滞在していた騎手・武豊に案内され、シャンティーの調教場を歩いたのだ。
 「十何時間もかけて日本からフランスに来て、すぐその後ということもあるけど、さすがに広大なコースだったので、正直、疲れました」
 午後の作業を終えた敏行は、足を引き摺り、顔をしかめながらそう語った。

 それでも、そんな思いをしてまで歩いたのにはもちろん、理由があった。
 「シャンティーの調教場に関しては事前に話は聞いていました。でも、“百聞は一見に如かず”って言うでしょう。やっぱり自分の足で歩いて、自分の目でみて判断するのが一番良い。だから、土地勘のあるユタカに案内してもらって歩いたんです」
 おかげで不安は払拭された、と続けた。

現地の新聞



 初めての場所にナーバスになったのは敏行ばかりではない。
 当然、ディープもその内心を態度に表した。
 「フランスでは普通に歩かせていてもすぐ横をキャンターで駆け抜けて行く馬がいる。ディープにとってそんな経験は初めてだから、バタバタしていました」
 しかし、長期にわたる遠征がそんなディープに慣れをもたらし、精神的な成長を促した。
 「最初の頃はそんな調子だったけど、今ではすっかり慣れて、現地の馬と同じようにどっしりしています」
 前から走ってきた馬が交差するように横を駆け抜けても、ディープはツラッとしているという。

 10月1日の大一番へ向け、ディープはフランスで、日々、成長を続けている。

 

(文中敬称略)

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